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氷塊のクレイオ  作者: 柴門秀文
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ブルーの名称1-5

「こらこら、女子を大切にしろよ。求人難だからな」

 後ろから歩いてきた班長の河崎(かわさき)宗次(そうじ)が牛岡を(いさ)めた。牛岡とは同期の警部補だが、出世の違いは性格の良さか。

「北越さん。珍しいですね、こんなところで。もう、よろしいんですか?」

 ()かさず河崎が声を懸けた。何か思うところがあるのか、北越が言葉を詰まらせた。

「気にしないでください。個人的な問題ですから」

 ベース・キャンプでは事情聴取が始まっていた。北越に断りを入れて、河崎がプレハブに向かう。従おうとする大空と牛岡に、振り返った河崎が口を開いた。

「牛岡は、第一発見者から聴き取りをしろ。いいか、第一発見者。包み隠さず状況を説明するんだからな」

「偽証して、どうするんですか? 報告書に纏めますよ。ダメですか」

 牛岡の聴き取りなんか受けたくはなかった。どうせ、誹謗中傷を繰り返すだけだ。

 取り出した手帳で、牛岡が大空の頭を小突いた。

「主観だけで調書を書いてどうする。客観性が必要なんだよ。客観性が」

「客観性はごもっともですが、主任どの。遺体の回収が先決ではないですかね?」

 牛岡の剣幕に困惑する鑑識隊長を指差して、北越が揶揄った。

 興奮が止まらない牛岡を他所に、北越が鑑識隊長に問い掛けた。

「ホトケは流氷の下です。誰か、スクーバの経験者は、いませんか?」

 鑑識課員の全員が、本気になって頭を振った。若手の一人が遠慮がちに小さく手を上げた。大空と同期の水谷(みずたに)高貴(こうき)だった。

「夏のグアムで潜った経験がありますが、一度きりです」

「大丈夫ですよ、初心者でも。こちらには優秀なインストラクターがいますから」

 北越に背中を押された大空は、思わず片手を挙げた。


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