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美姫の霊格

今は昼休み。多くの人々が食堂へと移動して行った。残された少数派の私は何時も一緒に弁当を食べている友人に近寄ると、トントンと肩を叩いた。

「昼だよ」

彼女は穏やかにすぅっと目を細めると、黙って頷いた。一輪の華にも見える絶世の美姫。肩から零れ落ちる黒髪が光を返して輝いていた。

彼女がいそいそと弁当箱を取り出し、きちんと席に座るまでぼんやりと一連の動作を眺める。

「君、昨日と匂いが違う」

「あら?」

今朝から予てより気にしていた事を問うと、問われた方の友人は制服の裾を引っ張ると、鼻を近付けて匂いを嗅ぐ。

違う、そうではない。私が言っているのは鼻腔をくすぐる匂いではない。体から滲み出る霊気のことだ。何時もは彼女そのものの甘い霊気を放っているのに対し、今は別の神聖な何かが混じった匂いがする。もっとも常人に分かるものではなく、霊力の高い者や神々にしか分からないものなのだが、どうやら本人も録に理解していないらしい。常々桁外れの霊力を放っている張本人なのだから、すぐにでも気が付きそうなものだが。

昨日、私と別れた後に何かあったな?

「男の匂いがする。神にでも抱かれたかい?」

「はい?」

鎌をかけたつもりが、ぽかんと口を開けている。何を言っているか分からない。とでも言いたげだ。まぁ鎌を掛けても掛からないのは昔からだ。せめてもう少し可愛らしい反応をしてくれたら良いのだが。

「言ったこっちが恥ずかしくなってきた。今の言葉は忘れなさい」

私は弁当箱を広げるついでに、色々なファッションを網羅した男共が載っている雑誌を開いた。前に座る友人に広げて反応を伺う。

「で、君はどういったのが好きなんだい?」

「んー……。この人」

パラパラと雑誌を巡ること数分、ピンと来たのかある一人の男を指差した。黒と紺の間の着流しを纏った、髪の短い男性。目付きが悪く、酷く切れ長。合わせ目の間から除く生っちろい素肌が妙に扇情的だった。

やたら見覚えがあるのはさておいて、さも何でもないような口ぶりで適当に流すことにする。

「へぇ、こんなのが」

嫌な記憶を思い出し、顔を顰めるのを我慢しながら答えた。

「興味無さそうね。自分から聞いて来たのに」

「今後の参考にしようと思ってね」

「あら、もしかして服のことを聞いていたの?」

「そうだけど?」

どうやら彼女はどんな男がタイプかを聞かれてると思ったらしい。気を取り直したように、またページを捲り始める。その様子を見ながら、昨日何があったかを薄々感じ取った私は、自分の目付きが吊り上がるのを抑えて、束ねた髪を払い除けた。

とうとう唾を付けられたか。いや、問題はそこではなく、彼女自身が彼奴を気に入っていることにある。こりゃ連れ去られるのは時間の問題だぞ。

やっと出せました!!

自分が作ったキャラなので、どの子も大好きですが、この子が一番好きです。(だったら名前早く決めなさいよ)

主人公よりも主人公してます。

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