12月25日(8)
「うぅ、もう私のお腹はパンパンマンです……」
数時間後、鍋の具材は大方なくなり、皆は一息ついてのほほんタイムを堪能している。双葉は俺の隣でぐでぇ~っと横になってお腹を押さえている。
「なんれすかぁーなんれすかぁーチミのこの土手っ腹は?この腹は?お前は食いすぎだ馬鹿ちん。それと食った後に横になると牛になるぞーくん」サワサワ
「ひゃうっ!つ、司さんッ、私のお腹に触らないで下さいっ!(///)」
「これはあれだ、ここの腹を愛撫してやるとな、松子デラッ●スみたいなナイスバデェになるんだ」サワサワ
「ほ、本当ですかっ?!な、ならどーんと来いですっ!どーんっ!」
ヌフフ、言ったな?言っちゃったねチミ?
なら、おいちゃんの伝説のゴッドフィンガァーを存分に駆使してチミの真っ白でたっぷんたっぷんなその柔らかなお肉を揉んだり、摘んだり、へその緒舐めちゃったり……
「……お、に、い、様?」ギリギリ……
……するわけナイデチョー!?チミィ!い、いい加減にしたまへチミ達!そっ、そそそんなピンクであっはんばかぁんなプレイがご所望ならフー族にいきなちゃいっ!フー族にっ!べ、別に俺の肩に乗せた妹ちゃまの手が今にも肩肉を抉り取る勢いで力を込められたからとかそんな短絡的な理由でプレイを中断したとかじゃねぇーもんねぇー!
「司さんっ、早く私のぽんぽんを撫で撫でしてくださいー!」
「………」ニコ
「……お前の、チラッ……ぽんぽんは撫で撫でしませんのだ。チラッチラッ……自分で撫で撫でしやがれなのだー、チラチラッ」
「そんな~、あぅ」
双葉は俺の返答でションボリちゃんになっていた。
「司先輩は何でハム太●の口調で仕切りに妹さんの顔色を窺っているんですかー?」
苺ちゃん、それはね。あだるてぇの事情と言うものだよと心の中で呟いておく。すると苺ちゃんは俺の心中を察したのかどうか分からんが、『あぁ、了解です~』と言いながら意味深な笑みを浮かべた。決して、その……妹様がビックビクでションベン漏れそうなくらいこぁい何て事はなくてだな……誰だ今、小悪党とか言ったの。いいじゃねぇか小悪党。かぁいいじゃん。萌えるじゃん。おっきするじゃん。……うん、そこで素直に納得するなよ良い子のリアルぴーぽー君達よ。
「おらおら、アンタら何ぼけ~っとくつろいでんだい。晩餐会はまだまだこれからだよ」
すると魔血子は両手で赤い布で覆われた何かを抱えて鍋の方に近づいてきた。
「煮詰まった残りの鍋のダシ汁にごはんを入れて雑炊にするんだよねお姉ちゃん?」
「ほう……鍋の定番の最後の締めか。だがそれがいい」
「……!雑炊ですかっ!ちょっとお腹が苦しいですけどまだまだどんとこいですっ!べっぱらですー!」
目ざとく雑炊に反応した双葉は起き上がり、キラキラした目で締めのごはんが投入されるであろう鍋を見つめる。それはべっぱらとは言わない、とつっこもうと思ったがまぁこんなに嬉しそうだしいいか。
「あぁ、そんなもんだよ」だばだばぁー
魔血子はそう言いながら、既に煮詰まったダシ汁が入った鍋に黒っぽい……毒々しい色合いの液体を大量に注ぎ始める。……あれ?何かおかしくない?雑炊のためにダシ汁を追加するってのなら分かるが……えっと、何でそんなエゲツナイ感じの液体を入れてんのこのおばさん?
「おい魔血子、何だその毒々しい色の液体は?」
「何ってドクター●ッパーだよ」
「……ちょっと待て」
「さらにポー●ョン追加だよ~」だぼだぼぉ~
俺が制する前にさらに魔血子は煮詰まったダシ汁+ド●ターペッパーに淡青色の液体のポ●ションを大量に入れた。……おかしい、何かがおかしい。雑炊ってそんなんだったっけ?俺がおかしいのか?いや……ちょっと、おばさん、あんた次々に変な液体入れたせいで鍋の中身の汁の色がカオスになってますよ?
「「「「「…………」」」」」
いきなりの魔血子の凶行に対して双葉、栞、優梨子ちゃんはもちろんの事、店長や苺ちゃんまで黙ってじっと魔血子を眺めている。
「あー、それで最後に締めのごはんをどーんっ!」ざぶぁああー
最後に魔血子は冷やごはんを手掴みで思いっきり鍋に叩きつけるように投入する。鍋に、いや俺たちに何か怨みでもあるのですか?おばさん?
「さぁ食え」
魔血子は鍋の中身の『何か』をかき混ぜながら皆にそう言う。その様は魔女が怪しげな部屋でぐつぐつ煮立った怪しげな液体をニヤニヤ微笑みながらかき混ぜているよう……やべぇ、下向いとこう。奴と目を合わせばその場で死刑宣告を受けることと同意。他の皆を見ても、ある者は口笛を吹きながら上を向いたり、そしてある者はその場で座ったまま狸寝入り、さらにある者は『メガネ~?あれ~?僕ちゃんのメガネどこカナ~?』とか言いながら机の下でごそごそしたり……魔血子と目を合わせぬよう必死になっているのは明らかである。つーか店長、あんたメガネなんか最初っからかけてねーだろ。
「(……えっと、甘いのでごまかしちゃえばなんとかなりそうなんですけど……生クリームを入れるのはどうですか?)」(双葉)
「(いや、ここは爽やか系を目指して……パインとかマンゴーとか果物を入れるのはどう?)」(栞)
「(え~っと……じゃあじゃあ、甘いの反対に辛いので攻めちゃいましょうよっ!わさびとか辛子とかタバスコとかキムチとか唐辛子の種とか大量に入れて辛さで誤魔化すとかどうですか~?)」(苺)
「(クサヤとかホ●オ・フェとかシュールス●レミングとか……ここは強烈な匂いを放つ食べ物を入れるのはどうでしょうか……?)」(優梨子ちゃん)
何か女の子(?)4人が魔血子に聞こえないような小声で今後のカオス雑炊に関して対策会議をしている……がっ!らめぇ~!チミ達ー!それは料理の素人がやたら凝りに凝って変な調味料をバカスカ入れて最終的にカオスな料理が出来上がちった♪となんら変わりない方向性の対策だよそれは?!特に優梨子ちゃんのが一番酷いぞ!?やっぱり優梨子ちゃんは優梨子ちゃんでも魔血子の妹ちゃんには変わりないってかっ!?即死フラグ直行だよ!
「(くるなくるなくるなくるなぁ~、俺の方に向くなよクソババァ~)」ボロボロ……
そして俺は店長の方にチラッと向き様子を窺うと福●さんの画風っぽい必死の形相で涙を流しながら手を擦り合わせ何かにお祈りしていた。アホだ、そんな目立つようなことしたらお前……
「おい、そこのロリおやじ。食え」
「orz」
案の定、最初に店長に死刑宣告が下された。現実は厳しかった。
「ハァ……はぁ、ハッ、ハッ、ハッ……フー、フー……」
見事選ばれた店長は何か息切れして目の前のカオス雑炊を充血した目で凝視していた。だ、大丈夫か……?でも、何かミラクルなド変態にしか見えないのはどうしてなのだろう……
「どうした、はやく食いなよ」
魔血子は腕組み、いつの間にか汗だくだくの店長の前で仁王立ちしていた。あれはドSの目だ、知っててやってやがる。飼い犬を見つめるような目で店長を見下ろしている。
「はっ、ハッ……め、メントスを入れれば何とか……」
店長は震える手で大量のメントスを今だ煮立っていない鍋の中に入れようとしている……味を誤魔化すためか?……ちょっと待て。メントス?あっ、メントスってぇ、ちょっ………俺が気付い時には既に遅し。大量のメントスは店長の手から鍋に落ちていきーーー
ジュンジュワァアアアアア~~~~~~プシュルルルルルル~~~~~~…………チュドーーーーーーンッ!!!!!!(←イメージ的な感じで)
「ぎゃぁあああああーーーーーー!!!!!!カオス雑炊が噴水にぃいいいいいーーーーーー!!!!!!!」
いわゆるメントスガイザーの劇的瞬間だった。くれぐれも良い子はマネしちゃだ・め・だ・ゾ・☆