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氷塊のクレイオ  作者: 柴門秀文
8/190

ブルーの名称1-4

 海岸沿いの(どう)(どう)に、次々と捜査車両が到着した。

「いよいよ、到着だね。どうやったら検視ができるかな」

「まずは、流氷の下からホトケさんを救出しなくちゃですね。ダイバーが必要だわ。手伝っていただく必要があるかも知れませんよ」

 顔を上げて北越の顔を見ながら話した。見下ろした格好で、北越が口元だけで笑う。

「しかし、大変だな。なにしろホトケさんが分厚い氷に閉じ込められているんだからな」

「流氷に穴を空けて、氷柱ごとクレーンで引き揚げる必要がありますね。遺体を損傷しては、満足な検視ができませんから」

 大空は真剣に答えた。

 肩を竦めて、北越が苦笑した。

「夜まで掛かるかも知れないな。先延ばしはできないからな」

「風向き次第では、流氷が沖に流されますものね」

 大空は顔を(しか)めて見せた。

 停まった警察車両から、鑑識と刑事が海岸に降りてきた。

 先頭を切って歩いてきた主任警部補の牛岡(うしおか)権太(ごんた)が、容赦なく大空の背中を叩く。

「またソラマメかぁ、面倒な話ばかり持ち込むんじゃねえよ。まったく」

「私が持ち込むんじゃなくって、たまたま出会っちゃうんですぅ」

 大空は口を尖らせた。

 牛岡が怒るほどではないが、非番の日に限って大空は事件に巻き込まれる。

「大した事件じゃあねえんだけどな。重要度が低いくせに、やたらと謎ばっかり多すぎる」

「でも、今回は死体ですよ」

 言い訳した大空を無視して、牛岡が北越に向き合った。

「なんで、ここにいるの、あんたぁ? 関係者はプレハブの中に待機して」

 不機嫌な声を出す牛岡に頭を下げ、北越が警察手帳を翳して身分を告げた。

「方面本部の部長刑事(でかちょう)さんが、どうしてここに?」

 一瞬だけ声を詰まらせてから、牛岡が身分を名乗る。

 中標津警察署刑事課、主任。

 階級は北越より高い警部補だが、所轄の負目からか、牛岡が追従笑いをした。

 苦々しい表情が、あからさまに見えていた。

「すみませんね。たまたま、出会っちゃいました」

 北越が揶揄(からか)うと、牛岡が大空の背中を拳で突いた。

 明らかに飛ばっちりだ。


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