フラッシュバック
科学も医療も発達した現代、健康で文化的な生活をできる今の時代に僕たちは、常に死を身近に感じている。
それはなぜか、魔女がいるからだ。いつから魔女と呼ばれているのかは、わからないがずっと昔から脈々と語り継がれるその化け物達は、僕たちの生活を脅かす存在であると同時に恵みをもたらす存在でもある。
言わば自然と言っても過言では、ない。高校2年の夏俺は、ただ恐怖を味わった。命が簡単に失われていく様をみた。あの怪物達に親も友達を全部奪われた、あの瞬間恐怖と悲しみと憎しみで腹の底がぐちゃぐちゃになった。
あれから、俺はあの怪物を殺すために生きると決めたんだ、あの日からずっと。
雲もなく強い日差しが人々を苦しめながら、街を照らす。最高気温は32℃とニュースで見た、歩くのもしんどい日だった、俺の街を襲った災害は、意外にもあっさりと復興していき世間からも忘れられるようになった頃、日常を取り戻そうとしていた時にやってきた。あの日と同じ臭いがした、砂浜で海藻が打ち上げられて天日干しにされたような悪臭が俺の周りに漂ってきた、街行く人々も同じ臭いを感じていたはずだ、咳をする人や鼻をつまむ人様々だった。そして俺と同じようにあの日の事が頭をよぎって立ち止まってしまう人。黒い光が周囲を一瞬漆黒に染め上げた、瞬間凄まじい落雷のような音と地面を練り上げるかのような地響きが鳴り響いた。キーンとする耳を叩き起こして爆心地へと無意識にかけだしていた、あの日から5年俺のどうしようもない殺意が俺を突き動かしていた。黒い光が堕ちたところには、何もない。魔女を探しても見当たらない。俺が体験した時もそうだし、災害事例を見ても魔女は、大体マンション3階くらいの大きさはある。走る時に気づくべきだったのだろうが、そんな事は関係なかった。
魔女は、現れなかった。嬉しいことのはずなのに苛立ってしまった。黒い光が落ちたところは、大きな穴が空いていた。深くは、ない人が降りてもすぐに上がれるような穴だ。息をすっと整えて何か手がかりがあるかも知れないと穴に入った。
穴に入った時、あの黒い光が俺の足から入って来たのを見た。幻覚なのかもしれないが一瞬その黒い光は現れて俺の中に入って行ったのだ。全身に寒気がした、俺はすぐにそこから出て家に帰った。お風呂で何度も鏡を確認したが特に体に異常は、なかった。
いや、異常はその日の夜に起きた。いつも通りの日常、、あの日の事を忘れないように記憶をフラッシュバックさせながら眠りにつく。意識が遠のいていく、おそらく寝てしまったのだろう、寝たのはわかるが何か違う、これは夢だ。何もない真っ暗の中に俺がいるのはわかる、ぼーとしていると暗闇の中声だけが響いてきた。
その声は、美しい声でこう言った。
???「私は、叛逆の魔女。お前と運命に争う者、永く短い戦いになるだろうけど、よろしくね「白崎 悠太郎」君。」