番外編其の一 という名の作者のおふざけ
⚠︎注意⚠︎
これは番外編です。
本編には全く関係無いので、読まなくても支障はありません。
一部は、伏線を張る事に挑戦した、という名のネタバレもどきでもあります。
ゲームならCMがあるだろ、というノリで書いた番外編です。
なんでもありな方、暇潰しにでもどうぞ。
VRMMORPG『The Dreams』の宣伝用動画。
それはゲームの所々を宣伝するというよりも、キャストを追いかけ、そのシーンを少しずつ見せているような印象だった。
音声が無くBGMのみの変わりに、所々ネタバレや状況の説明をしているテロップが流れる。
*#*#*#
月明かりが照らす、和風な城下町。
本通りの真ん中に、仁王立ちする老翁がいた。袴の裾が夜風にはためく。
『縮緬問屋の御隠居です』
抜き身の太刀を構え、隙が無い。
そこに襲い掛かる怪しげな忍。
『若様って呼ばれています』
静かな応酬が始まった。
画面は切り替わる。
昼間の、活気のある市場に、姉妹らしき二人組がいた。金髪で一つ結びの姉と、銀髪で二つ結びの妹。揃いのワンピースを着ている。
『基本的にセットでいますね』
溢れかえる人混みの中、はぐれないように手を繋ぎ、食べ歩きに精を出す。
姉が串焼きにかぶりつく妹の口元を拭ってやる。
妹は姉にそっくりな顔で笑った。
『大抵は市場で出逢えます』
画面は切り替わる。
古びた建物の中らしい、埃が積もった石造りの地下牢。
四肢を鎖で繋がれた白い長髪の人物は、無造作に胡座をかいて、俯いている。
『イベント【或ル島ヘノ誘ヒ】で出逢えます(絶対とは言ってないよ)』
ふと、顔をあげたその口元だけが見えた。
何かを呟き、ニヤリと胡散臭い笑みを浮かべる。
画面は切り替わる。
いかにもなダンジョンの最奥部。
冒険者達はダンジョンボスへと挑む。
魔法使いは魔法陣を浮かび上がらせて、魔法を放つ。
大剣使いは前へ突き進み、豪快にボスの皮膚を断ち切る。
盗賊はナイフを片手にボスの背後から忍び寄る。
冒険者達の攻撃に怒り狂ったダンジョンボスが、反撃を開始する。
『実は一番出会う確率が高い三人組』
画面は切り替わる。
煌びやかな城らしい、タピスリーやシャンデリヤが見事な謁見の間。
人々に見守られ、王座の前に跪く凛々しい騎士が一人。
『キャストは騎士の方ですよっ』
王は座ったままそれを見ていた。
そして騎士に何かを告げようと立ち上がる。
琥珀色の瞳を細め、柔らかな微笑みを浮かべながら。
画面は切り替わる。
『ストーリー中盤で辿り着ける街』
昼時、港町の船着き場は賑わっている。
今し方帰って来たばかりの漁師。遠方から来たらしく、装いに異国感のある商人や観光客。
その人混みの中には武装をしたままの冒険者も見える。
やけに馴染んでいるラフな格好の冒険者は、競りを冷やかしながら海へと向かっている。
『……の港に行けば会える人』
と、目当ての物でも見付けたのか、売り子と交渉を始めた。
画面は切り替わる。
『首都発郊外行きの汽車内』
ガタゴトと走っている汽車の車内には、程よく人が座っている。年季の入った内装で、現実ではもうほとんどお目にかかれない、窓に対して横向きに座るタイプの座席だ。
その車両の中程に座る黒髪の少女は、外の景色を眺めながらぷらぷらと足を揺らす。
『見た事無いかも知れませんが実はイベントキャストではありません』
中継駅に着いた様で汽車が停まった。
少女は座席から降りて、ホームへと向かう。
映像が終わった。
*#*#*#
鬼火の中の人「私もキャストの一人として出ているのは分かるが誰がこのテロップを打ったんだ?悪意しか感じられないんだが。弁明は無いのか、社長」
社長「テロップは酔ったCM作成班が『これがギャップ萌だ』とか言って打ってたよ。インパクト強かったから許可したけど」
鬼火の中の人「そうか……いや止めろよっ!?」
社長「最初は、キャスト視点でちょっとストーリー性のあるシーンを撮っていく感じだったんだけどね。どこで変わったんだろ……うん。やっぱり、最初に撮った君のシーンで、撮ったほとんどがカットになった所からかな。あんたの知り合いの面子がおかしい」
鬼火の中の人「おかしいとはなんだおかしいとは。ただちょっと撮っている最中に知り合いによく出会って、悉くが『ネタバレ注意の観点から映さないでくれリスト』に入ってただけだ」
先程まで映像を流していた画面の前で、雑談は続いていく。




