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アフター二話 「哀愁」
「私がこの剣を振れば、誰かが傷つく。私はもうこの剣を振るべきじゃないのだろうか……」
少女は、ビルの屋上でたなびく風を浴びながらビルの淵に座っていた。
「そんな事はないんじゃねえの?」
不意にポートした恒星は天海にそう告げる。
「剣豪士の一件、その敵討ちは果たせそうなのか」
「復讐を考えている暇はそんなにはない。奴のように私を狙う者のみ、倒す」
「それは正しいと思うが、肝心なのはそいつらの親玉をぶっ倒すことなんじゃねえかって。そう思うけどな」
天海の後ろには血の海に浸る真っ二つになった先ほどの男。
「剣豪士の第六感を使用しこいつの指令元を見つけ出した」
「なに!近くにいたのか!」
「しかし逃げられた。こいつは正当防衛により分断した」
天海は小さい体で立ち上がり、手に大剣を出現させる。
――ボォーン!
大剣がどこか切ない遠吠えをしたように恒星の耳には聞こえた。
恒星は、ビルの狭間に消えていく天海をただ見つめることしかできなかった。




