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12月24日(2)

午前7:00。

普段より一際賑やかな街中を俺と双葉は歩いている。目指すは妹という名の鬼がいる駅前、俺の心はビックビクでドピュッドピュッーな感じだった。うん、つまりはビビッているのだよ君ぃ。


「いいか、絶対余計な事は言うなよ」


俺は隣でアホ面をして呑気にゆっくり歩いている双葉にそう警告した。


「はいっ、双葉は余計なことは言わないですっ」


双葉は笑顔で高らかに俺にそう告げた。うん、正直すっげぇ不安。このガキ本当に事の重大さを分かってんのかね?よっし、おいちゃんテストしてやるぞぅ!


「俺とお前の関係は?」

「御主人様とペットですっ」

「目の前に俺のシスターがいる、最初にかける言葉は?」

「不束者ですがよろしくお願いしますっ」

「お前のスリーサイズは?」

「はいっ、上から6(ピー)、5(ピー)、6(ピー)ですっ!」


ダメダメだった。ごらんのありさまだよ!


「うっそ、お前………超ドひんぬーじゃん、幼稚園児じゃん」

「………あっ」


俺がそう言うと双葉は自分が何を言ったのか気付いたのか頬を真っ赤に染める。うむ、しかしおいちゃん正直そこまでとは思わなかったよ。うん、今思ったがこれふっつうにセクハラだな。


「あぁあぅうぅうううっ、つ、つか、司しゃん!そ、それはセクハラれすぅーーーーー!あぁあああ………あぁああ~~~~あぅうううううううううーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(///)」ぽこぽこぽこぽこ


双葉はあまりの恥ずかしさにテンパリつつも俺の腹辺りにぽこぽこと猫ぱんちをお見舞いする。ふはははははぁーーーーー!全然痛くも痒くもないぞロリモドキー!ふはははははぁー…ハハ、はぁ。


「わーったわーった……今のはおいちゃんが悪かったよ。デリカシーなかった、うんごめんちゃい」

「うるぅうううう~~~~~!!!!!言葉に全然誠意がこもってないれすぅーーーーー!!!!!うー!うー!うーーーーー!」


双葉は俺の謝罪に納得できていないのか俺のダッフルコートに掴みかかり、うーうー唸りだす。お前はあれか、二次元のマジキチ幼女か。


「分かった、俺が悪かった。お詫びにここで脱ぐから」カチャカチャ

「あ、それはいいです」


俺がGパンのベルトを外そうとしたところで双葉に素で返されてしまった。何で下半身からなんだとかつまらんツッコミは無しだぞ。それよりお前なぁ……俺の身体はアレだ、色んなもんが生えていて立派な男の勲章バズーカーももれなくドッチングだぞこらぁ………自分で言ってて何か悲しくなってきたぞこらぁ……


「……ともかくだ、今ので一つ分かった事がある」

「うー……何ですか」


双葉はさっきのセクハラ発言をまだ根に持っていたのか上目遣いで俺を睨んでくる。……難しい事言えばさっきの出来事忘れてくれるカナー?てか忘れてくれないとおいちゃん社会的に危ない立場になるのカナー?


「お前は口が軽い!」ツンツン!ツンツン!

「うぅ~……ひ、額を指先で突かないで下さいよぉ~~~」

「これはあれだ。お前は分からないだろうがここのツボを突くとさらにひんぬーになるんだ」ツンツン!ツンツン!

「ひぅ!や、やめてくださいよぉー!!!」バタバタ


双葉は俺の手を振り払い、真っ赤な顔で胸を両腕で隠し、俺を睨んでくる。うん、こーゆーぎゃらりぃがたくさんいる中でそーゆー反応するの止めてくれるカナー?んー?あれー?向こうに青い人が1匹、2匹、3匹………こっちの方に近づいてくるよぉー?


「……とりあえず駅前行くぞ」グイッ

「あぅ~~~手を引っ張らないで下さいよぉ」


俺は双葉の手をとると、早歩きでこの場を後にした。






午前7:15 駅前。

俺と双葉は駅前付近に着くと、遠くから妹の様子を覗っていた。だって、いきなり出たら怖いもん。


「……ちゃっかり来てやがるな」

「えっと、どの方が司さんの妹さんなんですか?」

「ほら、あれだよ。今まで人を何人も喰い殺していそうな醜悪な面して牙をギンギンに剥き出して『ウジュォルルル!』『ブェエエエエ!』とかワケの分からん奇声を何度も放ち、涎を垂れ流している怪物モンスターがそうだよ」

「うぅ~~~そんな化物みたいな人どこにもいないですよぉ」


確かに俺の台詞は大げさかもしれないが、どう見ても不機嫌そうな顔で座っている……うっわー、あれは絶対怒ってるよぉー……僕もうお家に帰りたいよぉー……あ、もうお家無かった、シクシク。


「ちっ、鈍い奴だな。ほら、あのベンチに座っているツインテールがそうだよ」


……いや、さっき醜悪とかモンスターとか言ったけど、容姿だけ見るなら普通に可愛いと思う。別に家族だから贔屓目で言っているわけじゃないぞ?薄茶髪のツインテール、端整でどこかまだ幼さが残る顔、透き通るよぉな白い肌、ある程度出るとこも出ているし、おいちゃんも出るとこ出るし。しまった、何か今の変態チックだった。……いや、ホント妹で欲情しているわけじゃないよ?……高校の頃まではちょっと、ね。……な、なんだ!その目はぁ!し、仕方ないじゃん!あの時は今より色んなものが溜まっていたんだよぅ!


「普通に可愛らしい方じゃないですか」

「あぁ、お前はブサイクだけどな」


俺はとりあえず大魔王に会う前に双葉をいぢめることにした。何?大のアラサーの男がやる事じゃないって?あぁ!悪かったな青臭いガキで!俺は身体は大人で心は純粋無垢なガキなんだよチックショー!


「あぅ!」


双葉は突然の俺の悪口に愕然とする。


「やーい、ブサイクーブサイクー」


もち、こんな事は嘘だが。むしろ逆だが。何故だろう?コイツをいぢると楽しいのは何故だろう?俺はドSなのか?いやドSは魔血子だけで十分だ。(ちなみにドMはてんちょーだ)だから、俺はノーマルだ。Nだ、Nのはずなんだ。アブノーマルのノーマルじゃないぞ。


「ブッサイクッ!ブッサイクッ!」

「うぅ……」


双葉は涙目になる……やべ、言い過ぎたか。しかし、何故か止まらない。チキンランでもなまじブレーキを踏むより突っ走った方が助かる公算が高いとか聞いたことあるし。うん、自分でも何言ってるかワケワカメちゃんになってきたよ。


「うぅ、わっ、私は不細工じゃないですっ!!!で、出るとこも出てますしっ、そ、それに!アメリカンとメキシカンの違いも分かりますっ!」


双葉は半ばヤケクソ気味で真っ赤な顔して叫ぶ。ん?メキシカンって何?カクテルの事か?


「へぇ、じゃあ美人ってか。お前は自分で美人って言いたいんだな!?自信過剰女!」

「ち、違っ……」

「へぇーへぇーへぇーへぇーそうれすかーへぇーへぇーへぇーへぇー出るとこ出てますかーへぇーへぇーへぇーへぇー」


俺は双葉の全身を嘗め回すように見る………


「うぅ……」

「ぷっ」

「あ、あう、あうぅうううああああああああああ~~~~~~~~~~(///)」ぽこぽこぽこぽこ


俺が少し吹いたのが双葉の羞恥の引き金となったのか、本日二度目の猫ぱんちが俺の腹を炸裂する。フハハハハハァー!しかぁしっ!貴様の弱小な攻撃なんぞで我の装甲は破れんわぁーーーーー!フハハハハハーーーーー………は?あり?ありり?ちょっ……ちょっ、いたっ!さっきよりいたっ!すこぶるいたっ!


「ちょっ、タンマ!タンマ!タンマ!ウル●ラマンのカラータイマー!ちょっ、いたっ!ごめん!お、おいちゃんが悪かった!おふざけが過ぎた!お前はかぁいい!スーパーハイパーウルトラめがっさかぁいいって!ちょっ!ごめん!マジですみませぇんっ!」ぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこぽこ


「うぁあああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(///)」ぽこぽこぽこぽこぽこぽこ


しかし俺が何度も謝っても双葉は聞く耳を持たない。双葉は半ば半狂乱でひたすら俺の身体に猫ぱんちを振り下ろすのみ。俺はたまらず後退するが、それと同時に双葉が前から攻めてくるっ!は、激しいっ!激しいぞ双葉ぁ!アッー


「ちょっ、それ以上やったらこける!こける!こけちゃうのぉーーーーー!」

「あぅうううううううううーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!(///)」


や、やばいっ!バランスが……!俺は双葉の猫ぱんちの猛打に耐え切れずそのまま背中からアスファルトの地面に倒れてしまった。ぐぉおお……すんげぇ痛ぇ……


「あーーーーー!あーーーーー!」

「お、おいっ……ちょっ、おまっ」


双葉は仰向けで倒れた俺の腹の上にまたがり、奇声を上げる。や、やばい……双葉ちん壊れちまったYO!


「ちょ、この体勢はやばいって!双葉サン!?」

「うーーーーー!うーーーーー!」


ひぃいいいいーーーーー!目が据わってらしゃるぅうううううーーーーー!だ、誰か!た、助けておくれやすぅーーーーー!






「……お兄ちゃん?……何やってんの?」






心の中で魂のSOS(?)を求めていると、よく知った………妹の声が聞こえてきた。あぁ……双葉と馬鹿騒ぎしている間にお呼びじゃない人連れてきちゃった……俺はこの後、予想される展開に絶望を感じながら目を閉じた。

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