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12月25日(10)

暗雲の空からしんしんと降り続ける雪。

その様は決して静かなクリスマスの夜を演出するものでなく、行き場を失った子供のように舞っていた。

周辺はとうにアスファルトを塗りつぶした雪で積み重ねられ白一色に染まっている。

道を行きかう人も、車も、信号機も、何もかも止まって見える、そこは白と停止の世界。

不思議な事に俺はその感覚に居心地さを感じ、身を委ねていた。

時間だけが流れるように過ぎてゆく、止まぬ雪、無音、無味、無臭。

それでも俺の視覚と触覚という感覚だけは未だ未練がましく残っていた。

視えるものは止まった世界と白の世界という空白の世界。

触れられるものは冷やりとした柔らかな雪のみ。

それでも俺は……温かな感覚が未だ胸に残っていた、いや残そうとしていた。

この温かみは決して夢物語ではなく、幻想でもなく、現実であって、俺はその事実を受け入れる覚悟が必要だった。だからこそ俺はこの感覚を一生忘れぬよう、一生忘れぬように脳に映像として刻んでいく。


だって、な。

夢や幻想であって欲しいと願うのは俺の希望であって、それは目の前の現実に対して甘えているのと一緒じゃん。何処かの誰かさん達はその俺の甘えで気付きいてなかった感情に気付かされた。

だけどそれは彼女達の願いであって、俺はそれに曖昧な態度でしか示せなくて、気付いた時には後の祭り。

そのせいかもしれない、俺の中途半端な視覚と触感という機能が残ったのは。

早く楽になりたい、早く楽になりたいと願いつつも心のどこかでは未練がましくアイツのことを考えている。

あぁ、何だ、そういうことか。簡単な事だったじゃないか、俺もあいつの事が……

でも今更それを口にする事はまた目の前の現実に対する甘えであって、俺は考えるのを止めた。


しんしんと降り続ける雪が俺の身体を徐々に覆っていく。

雪上から眺める暗雲模様のクリスマスの冬空は俺の頭も何もかも冷やしてくれて、また俺に現実を受け入れろ、と促しているよう。受身の俺にはそれをただ受け入れる事しかできなくて、途端に誰かの胸を借りたくなる衝動に駆られるが……あぁ、これも俺の甘えなんだろうな、とそれさえも受け入れてしまう。

……と、一人でそんな意味の無い事を考えながら己の甘えというぬるま湯に浸っているとどこかで今年のクリスマスの終焉を告げる鐘が鳴った。……ははっ、何だまだ残っているじゃないか俺の聴覚。

俺は寒さで既にほとんど感覚の無くなった身体の事は忘れ、目を閉じた。

そして俺は既に『向こう側』に置いていった記憶を再び辿る事にする。

自分自身の戒めのために、そしてありのままの現実を忘れぬために。






「あー……夜風がひんやりしてて気持ちいいです」

「ハァハァ……お、俺は……展開の速さに着いて来れないよ……」


あれから俺と優梨子ちゃんは何とか番台のバァさんの魔の手から逃れ、銭湯の前まで出たけど……な、なんだったんだ?あの怒涛のよぉなバァさんは?しかしあの圧力はどこかの誰かさんに似ていたような気が……


「ゆ、優梨子ちゃん……あのバァさんとはどうゆう知り合い?」

「あ、えっと……司さんには説明していなかったですね。あの人は私とお姉ちゃんのお祖母ちゃんなんです」

「えっ……そ、そうなの?」


優梨子ちゃんは少し気恥ずかしそうに振る舞いながら言う。驚いたがまぁ……それなら納得。何となく、あのバァさんの血は確かに魔血子に受け継がれているような気がするもんんな。でもなぁ……


「でも正直、優梨子ちゃんって魔血子とあのバァさんに似てないよなぁ……って、あっ」


やっべ!思ったことが口に出てしまった!


「あはは……いいですよ。よく言われますから……自分ではよく分からないですけど……それに私、実は…………捨て子なんです。だからお姉ちゃんとお祖母ちゃんに似てなくて当然ですから……」

「え……えぇええええーーーーーー!?」


優梨子ちゃんは少し顔を伏せ、そう言う。ま、マジですか……!?

お、俺……もしかしてとんでもなく無神経な事言ったんじゃ……!無神経ナッーウ!フゥー!


「……ぷっ、あはは。嘘ですよ、正真正銘お姉ちゃんとお祖母ちゃんは私と血は繋がってますよ」

「え……またえぇえええーーーーーー!?ていうか早っ、ばらすの早いよ優梨子ちゃん!嘘だとしてもそこはもうちょっと溜めようよ!ていうかそれはあんまりな嘘のような気がするよ!?」

「ごめんなさい、ちょっとしたイタズラです」

「よし!優梨子ちゃんかぁい子ちゃんだからおいちゃん許しちゃう!キャッハー!」


俺はその場でぴょんぴょんと飛び跳ねてもうすぐ三十路を迎える大人としての器の広さを全身でアピールした。うん、我ながらアフォなあだるてぇだと思う。でもな、仕方なかったんだよメアリー。最後に俺は優梨子ちゃんのちょっと頬を染めて恥ずかしがって『もぅ、司さんったら……いけない人ですね(///)』とか言いながら俺のGパンのジッパーを開いて『そんな……いけない人にはおしおきです、はむっ(///)』とかとかそんないけない展開になっちゃったり!いけない人がいける人になっちゃうってウッハー!……ごめん、無いよねそんなエロゲー展開。このっ、このぉ!エロゲー脳がっ!成仏しろ俺の煩悩!さらば俺の煩悩!でもあの頃の爽やかでフルーティのよぉででも苦々しいおっさんの油の乗ったテカテカの髪の毛のよぉな青春時代は決して俺の中で消えんとです!


「かわいい…………ですか」


俺は脳内ロンリーコミュニケーションを止め、優梨子ちゃんを見ると優梨子ちゃんはまた顔を少し伏せていた。……あれ?少し様子が変だな。まさか、俺の台詞をマジで受け取ったのかな?まっさか~、ハハッ……そんな、ねぇ?エロゲーみたいな展開があるわけ……


「……司さんは私の事、どう思ってますか?」

「…………へ?」


あれ?


「私は司さんのことが好きです」


あれれ?


「司さんの返事が聞きたいです」

「…………え、えっと。それは友達として、だよね?」


俺は混乱する頭を抑えて声を出す。ま、まさか……ねぇ?ちょっとモノホンっぽい雰囲気でそんなことを優梨子嬢がおっしゃるからびっくりしたじゃない。そんなこと今更確認するまでも無く俺は優梨子ちゃんの事好き……


「いいえ…………一人の女として、私の事をどう思っていますか?」

「……………………」


俺は優梨子ちゃんの台詞で完全に言葉を失った。俺の視線の先にははっきりと真剣な表情で照れの一つも無く俺を見据える優梨子ちゃんと、ちょうど銭湯から出てきた双葉と栞が映った。






…………無言。

俺と優梨子ちゃん、そして双葉と栞の間にしばらく無言の間が続いた。俺は未だにしっかりとした意志を表した瞳で見据える優梨子ちゃんに一種の怖さを感じてしまい、思わず顔を逸らした。双葉と栞の表情に至っては……怖くて1度も見ることすらできなかった。


「…………やっぱり、そうですか」


優梨子ちゃんは俺が顔を逸らしたのを確認すると溜息をつき、いつもの優しげな表情、いや……どこか諦めを悟ったような柔らかな表情で俺を見据えた。俺は……何も言えずその場で優梨子ちゃんを見つめて、優梨子ちゃんの次の言葉を待った。


「どうして、どうして…………何も言わないんですか」


優梨子ちゃんは目に涙を溜め、今度は弱々しい声で俺に向かってそう言う。俺はどうすればいいんだ……?この娘に何て声を掛けてあげればいいんだ……?


「私の意志は…………司さんの意志の前ではあっけないもの、何ですね…………」

「…………優梨子、ちゃん」

「司さん、私は貴方が大嫌いですっ!……そして、その司さんの意志を知ってて黙っている双葉さんと栞ちゃんも好きになれないですっ……!ひっ……くぅ……!」


優梨子ちゃんはそう言い残し、街の方向へ駆けて行った。俺は何も出来ずその場で優梨子ちゃんの駆けて行った方向を見ながらじっと立ち尽くしていた。俺の意志……俺の、意志ってなんだ……?俺は未だに優梨子ちゃんの行動を理解できぬまま、あぁ、嫌われたんだな、という事実を胸に収めながらいつの間にか涙を流していた。






「魔鬼子はね、知ってたんだよ……あんたが実家へ帰ることを」

「司先輩…………」


今度は銭湯から優梨子ちゃんと入れ替わるようにして魔血子と苺ちゃんが出てきた。……何?知っていた?優梨子ちゃんが?何で?どうして……?嘘だろ……?


「これは私の責任かもしれないけどね、どうやらあの時の私とあんたの会話を聞いていたみたいだ。……で、そこの繋がりから行くとどうやらそこの二人も聞いていたみたいだ、そうなんだね?双葉、栞?」

「「…………」」


魔血子はふぅと溜息をつき、背後にいる双葉と栞に確認の意味で顔を向けた。しかし二人は返事をせず、ただただじっとその場に立ち尽くしていた。あの時……?あの時って、まさか……魔血子に俺が実家へ帰ることを見抜かれた……まさか、優梨子ちゃんも双葉も栞もそれを聞いていた?


「……これは、言ってしまってもいいのかねぇ。司、あんたこれがどういう意味か分かっているよねぇ?」

「……どういう、意味?」

「……鈍感すぎるよ、あんた。司、いいかい?あんたが実家へ帰ることを知っていたのは一体誰なんだい?あたしは勿論の事、優梨子も、そして……」

「司先輩っ……ごめん、なさい……!ひっ、く……私、……私ぃ!耐え切れなくて……!その事で双葉ちゃんや栞さんや優梨子さんに焚き付けたのは私なんです……!」


魔血子の言葉を遮って苺ちゃんはすすり泣き始めた。


「……この娘も知っていたよ。責任を感じているようだけどね。そしてあんたはどういう気持ちだったんだい?少なくともいつまでも何も言わないあんたに対して皆、不安を抱いていたのさ」

「……お、俺は……」

「……あんたの考えはお見通しさ、最後まで何も言わずに栞と一緒に実家へ帰るつもりだったんだろう?」

「ち、違うっ!俺は最後に皆に挨拶して」

「嘘をつくんじゃないよっ」バシッ

「うっ……」ドサッ


俺は魔血子の渾身の一撃を頬に受けて雪の上に尻餅をついた。


「……その挨拶は誰に向けてのものなんだい……?表面上の仮初の挨拶をされてそれで一体何が残るって言うんだい……?あんたは、決して別れを告げる気は無かったんだよな?」

「…………」

「あんたの気持ちも分からなくはないよ。多分、あんたの性格だから湿っぽい別れは嫌だったんだろうよ。皆に心配をかけたくなかったんだろうよ」

「…………」


……もう、俺は何も言えなかった。全て魔血子に考えを見通されていたからだ。


「けどね……黙って突然いなくなる……今までそこにあった当たり前の日常が突然無くなったときの彼女達の気持ちを少しでも考えた事あるかい?汲んであげたかい?結局、あんたのソレは身勝手な表面上の礼儀ではないのかい?」

「司、先輩……ごめんなさい、ごめんっ、なさい……」


苺ちゃんは泣いてばかり、やめてくれ、泣かないでくれ、謝れないでくれ……俺が苺ちゃんに謝られる理由なんて無いのだから。


「……司、それに今まで……いや、この4日間で一番あんたの身近にいた娘は誰だったんだい?あんたのその濁った目で見続けていた娘は誰なんだい?ひとりぼっちのあんたが……あんたが一番気にかけていた娘は誰なんだい?分からない、とは言わせないよ……ふぅー……」


魔血子はタバコに火をつけ、それ以上何も喋らない。俺は立ち上がって尻についた雪を払い、ゆっくりその魔血子の言う娘の方に振り向いた。






「…………双葉」

「……っ」


双葉はビクッとした様子で反応する。顔は俺が今まで見てきた元気な表情ではなく……青ざめた、知られてしまった、後悔等々……そんな色が混ざった表情だった。俺は……何て顔をさせているんだ。こんな、こんなはずじゃ……


「俺は、お前に言わなきゃならない事が……」

「嫌っ、嫌ですっ、いやぁ!聞きたくない!聞きたくないですっ!!!」


双葉は首を横に振り、ヒステリックな声を上げる。それに対して俺は双葉を落ち着かせる事しかできなかった。


「……お願いだっ、双葉……聞いてくれ、頼む……もうお前達に嘘をつきたくないんだ……!」

「……い、嫌です……来ないで下さい……!」


双葉は怯えるように後ずさりして俺から離れていく……


「私は……私は、私は知っていましたっ!それでも信じたくなかった、司さんを信じていたから……!だから、だから私に近づかないで下さいっ!!!」

「ふ、双葉……」


胸がズキズキした。……辛い、これは自分でまいた種のせいだ。だから俺が何とかしなければならない。けれど……こんなに双葉に嫌われる事が苦しいなんて、俺は……俺は……


「待ってくれ、双葉…………お、俺は……」

「……嫌です、待たないです……嫌い、大っ嫌い……私は、私は……私は司さんなんて大嫌いですっ!二度と私の前に現れないで下さいっ!!!」

「お、おい……双葉!?」


双葉は俺に背を向け、街の方へ走って行った。俺は……俺は、双葉にまで嫌われた。また、またひとりぼっちなのか……俺は……もう……そして意気消沈しかけていた俺の胸倉を誰かが掴んできた。


「っ!何やってんだい!このウスノロ野郎!行くんだよっ、さっさと追えっ!」

「…………魔血子、いいんだ。もう……俺は」

「ばっかやろう!!!甘ったれるのもいい加減にしなっ!!!いい加減目を覚ましなっ!そうやってまたひとりぼっちになるのかいっ!?その足で家に帰るのかいっ!?えぇ!?決着をつけるんだよ!自分のその情けない足でがむしゃらになって這いずくばっても追うんだよっ!嫌われても!あんたのそこについているブツは何のためにあるんだよ!?男だろ!?司ぁ!!!追えっ、追うんだよっコラァーーーーーー!!!!!!」


俺は……俺は……男だ。こんな情けない自分が腹立たしい……何で、俺はこんな所でじっとしているんだ?俺は男だ、俺は……俺は……!


「…………」

「……分かったんなら、とっとと行きなヘタレ。魔鬼子はあたしが何とかするから…………死んでもあの娘を放すんじゃないよ」

「…………」

「……返事も無しかい、はっ。上等じゃないか。…………絶対、あの娘を幸せにするんだよ……」


魔血子は俺に背を向け、片手を挙げて歩き出す。無駄な言葉はいらない、魔血子もそれを感じ取ったのか魔血子らしからぬ泣きそうな表情で俺の元から離れていった。……そして、これが俺の見た最後の魔血子の姿であった。






「…………追わないで」


今までずっと黙っていた栞が弱々しい声で口を開いた。伏せているせいで表情が読み取れない。


「栞……」

「……私も、知ってた。お兄ちゃんが実家に帰ってくれること。素直に嬉しかった」

「…………」

「……でも、でもっ、お兄ちゃん!分かるよねっ!?お兄ちゃんはこのままの生活じゃあダメだってこと!」


栞は顔を上げ、俺の掴みかかってくる。……泣いている、今まで生きてきた中で妹のこんな表情は見たこと無い。俺の中の栞は……ちょっとおっちょこちょいで、たまにしっかりしていると思ったら実はそれは強がりで……本当は子供っぽいところが抜け切れていなくて。兄である俺を慕ってくれた。だからこそ……心配してくれている、今こうやって必死に引き止めているのも……そのためだろう。しかし……それだけの理由では無いということも、今だから何となく分かっている。


「栞……それは、分かっている……」

「……分かってない、分かってないよお兄ちゃんは!私が、私が……どれくらいお兄ちゃんのことを心配しているか分かってる!?本気なんだよっ、本気で心配しているのにっ……!」


栞は半ば自暴自棄となり、さらに俺に掴みかかって引き止めようとする。俺は……何も出来ず、その場で突っ立っていた。けれど、もう俺にはやることはひとつしかない。


「………栞、ごめんな」

「……っ!」

「今まで俺は栞にすごく迷惑をかけてきたよな…………お前は俺達家族の中で一番働き者で、第一に家族の事を考えてきてくれたよな……すまない、俺がしっかりしてないばかりに。本当にすまない、だから最後の我儘だ。聞いてくれ……兄貴、お袋、親父によろしくって伝えておいてくれないか?そして、お前は……家に帰るんだ」

「………!!」


……分かっている。俺は今、酷く残酷な選択を栞に突きつけているってことは。でも、俺は全てに決着をつけなければならない。だから今はこうして……兄として、一人の妹を慰めてやることしかできない。


「……やっ、やだ……やだっ!絶対やだっ!私は……私は絶対お兄ちゃんと離れないっ、そんなの……そんな勝手なこと絶対許さないっ、やだやだやだやだ…………お兄ちゃんは、お兄ちゃんは……私が、私の…………」

「………本当にごめん、栞」

「……ひっ、やだ…やだやだ……!」


俺は懐で栞を抱きしめた。栞はそれでも俺の言葉は受け入れない、分かっていた。栞がどういう気持ちで、どういう感情を持って接してくれているかは。分かっていて俺は分からぬフリをしていた。……辛い、ここで妹を放すのも。けれど……俺は。


「…………栞」

「あっ……!」


俺はゆっくりと栞を抱きしめていた手を離して栞と向き合った。そして……


「…………じゃあ、な。栞」


俺は背を向け走り出した。振り返らぬように、今度こそ誤らぬように、必死で走る。


「やだぁ!やだよ!行かないで!お兄ちゃん!置いてかないで!お兄ちゃん!私を一人にしないでお兄ちゃん!!!」

「栞ちゃん……!」


背後から子供のように泣き喚く声が聞こえる。振り向きそうになる自分を何とか留めてそれでも俺は走り出す。泣きそうになった、必死で苺ちゃんが栞を止めている。ごめん、苺ちゃん。何で……何で俺はこんな事をしているんだ。何で、こんなに皆に迷惑をかけているんだ……己の情けなさに嫌気が差す。何で……!何で……!俺は……俺は……!


「う、うぁあ……お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんの、お兄ちゃんのバカぁーーーーーー!!!!!!」


栞の泣き叫ぶ声は俺の胸に重く圧し掛かる。ごめん、栞……ごめんっ、本当にごめんな…………

俺は色んな物を置いていき、そのまま街へ駆けて行った。俺自身で全てに決着をつけるために。

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