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12月25日(9)

「……ふぅ、生き返る」

「……あぁ、反り返る」

「……あ?店長、何だそれ?」

「あぁ、あまりの気持ちよさに俺のポークピッツが反り返ってるってことだし」

「ゴメンおじさん、頼むから今すぐこの世から塵となって消え失せてくれませんか?」


俺と店長は街の大きな商店街から少し外れた狭路に位置する銭湯の男湯で少し熱めの湯船に浸かっている。……まぁ何故こんな展開になったかはあれだ、先のカオス雑炊のカオス雑炊によるカオス雑炊のためのメントスザイガー事件が原因だ。炭酸が混じったダシ汁に何を思ったのかアフォ店長がメントスを大量に投下したせいで噴水となって鍋の周辺にいた全員がぶっかけプレイの被害に合うと言う未曾有の出来事、というほどでもないが……いや、まさか天井まで噴水が噴き上がるとは思わなかったから正直おいちゃんびっくりしたけどな。その結果、全身がカオス雑炊まみれで気持ち悪ぃ~ということで全員で銭湯にやって来たという訳だ。


「まぁそうカリカリすんなって司ちゃんよぉー。あれだ、俺のお陰でこうやって羊水に浸かれたじゃねぇか、な?」

「羊水とか言うな」


このアフォ店長の所為で服がカオス雑炊で汚れちまったから切れるのも無理は無い。魔血子はもちろんの事(元はといえばこのオバサンも原因のひとつだが)、あの普段温和な優梨子ちゃんなんか顔は笑っていたけど目は笑ってなかったぐらいだしな。他の皆も今にも絞め殺すような瞳で店長を見つめていたし……どうでもいいがギャランドゥがやたら濃いなこのオッサン、上の方はうすぃ~けど。


「な、何だよ……こっち見んなよぅ、もぅ……つ、か、さ、く、ん、の、えっちすけっちわんたっちぃ!(///)うーたん恥ずかしいんだからぁ!ぷんぷん!(///)」チラチラッ


頬をほんのり染め、舌をペロッと出し、ウインクするうーたん。これは……あれか、今世紀中に発売されるかどうか分からない主に18歳以上のおっきなお友達が蝶期待しているおげれつハートフルアドベンチャーラヴゲーム『ときめきおっさんメモリアル』(税込価格¥10150)のヒロイン(?)の体験版の中のとある台詞か。今時ありえない仕様だが主人公の名前はデフォルトじゃないから変えられるというおっきなお友達にご親切なシステム(声優が名前で呼んでくれないという残念ショボンヌな仕様でもあると言えるが)。そして、どう見てもショタ顔な青年が何故か男女共学の学園で夜な夜な徘徊するセーラー服を身に纏ったオッサンにアレでアレな事をされていくという素敵なストーリー。今時、古めかしいが3Dの夜の校舎をショタ顔の青年が一人で徘徊していって行く先々で出会うセーラー服仕様のおっさんと様々なおプレイを楽しみ、総数何と500枚のCGを埋めていくという……しかも差分を含めれば800枚……地獄でしかないわっそんなゲーム!何の因果でそんなオッサンらの絡み合いなんぞ見なきゃならんのだっ!ねぇよ!こんな残念すぐるゲーム!婦女子、じゃなくて腐女子も引くわ!こんなゲーム!いかんいかん、また脳内で変な妄想を繰り広げていた……いや、な?あまりのてんちょーとか言う変態さんのキモさに頭のネジがイカレちまってな……まぁ、なんだ許してちょんまげ。


「やかましいわ、その汚いブツをこれ見よがしにタオルを動かして俺にチラチラ見せつけるんじゃないハゲ」

「何だとクララァーーーーーー!ぼくちゃんのおっきな2袋の巨峰♪はハゲてないぞぉ!見るか!?おぅ?何ならた~んとぺろぺろお舐めなっさーーーーーーい!」バッシャー

「うぉおおーーー!?汚ねぇ!立ち上がんな!あと舐めろとか言うなっ!気持ち悪ぃ!」


ハゲというキーワードが気に障ったのか、店長はいきなり湯船から立ち上がって俺にシモのアレを見せ付けてくる。このおっさんはさっきからシモの話題ばっかだな……俺もほろ酔い程度には好きだけど。


「……ごめん、お前が俺のアレを舐めてるとこ想像したら思いっきり萎えたわ。なんだろ、この気持ちはあれだな、部屋で隠れて特殊オナヌーしてたらお袋に見つかった時のあの下半身のやるせなさと似ているな」ズングリ↓

「……そんなボーイでラヴァーな展開にはならないから安心しろ。ていうか今軽く殺意が湧いた。ちょっと一回ぶっ殺してもいいれすかぁー?」

「そんなに切~れ~ん~な~よ~……まぁ、いいや。ところで司、お前風呂で身体洗う時どこから洗う?」

「お前は今をときめく乙女かよ……別にいちいちそんなん気にしてねぇから決まってねぇよ」

「俺はア●ル様から洗うぞ」

「……あ、そう」

「何だよ反応が淡白質だなオイ。溜まってんのか?」

「溜まってねぇよっ!お前はあれか!?常にシモ系の話をしてねぇと正常を保ってられないフランス人形かっ!?」

「何だそのかぁいらしい人形。蝶欲しい」


ったくこのおっさんは……しまいにゃあ、我慢しきれなくなって湯船の中で自家発電し始めるんじゃねぇだろうな……その時は容赦なく俺の南斗真剣でてんちゅーを下すがな。あー、あちぃなぁもう!のぼせちまうからもうおいちゃん上がっちゃうのらー!そして俺は店長に背を向け、湯船に上がろうとしたが……


「おいおい、待てよ司。ぷりてぃできゅあきゅあ~なめくるめくお楽しみイベントはこれからだろうが」


店長は首からカメラをぶら下げ、何やら怪しげなスコープとバッテンマークが入ったマスクを装着していてた。何その軽く犯罪予備症候群な格好。ちょっと、貴方みたいなドエロ様はお呼びじゃないですよー?


「……おい、アンタまさか」

「スコースコー……なぁ、司?女湯って何のためにあると思う……?覗くためにあるに決まってんでしょおがぁあああああーーーーーー!!!えぇ!?違うか兄弟ぃ!?スコースコー……ハァッ、はぁはぁ(///)」ガシッ


店長は俺の両肩を掴み、そう言った……目が血走ってるよ、ちょっと目が本気と書いてマジだよこのオジサン……いや、ねぇ?そんな……あれだ、ラブコメとかでよくあるいわゆる主人公と悪友が風呂場で女湯お覗きイベントとかさすがにしないよ?さすがにもういい歳だからな。ていうかこの歳でそんなハッスルしてたらマジで青い人達にしょっぴかれるからね。しかし、店長の異様な圧力に耐え切れず俺は……


「わ、分かった……分かったからあんまり俺に近づくなよ……」

「……よし、よく言った勇者よ。まぁ俺もいきなり覗けとか高レベルな技は要求しない。まずはレッスン1……『耳で楽しめ』、いいか?慌てるな、興奮するな……それが全てだ、スコースコースコスコー」

「…………」






『むむむ~……おっきぃです……負けました。私のちっちゃなプライドはズタズタです、ガクッ』(双葉)

『双葉ちゃん……それで勝とうなんて私達には儚い夢なんだよ……そして私もガクッ』(栞)

『いっ、栞さんはまだいいじゃないですかぁー!そんな少し見栄えする膨らみがあってぇ!いいですよぅ!どうせ私なんかアリンコなんですぅー!ちっちゃなポッチしかないんですー!』(双葉)

『だよねー可哀想だけど、その歳でその大きさじゃあ、これからの発育は期待できないねー』(苺)

『うわぁああああん!それをはっきり言わないでくださいぃいいーーー!儚い夢だけどぉ!必死で色々試して……牛乳とかシリコンパットとか……と、とにかく色々頑張ってるんですぅー!何ですかぁー!もうこんな不条理な世界やですー!うぇええええん!ブクブクブクブク……(←湯船に潜水中)』(双葉)

『双葉ちゃんあれでシリコンパットとかしてたんだ……あと苺ちゃんも多分こっち側の人って、あっ!』(栞)

『栞さ~ん?私も『こっち側の人』ってどういう意味カナ~?』(苺)

『ちょっ……やっ、苺ちゃ……揉まな……あっ、やめっ、やぁ……!(///)』(栞)

『む~?むむっ、む~~~???』(苺)

『あっ、あぅ……?い、苺……ちゃ?な、何……?』(栞)

『むーーー!全然あるじゃーん!なんだよー!何が『こっち側の人』だよーーー!そんな嘘つく悪い子には思いっきりドーン!もふもふ』(苺)

『ーあっ、きゃあっ!ま、まだ……?激しっ……!ちょっ……やぁ!やめっ!ほんとに……あっ!』(栞)






『……さっきから何やってんだいあの子達は?』(魔血子)

『……さぁ?何か言い争ってるけど……止めた方がいいかなお姉ちゃん?』(優梨子)

『ブクブク……(←潜水から上がってきた哺乳類)』(双葉)

『……あっ、双葉さん?何でそんなところで潜って……?』(優梨子)

『……近づかないで下さい』(双葉)

『え?』(優梨子)

『きょぬー族は私に近づかないで下さいっ!しっしっーですっ!』(双葉)

『きょぬー族!?(汗)双葉ちゃん?意味が……』(優梨子)

『うぅ~~~このっ、この!このぉ!この自己主張の激しいおっきなおっぱいが悪いんですねぇ!?コレのせいで……!コレが私のをドレインしてこんなに大きく……うぅ~~~!返せですっーーー!私のおっぱいを返してくださいぃーーー!!!もふもふーーー!もふもふもふもふーーーーーー!』(双葉)

『ちょっ……双葉さん!?あんっ』(優梨子)

『……やれやれ、煩い子達だねぇ』(魔血子)






「いいかぁ、司?人間の五感で一番重要な感覚は視覚だ。日常生活において視覚による判断が多くを占めているからだ。しかし、しかしだ司君っ!我々にはそのような素晴らしき感覚がそれ以外にも4つもあるのだぞん!そう!聴覚、触覚、味覚、嗅覚……どれをとっても我々にとっては視覚同様重要な役割を果たしていることには変わりない!我々が現在、フルに神経を研ぎ澄ましている感覚はどれか分かるかな?ハイッ!先生!聴覚でぇーすっ!ハイッ!司君も一緒にぃ~~~聴覚でぇーすっ!!!」ボタボタボタボタ

「あ~……ハイハイ、聴覚でーす……っておい、鼻血鼻血。湯船に落ちているからな」

「レッスン1……『耳で楽しめ』……慌てるな、興奮するな。それが全てだ。スコースコスコー」

「興奮しているのはお前だ」


俺と店長は男湯と女湯を仕切るタイルの壁に耳をピットリと密着させ、向こうの女湯から聞こえる女共の痴話を盗聴していた。耳で楽しむ……確かにこれはこれで楽しめると言えば楽しめるが……


「何か俺達軽く犯罪まがいな事をしているような気がする……」

「何を今更。次はもっとすごいことをするのだぞん司君!そしてとりあえずこのカセットテープは俺が回収する」

「……って、オイ!?何、その馬鹿でかいカセットデッキ!えっ?何?もしかしてアンタ今の録音してたの?何のために!?この場で耳で楽しむんじゃなかったのアンタ!?」

「もちのロン!心配するな司!このデッキはちっちゃな音声でも拾ってくれる高性能のデッキたんなのだぁーん!!!だから安心してこのカセットテープは俺に預けておけ、な?」

「なっ、何かとてつもなく不純な事に使用されるような気がするっ!やめろっ!そのテープには妹の卑猥な声まで録音されているんだぞっ!?ま、ましてや優梨子ちゃんのこ、声も……ハァハァ!って、ダメだダメだダメだぁー!それは俺が預かる!俺が処分しますぅーーー!!!」

「な、なんだとぉ!?こ、こらぁ!離せっ……!これは俺の……!あっ!」


ポチャン……


俺と店長が言い争ってもみ合いになったせいで音声を録音したテープは店長の手から落ち、湯船に沈んでいった。チーン、南無。


「あっ、あぁああああーーーーーー!!!!!!なっ、何てことしやがるっ!あっ、あぁあああ~~~~俺の……俺の……女の子達の、女の子達の……エロ、ヴォイスがぁ……ちっくしょう……!こうなったら…………!ラストレッスン……『目で楽しむ』……黄金長方形だ、黄金長方形……1:1.618の黄金比の長方形を脳内でフルイメージするんだ。回転のイメージ……敬意を払え……」ブツブツ……


……何か四つん這いでブツブツワケの分からん事を語っている店長。何か怖いからもう上がろうかな……俺はそのまま浴場の出口に向かい出て行った。






華麗なる俺はサッとだんでぇな己の身体をバスタオルでふっきふきし、滑らかに服を着替え、お風呂セットを抱えて番台にいる何やら気難しそうなバァさんの元へ向かった。それは風呂の後のミルクでごっきゅごきゅプレイを楽しみたいからだ。


「ばぁちゃーん、牛乳1本頂戴」

「うちにゃあ、牛乳何ぞ置いてないよ。豆乳と青汁ならあるけんど」

「何で風呂上りなのにそんな後味の悪そうな奴ばっかしか置いてないんだよ……」

「なんだいっ、うちの飲み物にケチつける気かいっこのガキャア!豆乳と青汁をミックスでぶっかけるよっ!」

バシャー

「ぎゃぁあああーーー!?ちょっ、おばちゃん!かかった!ちょっと服にぶっかかったよ!行動と台詞が同時になってる!かぶっちゃってる!それ意味ないYO!」

「ちょっとお祖母ちゃんやめて!周りのお客さんに迷惑掛かるでしょ!?」


番台のバァさんが豆乳やら青汁やら入った瓶を持ってさらに俺にぶっかけプレイをしようとしていたが、誰かの声によって止められた。ん?この声は……?後ろを振り向くとそこにいたのは風呂上りの優梨子ちゃんだった。優梨子ちゃんのライトブルーのロングヘアーが少ししっとりしてて魅力的でおいちゃんぼっきっきー……じゃなくてちょっぴり興奮しました。何だぁ?興奮して悪ぃんですかコラ?


「なんだい、魔鬼子かい。このエテ公みたいなガキと知り合いかい?」

「エテ公って……おぃ(汗)」

「そうだよ、ていうかさっき一緒にここまで入ってきたじゃない。忘れたの?」

「ふんっ、新手のストーカーかと思ったよ。あたしの」


おいバァさん!それはあんまりな勘違いだっ!あんたは俺の思いっきりボールゾーンどころかデッドボール!敬遠だよっ!!!誰が狙うかっ!!!ていうか、このバァさん誰!?優梨子ちゃんと知り合いみたいだけど……


「…………つ、司さん?」

「何その疑心暗鬼の目!?いやっ、やめてくれよ!信じないでくれよ優梨子ちゃん!!!狙うとしてもあんなイカレポ●チでマジ基地ババァは狙わないよっ!」

「誰がイ●レポンチでマジ基地ババァだいっ!ぶっ殺すよっ!?」バシャー

「うっわぁー!また服に豆乳&青汁のエキスがぁー!ひぃー!」

「つ、司さん……ここは少し落ち着かないので外に出て夜風に当たりませんか?お姉ちゃん達は多分、まだお風呂から上がってきませんでしょうし」

「あ、あぁ……!そうしよう!是が非でもそうしよう!」

「待ちやがれクソガキャァー!塩まいとくれ!塩!」パラッパララッ


俺は風呂上りの優梨子ちゃんに手を引かれて、銭湯から出て行った。……風呂上がりの優梨子ちゃんの綺麗な髪からほのかな香りの良いシャンプーの匂いがして青少年の様にちょっとドキドキしたのはここだけの話。

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