記録4.元村民からの手紙 二枚目
どうにかまとめようとしましたけど、文章だと上手くまとまりそうにないので、箇条書きにしますね。
①十二歳以下の子供を集める
②山の前の社で儀式をする
③その夜、子供たち全員を它胎洞につれていく
④洞窟内で胎内巡りをする
⑤誰か一人、帰ってこなかったら成功
おかしいですよね、子供が帰ってこないのに。でも大人たちは皆それをおかしいなんて言わなくて、その子を探しもしなかった。それどころか「きちんとおかえりいただけた」って喜んでいて、次の日は村中で宴会でした。
私が十五歳のときにあったんです、この儀式。小さな土砂崩れが起きて、村中が軽く騒ぎになって、村長さんが「カヤシの儀をするんだ」って。「カヤシ」っていうのは当時そう聞こえただけで、正確じゃないかもですけど……
その後村中から十二歳以下の子が集められて、お社に連れていかれました。それからどうなったのかは知りません。両親に訊いても教えてくれなかったし、儀式の後に村の大人に訊いてみても「あの子はオクエ様と一緒にかえったんだ」としか。
それはおかしいと言うと皆鬼のように怒りました。
就職と同時に村を出るとき、大人たちは口々に「オクエ様に関連する儀式のことは余所者に話すな」と私に言い含めました。それはもう恐ろしい形相で、私は必死に頷くしかなかった。
だから、手紙のはじめに「生き残りの人たちに知られたくない」と書いたんです。だから先生も、私の名前は決して出さないでください、お願いします。
私が知っているのはこのくらいです。少しでもお役に立てればいいんですが。
寒い季節ですから、どうかお体にお気をつけて。
もし何かあれば下記のアドレスにお願いします。
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匿名希望より