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1分で読める物語

旅人

作者: ゆい

1分で読める物語

1話完結

毎週土日更新


第37話「旅人」

男が向かった先にあるのは

絶海の

孤島のどこかに あると言う


聖なる扉を 開くため

男は船に 乗り込んだ


数日前に 酒場で出会った

加護なき賢者は こう言った


かの扉は 

白い霧に包まれて

容易く開かぬそうですよ


確か 

合言葉が必要で

それを知る者は居ないはず


辿り着いた その先に

白く揺らめく 扉があった


男は静かに 霧に触れ

聞こえぬ言葉を 口にする


霧の中に 導かれると

切り取られた世界があった


豪奢な灰色 止まない雨

湿った瓦礫が 歌い続ける


かつての華やかさなど

見る影もなく


繁栄の欠片も 

今は見えやしない


もはやここは

偽りの富 腐敗の王都


男は

うなだれ呟いた


私は逃げた 

何もかもから


かつての王は後悔と

自責の涙を 瓦礫に落とし


いつまでも 立ち尽くしていた

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― 新着の感想 ―
聖なる扉を開くため、旅に出た男、酒場で出会った賢者、白く揺らめく扉。この作品自体が、詩に描かれた世界への扉のようですね。 ラストも印象的です。280文字の中に、壮大なストーリーを感じました。ありがと…
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