神との出会い
「君、名前は?」
ふと、顔を上げると一人の男性がいた。艶々した黒目と同等のざんばら髪。黒と紺の中間の色合いをした着流しを、だらりと着崩して私を見下す。その目には若々しくも鋭い眼光があった。
私は彼を見上げたまま、小学生のような事を口走った。
「……父様から、軽々しく名を口にするものではないと」
「面白いね」
虚無的な私の反応に対し、彼はさも可笑しそうに肩を震わせた。口元に手を当てて、表情がよく見えない。捻れたとき、首に筋が浮かび上がった。その仕草に色気を感じてしまう。
そんなに、面白いだろうか。もしかしすると笑い上戸なのかもしれない。
それが彼との出会いだった。そして何より、私の記念すべき初恋だった。
“一目惚れ”なんていう言葉はそも、好きではない。一目見ただけで相手の何を知り得、何を理解すると言うのだろう。如何に容姿が良かったとしても、性格的な相性が壊滅的なら関係は長くは続かないと思っている。
だが、口元を隠して笑う仕草や、剥き出しの首から覗いた血管が膨らむ姿にどうしようも無く惹かれたのは言うまでもない。
あれ以来、脳裏に彼の姿が焼き付いて離れない。あの切れ長な目に私を映してほしいと思うようになってしまった。
彼にまた、会えるだろうか。
趣味に走りました。
本当に申し訳ありません。
完結済みの作品を見投稿していく形なので、エタりません。
(作者のガッツがあれば)
お暇で心優しい方、読んでいただけると幸いです(・∀・)




