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任命
王の暗殺とは王女の拉致とは比べ物にならない。
ノース王国とサウス王国は歴史の教科書では
1つの国家であった。当時の王は9人の側近を持ち、
その中の1人から裏切りにあったと記されている。
以後、国家の内戦は止むことがなく、それぞれが
ノース、サウスとして王国を構えることに至ったのだ。
僕にとっては歴史上の出来事に過ぎないことが、
今まさに事後の形で報告される衝撃は凄まじいものだ。
サウス王国の国王は「前へ」を掲げ、国民を鼓舞し続けた。
僕は幼いながらにその人柄に惹かれ、王を守る、王国を守りたいと思ったのだから、王の魅力は語るまでもない。
団長から部隊編成の連絡があった。
今年で20になる僕には、後輩と先輩を含む
小規模の部隊をまとめる任務をまかされた。
小部隊のリーダーを務めることはこれが初めてではない。
少なくとも、隣国の調査や簡易的な防衛任務については
すでに隊をまとめる経験を積んでいるつもりである。