表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レノン・レノイドの気まぐれ世界  作者: 夢見文太
第一章 華の学園ライフスタート!
2/24

一話 衝撃、うん衝撃

神奈川県立 鳴木高等学校 校則


其の一

クラスは変則性構成とす。

一の組を普通科とし、転成士、魔導師関係なく配属できる。


其の二

制服は以下のようなブレザー、もしくは目立たない私服とす。

または、魔導師であれば魔導具となる魔導ローブを身に付けることを推奨すべし。


男子ブレザー

明るい紺色。

ネクタイはえんじ色。

前は黄色のボタンが四つ。襟には白基調のライン。

スラックスは、自由であるが本校のグレーと濃紺のチェック柄を推奨すべし。

着方は自由である。


女子ブレザー

明るい紺色。

蝶ネクタイはえんじ色に白基調のライン。

前に黄色のボタンが二つ。襟には白基調のライン。

スカートは短めとし、色は明るいえんじ色。

もしくは、明るい紺色。黄土色の中から選ぶこととする。


其の三

基本的には、一年生は学校での授業。二、三年生は課外授業を主体とす。



――ちなみに、国待清太はブレザーを着ている。



「うっわぁぁぁ!!!ちっ、遅刻ぅぅぅぅ!!」


朝から騒がしく一人の少年、俺、国待清太(くにまちしんた)が階段を慌ただしく駆け降りる。 

俺は足を踏み外して床に向かってダイブをキメル。


「おいこらっ。あぶねえって」


私の兄上がフィギュアスケート選手のように、床をツツーっと滑って俺の着地点までやってきた。 


そして俺をキャッチ!


「うーえー、寝ぼけすぎだろ俺……」


「まったく。朝ぐらいもっと静かにしなさいな」


次の瞬間俺は床にケツから落ちた。


「いったっ!ちょ、ちょっとはましかな……。はは……」


俺が床に向かって落ちた理由にもなるのだが、その俺が床に向かい始めた瞬間に、再びまな板を叩く音が聞こえるのである。


「ま、どんまいだな」


兄上が言う。


「うーんー。ちょっとひどい」


俺が悲しむ。

とりあえず俺が立ち上がり兄に復讐を図ろうと近づき、後ろからね、そーっと……、蹴る!


「ああ」


なぜか兄はそうつぶやき、“消えた”。

ゴン!いい音を鉄の戸棚がたてた。


(いいね、これほんといい音だよ、うん)


「じゃねぇ!いってぇぇ!」


ジタバタジタバタ……。


「おまえー、なんでこんなに目覚まし時計早く設定してんだよー。あほか。それに今6時だしな」


俺が床でジタバタもがいている時に、そう呑気に言う兄であった。


「図ったかっ、バカアニキっっ!」


「だれがばかだ、だれが」


パッと床に横たわる俺の真上に現れて、俺をグシャッと踏みつけてそう言った。


「もう、いやだ……。死にたい……」


「いいなー。俺も瞬間移動できるようになりたい。てかアニキは移動士(ポーター)だったよね」


俺がアニキの愛妻朝食的なものを食べつつ、本音を唐突に吐きつつそう質問する。


「まあそうだな。母さんが移動士だし、その血を引き継いだ感じか。今更思うが」


「じゃあなんで、俺には父さんのも母さんのも引き継がれねえんだろな……」


「ああ、まああれだ」


「言わないでください、わかってます」


「とりあえずあれだ、ってのは、努力さえあれば誰でも使えるもんだからさっww」


(え、なんでアニキそこで黙るのです……?)


どやぁ


(なんかむかつくぞ……)


「さて。肝心な転成力(てんせいりょく)だが。お前はどれぐらい理解できているんだ?」


そうだ。この世界には“転成力”といういわゆる超能力みたいなものがはびこっている。


「ああー、まあね。転成力は、なぜこんな名付け方をされているかというと、全ての人たちにその能力があって。そんでえーと」


「念写することによって、物質など存在する自分以外のものすべてに何かしらの転成する力を与えることができる。そして、俺ならそれによって瞬間移動をすることができるように 力を与えるところから転成力って名付けられたのさ」


(アニキに先に言われてしまったか……)


「お前が遅いからだっ。読者の方に分かりやすく簡潔に説明をしてくれないと困るんだぜ?」


(ここでいう読者とは、きっとこれを読まれているあなた方を差しているようですね……)


「――ってメタ発言やめて!」


 朝食を食べ終えた俺は、とりあえずやることもないのでアニキと仲良くラブラブ、いや、腐女子の方々を釣りながら、ニュースをとりあえず観ることにした。


俺があそこまでいじめられていた(まあアニキはずっとそんな性格だから慣れているが)のは、仕方ないことだろう。

アニキは正直天才だ。


見た目はなんていうか、爽やかな短髪系かな?割とガッチリしていて、背も高いし、ご覧の通り料理も上手い。まあ完璧すぎる。

だが、昔から高みを目指しすぎる部分があるので、色々やらかしてはいる。


それに高校時代はよく性格の悪い教師にケンカを売っていたものだ。そして、最後には必ず泣かす。泣かすまで続けるのだ。


つまり、ド・エ・ス!


とんでもない。えげつない。人間じゃない。そんなのが彼、アニキである。

だがしかし、なんだかんだ天才なので、彼は移動士(ポーター)と呼ばれる転成士であるのだ。

“ポーター”とは、また、次の機会にでも説明させてもらうとする。なんせ説明が難しいから、それも“テレポーター”と呼ばれない理由にもなるのだが。


 そんなこんなでようやく時間がやってくる。10時までどれだけ長かったことか。


「まあそんなこんなでね、可愛い弟がこれ以上落ち込まないよう急いで行きましょうか」


にたぁーとアニキは笑みを浮かべる。


「誰のせいだ、誰の」 


兄に力なく反論する俺である。


なんとか無事に、話的にも個人的にも進むことができて、ようやく家を出て、駅に向かう準備が整ったところだ。


「しかし、ほんとにまあ、ナルコーに受かるとはよくやるな。まあ、今更だが兄はそう思うぞ。それに俺の母校だしな、誇り高くもある」


「そういえば、そうだね。アニキ随分無茶したらしいけど……?」


「はっはっ、俺は正義を貫き通したまでさ!」


「……てかさ、アニキ暴れたっていっても、正直、いや、悔しいに近いんだけど……。正当な暴れ方だよな。教師に反論しまくってただけみたいだけど?」


「まあ、そうだな。あ、えーとなんていったかな。多分まだいると思うんだが、俺が尊敬してた数少ない先生」


(え、アニキにも尊敬とかあったんだ、じゃなくて、尊敬してる先生がいたんだ)


(それと話逸らされたし……)


「俺だって尊敬する心ぐらいはもってるさ」


(そうだったのか、ここにきて初耳である)


「なんていったかなー。隊長隊長呼んでた気がするな」


「隊長?またアニキのことだから、変なもんでも立ち上げてたんじゃないのか?」


「まあそんなとこかな。いや、まあとりあえずデカくて目立つし、タバコの匂いが混ざりつつもいい香りがするって覚えといてくれたら分かるさ」


「はあ……、わかった」


とりあえず、俺は今から何をするのかという説明から始めようか。


実は俺は今日から晴れて高校一年生、公立では神奈川県トップの進学校神奈川県立鳴木(なるき)高校に、とんでもない競争の中勝ち抜いたまさかの実力者な俺である。


通称“ナルコー” はとんでもない学校である。転成力が必要不可欠なこの時代、高校からガッツリと転成力の実践的な技術を学ぶということが、文部科学省から定められている。


そうなのだが、ナルコーでは、公立のくせにより高い知識や技術を学ぶ事ができる。


――っとこれ以上はまだネタバレはやめておこう。

これは入学式のお楽しみで。


「わあ……。あんまり来てなかったから気づかなかったけど、やっぱり横浜はすごいな……」


俺が仰天する。


「まあな、俺らは小さい頃よくここで遊んでいたんだぞ」


「小さい頃って、俺がまだ小5の頃でしょ、憶えてないって」


「そうだったっけなー。……そういえばな」


(え? アニキどうしたのだ……。)


「まあ、どのみち、まだ神奈川が首都になる前の話だもんな」


とアニキが説明する。


「あれ、神奈川ってそんな最近に首都になったんだっけ?」


「憶えておけよちゃんと。あ、みろよ。最近名物になっているここの通勤ラッシュだ!」


(なんだよ、アニキ…… なんか急に雰囲気が変わった気が、それはさておきそうアニキがはしゃぎ……シュン!! え?シュン? あ、ああああ、この感覚、ちょ、まじ勘弁!)


「うわぁっ!」


ドテン!!と古めかしい音をたてて通勤で急ぐ会社員の群れに突っ込んだ。ちなみに、イタズラアホアニキのしわざである。

パッと不意に俺の目の前に、アニキが現れた。


「なんだアニキ、まったく冗談もほどほどにしてくれよなぁ。もう」


「ふふふ…… これはお兄様からの第一試練とでも言っておこうか この世界を生きる術を覚えるのであるぞ」


パッと兄が消えた。


「え、ええ!?な、なにすんだアニキ!こら!どこいった!」


だが、俺はそんな状況下見とれた。仕方がない。


地べたにしりもちをついてる俺は、見たのだ。

JR神奈川駅とも何とでもいえよう巨大な駅から出てくる人々は、全員とにかく急いでいる。


路面をツツーっと滑っていく者あり。

駅から外に出た途端空を飛んでいく者あり。

カバンを落とすとすぐに手に引き寄せる者多数。


駅のすぐ近くのコンビニ前に兄のように急にパッと現れてなにくわぬ顔で入っていく者、これは数人あり。空プカプカ浮いている人あり。


とんでもない。俺にとっては衝撃すぎて我を忘れかねなかった。


というのも、自分が中学までいた場所はここまでの人口ではなく、神奈川県の端の方。

正直なかなかの田舎だったので、確かに結構転成力を使う人がいたにしても、こんな景色は見られなかった。


自分は横浜にはほとんど来た事がなかったし、来たとしてもラッシュには出くわさなかったし、その時にみんなゴリゴリ転成力を使っていたにしてもこんな状況ではなかったし、特に気にしていなかった。


だが、これはすごい……、やばい。


「あぁ……、すげぇ……」


まるで田舎丸出しの様だなこれは。


――パッ。


「言い忘れていたが、可愛い弟のために言おう。健闘を祈る」


――パッ。


(愛の形をどう考えても間違えている……、くそ)


「だれじゃぁぁぁ!! いま突っ込んできたのはぁ! ブチ殺すぞボケがぁ!」


怖い人A。


「でてこいやごらぁ!」


怖い人B。


顔が青ざめてきた……。


「なにゆうてんねんコラぁ!」


怖い人C。


――パッ。


「さすがにやりすぎたわ、わりわり。逃げるぞぉ」


シュン!


これは、ポートする時の感覚だ。昔からアニキに無理やりポートさせられて、変な感覚である。ポーター以外は慣れない感覚を味わうらしい。


「さあて、誰じゃ!?あん?おまえかおい小太り!」


(あ、怖い人Cだ)


「やんのか?俺は強いで?それにお前も小太りやろが、え?」


(あ、怖い人Bだ)


「上等じゃぼけぇ!!」


そうすると、地面が急に盛り上がる。


もごっ、もごもご、ばきばき!!


と音を立てて、次の瞬間植物がとんでもない勢いで生え、そのままの勢いで相手に向かって伸びていった。


(先を尖らせてね。ああ、怖い)


「ばかが!」


シャキンシャキン!


ともう片方のやつは、徐々に構築して姿を現した大きな刃を念力っぽく操り、その植物を根本から切り落とした。こいつ、なかなかやる。


それから、攻守がランダムに入れ替わっての攻防戦が繰り広げられていた。

残念な気持ちだが……、まあ慣れているのだろう。無視する人がほとんどだが野次馬も何人かいた。


「おいおい……アニキ」


「まあ、たまにはいいんじゃね?」


「いいのかこれ……」


「ちなみに、この首都の魔術警察って元気でな すぐに駆け付けるから大丈夫さ」


「そういってもだな……」


俺はとことん呆れる。


だが、そんな事態はある出来事で警察によるものより先に、解決してしまう。


「ちっ」


そう、舌打ちをする少年が駅側から二人に向かって歩いてきた。


そして俺らはまあとにかく、その、小柄な青年が歩いてくるのが見える位置にいたのである。だからその光景をよく観察できた。

例えるなら見た目はテニスの王子様とでも言っておこう。目つきはかなり悪かった。


「この子さ。愛する弟には、この伝説の少年を見せてやりたかったんだ。最近通勤ラッシュに続き名物となっているこの光景をだ」


たしかに聞いたことはあるが、この為だけにこの俺をあんな危険な目にあわせる必要はあったのだろうか。


「じゃまだよっ」


ドッカーーーーン!!!!


「え、え?」


俺は、戦っている二人がいた位置を見た。

二人ともしりもちをついていて、数人の野次馬も立ちながらも、硬直しながらも、道を開けていて、そしてその道をその青年がものすごいイライラした顔を数秒した後顔がすぐ戻ったのだが、そのまま歩き続けていた。


そして頭上で、ものすごく小さな爆発を起こしながら堂々と歩き、道沿いに歩いていった。

うん、絶対怒ってる。


「な?見れてよかったろ?これが噂の“爆発少年”!彼見たさにここにわざわざ集う人も少なくないとかな。実際にファンクラブも出来ているらしいんだこれが。ただ、どう考えても危険ではあるのは確かだ」


飽くまでも、俺は近付きたくない。


ビュワーーー……。


急に、バトっていた二人の前に、二つの魔法陣がありきたりな感じでクルクルーと回りながらすごく小さい円からそこそこ大きい円になって出現した。


「ちょーっと、遅かったんじゃねーか?」


アニキがそういう。


次の瞬間白い人間のシルエットが各々出てきて、そのシルエット通りに人間が、パーと出現した。


それと同時に一人は走っていく、一人はゆっくり歩いて、


「はいー、そこまでー、ってありゃ終わっちゃってるし。いつもあの子終わらすの早いねー。いいかい?俺らが遅いんじゃなくて、あの子が速すぎるの、わかる? あ、てか久しぶりじゃないか。あらあら、子供も連れて、成長したじゃないか!」


そう、さっきアニキの紹介にあったおっさんが現れそう言った。絶対その人だ、間違いない。アニキが好くようなタイプの人間だ。


「またまた、隊長なんか全然変わってねーな。あれだよ、今日弟が入学式で今送ってるとこ」


「まあ、少しは変わっているかもしれないがな。そうかい、合格おめでとう。まあ紹介には与っているようだし、またな、こっちの処理もあるから」


「ありがとうございます、よろしくお願いします」


「あーあーかしこまっちゃって。礼儀正しくてよろしい。それじゃあー木崎(きさき)、調査始めるぞー」


そういうと、一緒に魔法陣から出現した少し背丈のある魔術警察の人と一緒に調査をしに行った。


「あの人がアニキの言ってた先生、だよな?」


「そうだ、実は魔術警察でな。そこからなぜかナルコーの教師としても出されているんだ」


「へー、……確かに、アニキが好くのも分かる気がするよ」


「困ったことがあれば、あのおっさんになんでも言えば助けてくれるぜ。俺も何度も救われたしな」


「え?」


まただ、またアニキのこの微妙な感じのモードだ。とにかく、身近に信頼できそうな人がいて良かったかな……。


俺はますますこれから向かう学校が楽しみになってきた。

なにかが起こればいい、そう考えていたかもしれない。


一話 完




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ