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七つまでは神のもの

夢を見た。私がまだ修行中の身。まだまだ幼く、術式の一つとして録に完成させられない頃の記憶だ。

その日は血のように赤い夕焼けが落ちかけていて、家路に向かおうとしていた時だった。早く帰られねば皆が心配する。そう思って駆け出した時だった。

今まで見かけてきた神の眷属とは違う圧倒的な霊圧。全てを呑み込み、喰らい尽くす圧倒的な気配に身を竦ませた。そのまま振り向かずに走りされば良かったのだ。そうすればきっと、彼奴には出逢わなかった。

「七つまでは神のうち。人間達はそう言うようだね。だったら僕が連れ去ってもきっと文句は言われないだろう。違うかな」

「あっ.......あぁあ.......」

黒と紺の中間の着流し。ざんばらに切られた短髪と切れ長の目が余りにも印象的だった。人とは思えない程の美貌。しかしそれ以上に其奴から放たれる雰囲気が恐ろしくて録に呂律が回らない。

男は私の目線に合わせるようにして身を屈めると、生っちろい腕を伸ばして来た。逃げろと本能が警報を鳴らす。しかし圧倒的な力量差に脚が竦んで動かない。

銀庭(ぎんてい).......」

怯え切った私が放ったは、日頃から面倒を見てもらっている式の名だった。目をとじて彼の顔を思い浮かべる。何か危険な事があると真っ先に駆け付けてくれる。しかし彼は私の式ではない。正式には父のものだ。その上彼の目の届く所にさえいない。だから名を呼んだところで来るはずがない。そう思っていたのに。

「お嬢に手を出すことは、止めて頂こう」

低く艶のある声を聞いて閉じた目を恐る恐る開く。此方に向かって来た手はぴたりと動きを止めて、主の膝小僧に行儀良く戻って行く。顔を恐る恐る上げると美しい男の、生っちろい首に銀に光る刃が当てられていた。

来て.......くれた。絶対に来ないと思っていたのに。

「へぇ、この子が次期当主なんだ」

男は世間話でもするように落ち着いた語り口で話す。一歩間違えれば首が飛ぶという異例の事態にも関わらず、雰囲気も霊力も何一つ変わっていない。それが幼子ながらに更に恐怖を掻き立てる。

ちらっと過去編をお見せしました。

俗に言う、気まぐれって奴です。

傍若無人なところは何も変わっちゃいません。お前が俺に合わせろ精神で桜華は今日も生きてます。


追伸

同業者ちゃんのキャラ設定考えてます。

見えた過去はやっぱり衝撃的でした。やることなすこと私の想像を超えてゆく登場人物達です。

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