翡翠さん、女学生の館にロリータを連れて行く、でも女神が邪魔する
「女学生の館」、何か隠微な響きですね。昭和の少女マンガのオカルト枠のタイトルみたい。
「ご苦労だったな、女神よ。大量転移は大変だったか?」
「ふん、あんなものどうということはない。」
「でもなんか不満そうな顔をしているぞ。」
「若いのだけ全員集合って感じがイヤなんだよ。若いっていっても見た目だけで、ミナルナは17世紀の女、JK隊とメロは魔物じゃないか。私のほうがよっぽどマシだ。」
「おまえは3万年と言ってはいるが、本当はもうカウントできない永遠を生きているんだろ?トリケラトプスに乗ったことがあるか?」
「ないわ、そんなことするか。」
「まあ今回の作戦ではハンバートの欲望を散らさなければならないから、選り取り見取りを揃えてやる必要があったんだろ。」
「メロ以外みんな和風の顔立ちだから、洋風美人の私も入ろうか?」
「洋風美人ねえ。おまえは秩序を壊すからダメだ。世界を壊す女神モンスター、ゴジラも尻尾を巻いて逃げる。」
「だから巨大化はもうしないんだよ。服がビリビリ破けておっぱいポロリになるからな。そんなに私のヌードが見たいのか?」
「いや、巨大マネキンはいらん。」
「ふふふ、そう言われないようにいろいろ付属物を付けてきたぞ。見たいか、んん、見たいか?」
「痴女みたいに煽るんじゃないよ。おまえにはハンバートも振り向かん。」
「なぜだ、年齢設定も自在に変えられるぞ。」
「ふん、おまえのやろうとしていることは画像生成AIが拒否するだろう。」
「はっはっは、どうだ、ロリ女神の爆誕だ!」
「あれれ?ロリ化はガイドライン的にOKなのか?」
「女神の力は最強なのだ。どうだ、これならハンバートもイチコロだろう?」
「うーむ、どうだろうかな?」
「行って試してみる。」
「やめとけって。その身なりが20世紀半ばのニューイングランドでは浮いてしまう。」」
「なら着替える。」
「行ってハンバートの心を掴んだらどうするんだよ。」
「もちろんやってやりますよ。今の身体はマネキンじゃないので。」
「おい、女神たる者がそう簡単に身体を許して良いのか?」
「さあな?やったことがないことをやるのも成長だ。女神たる者、人間の手本にならなければな。」
「ビッチの尻軽が手本であってたまるものか!良いか、行くなよ、絶対に行くなよ!」
「なるほど、それはお笑いの基本だね。了解した。」
ピンポ~ン!とは鳴らない。20世紀半ばはブザーだ。「はい、どなた?」とドアを開けたハンバートの前に彼女が立っていた。
「あのお、どなた様でしょうか?」
「女神、英語で言うとガッデスだよ。ガッデムじゃないのでそこんとこ夜露死苦!」
「え~と、訪ねる家を間違えたのではありませんか?」
「いや、おまえハンバートだろ?」
「そうですが。」
「なら合ってる。どうだ、この私を見てコロリと参ったか?下半身がうずうずしてきたか?」
「何と破廉恥な!」
「何ぃ!破廉恥はおまえだ。いたいけな少女に劣情をもよおしているだろうが!」
「もよおしていません。」
「口では何とでも言えるが、下半身はどうかな?異変が認められたらおまえの負けな。」
「警察を呼びますよ。」
「おまえが素直に負けを認めたら、好きにしても良いんだぞ。少女でしかも女神。どうだ、たまらんだろう?」
バタン!玄関のドアが閉まった。そしてすぐにパトカーのサイレンの音が聞こえた。
「ちっ、根性が足りねえ奴だ。今度会ったら根性焼きを入れてやる。」女神は転移した。
「どなたかお客様でしたの?」奥からシャーロットが出てきた。
「珍妙な服装をして奇妙な言葉遣いをする自称女神が来ました。」
「まあ、怖いわね。何もされなかった?」
「大丈夫です。きっと何らかの精神疾患を患っているのでしょう。」
警察官が来たので、ハンバートは事情を説明した。警察官は、パトロールを強化すると答えて帰って行った。
「何だ、おまえのあの格好は!20世紀半ばにあんな格好している女なんかいねーわ。あれは20世紀末、1990年代の不良女のスタイルだ。」
「だってニューイングランドってヤンキーが住んでいるんだろ。」
「それはヤンキー違い。日本語のヤンキーとは関係ないんだよ。何が根性焼きだ、恥ずかしい。」
「そうだったのか。いかん、設定から間違ってた。せっかくデニムのミニスカで決めて行ったのに。やり直して良いか?」
「良いわけないだろ。翡翠たちの邪魔をするな。」
「ちっ...」
ピンポ~ンじゃない、ブザーかな?金属ベルかな?チリリン!ともかく訪問者だ。シャーロットが恐る恐るドアを開けると翡翠が立っていた。
「こんにちは。寄宿舎でお茶会をするので、ロリータさんを誘っても良いですか?」
「まあ、ご親切に。ちょっと待ってね。 ロー!ロリータ!お客さんよ!」
「あ、スイ、やっほー!」
「お茶会をするので迎えに来たの。」
「まあ、うれしい。お着替えした方が良いかしら?」
「みんな部屋着だからそのままでかまわないわ。」
「わかった。じゃあね、ママ、行ってくるね。」
「夕飯前に帰ってくるのよ。」
「うん、わかった。行こう、スイ!」
「ここよ、私たちの“女学生の館(Villa of Schoolgirls)”。」
「プールも付いているの?」
「ええ、暑い日にはここで遊ぶの。気持ちが良いわよ。」
「いいなあ。」
「あした天気が良かったら泳ぎにおいでよ。」
「良いの?」
「もちろん、大歓迎よ。」
「さあ入って!みんなを紹介するわ。」
「いらっしゃ~い!」
「JK隊よ。一度に名前を言っても覚えられないから、あとでひとりずつ仲良くなってね。」
「ハロー!」
「この子はメロ。ドイツ人よ。」
「サキュバスのドイツ人だよ。男の人の精気が足りないと元気が出ない。」
「え?」
「あ、ごめんなさい。この子はちょっと変わっていて、自分をサキュバスだと思い込んでいるの。悪い子じゃないわよ。」
「ミナです。」
「ルナです。」
「ミナルナです!」
「この子たちはミナルナという双子のアイドルユニットなの。」
「双子だから何でもユニゾンで言うことができるよ。双子だから髪の色以外は何でも同じ。首から下はすっかり同じだよ。」
「ちょっと!」
翡翠は女神に駆け寄った。
「何でここにいるんですか?」
「応援だよ。どうだ、私もロリータだぞ。」
「やめてください。メロさんで手一杯なんですから、女神様にまで来られたら...」
「ハンバートを誰が最初に落とすかのゲームだろ?私も交ぜろや。」
「そんなんじゃありませんから...良いから帰ってください。」
少女版女神、いかがでしたか?神なので人間の常識を越えていますね。




