表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

8.ギルドカード

 しばらくして要も気が付き、三人ともがゆっくりと椅子に座り紅茶を啜っている頃。


「お邪魔しまーす」


 ガチャリと扉が開いた。


 先程の電話と同じ声だ。


 鬼火はティーカップを傾けながら、さっき師匠が言っていた来客とはこの人かと納得する。

 要の知り合いでもあるらしく、彼は一瞬怪訝そうに眉を顰めた後、納得した顔をしていた。


 声の主はすたすたと入って来て、カウンターの傍にいた鬼火に向けてカードを差し出した。


「私はギルド受付のリリアナです。遅れてしまい申し訳ございません。こちらが鬼火さんのギルドカードになります。念の為、間違いが無いかご確認下さい」


 鬼火の目が点になった。決して「定番のギルドカードを忘れていたとは」と衝撃を受けている訳では無い。


「浮かんでいる画面は、持ち主以外が見ることは出来ません。また紛失した場合、発行代金が掛かりますので失くさないようにしてください」


 カードについての説明が続いているが、聞いているのかどうか。鬼火はきらきらとした目でカードを眺めている。



__________

【鬼火】 冒険者ランク:F


性別:女


職業:メイン 星詠見習

   サブ  水晶細工師見習


スキル:無し


称号:神々の気紛れ(プレイヤー) キャスト


フレンド:無し

__________



「間違いは無いようだ。質問なんだが、この冒険者ランクというのは全部で何段階ある?」


「現在ですと、七段階あります。下からF、E、D、C、B、A、S、ですね。ただここ数年でランクの種類が増えてきているので、これから増える可能性はあります」


「成程、ありがとう」


「細かい説明はカードの端から開けるメニューで確認出来ますから、何かあれば覗いてみて下さいね。私はこれで失礼します」


 実はこのギルドカード、カードとは名ばかりで、プレイヤーの視界の隅に映るメニューと同じ事が出来るのである。連絡機能がメインでは無いスマートフォンと言えばいいだろうか。メールやチャットはあるが電話は無い。


 基本的に文字は、名前とランクが刻まれたカードの上に浮び上がる画面に表示される。かつ仕舞おうとすればふわっと消えて、出そうとすれば手の中にぱっと現れる不思議仕様である。カードのみ、画面なしの状態を保つ事も出来るようだ。


 リリアナはまたガチャリと扉を開いて、ギルドの受付に戻っていった。


 鬼火は視線をカウンターに戻した。

 要がお茶請けの(そもそも)クッキーを食べ尽くし(量は多くなかったが)ていたのを見て衝撃を受ける鬼火。


 それを気にせず要は、フレンド申請をした。

 しれっとトヨも便乗している。


 フレンド一人目と二人目だな、とわくわくしながら鬼火はフレンド申請を承認した。


「そうだ。水晶細工師見習ならあれがいるじゃないか。取ってこよう」


 ふと思い出したように唐突に呟いたトヨは、何かを取りにカウンターの奥にある扉をくぐって店の奥に入っていった。

 唐突すぎて鬼火は反応出来ていない。


 その直ぐ後、ピロンッ!という音と共に、要のカードにメールが届いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ