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4.猫パンチ

5話まである書き溜め?を投稿してしまおうと

本日投稿2話目です。

 このゲームでは、チュートリアルの開始場所はプレイヤーによってランダムに変わる。運営のお遊びの様なもので、最初の街の何処かにプレイヤーは現れるのだ。


 そして鬼火がチュートリアルでいたのは、とある学園の図書棟だった。その学園があるのは最初の街でもある、エウロパ国という国の王都である。


 つまりは王城が同じ街の中にあるということだ。


 しかし、それ程近くても、簡単に王城に入ることが出来るわけではないのが普通である。


 では、何故、今鬼火が子猫になり、なおかつ要のコートのファーよろしく要に引っ付き、その王城の中にいるのだろうか。

 心無しか鬼火が半目になっているようにも見える。


 状況をはっきりと理解しているのは要のみだろうと思われるこの事の発端は、少し前の時間まで遡る。


*#*#*#


「俺の仕事関係でちょっと用事が有るんだが、ギルドに行った後に、そっちに行ってもいいか?」


「大丈夫だ。でも、ここで待ってるから用事を先にすませてもいいのではないか?」


 図書棟の玄関での要の言葉に、首を傾げつつ鬼火は返事を返す。これが鬼火の癖らしい。


「いや、それは俺が往復する羽目になるから面倒だ。学園内は一応転移魔法とか使っちゃ駄目だしな」


「なるほど?」


 とりあえず要の中では自分がついて行った方が圧倒的に楽な結果なのだなと納得して鬼火は頷く。


 そして鬼火はもう既に忘れかけていた。先程、要が見せた表情を。


「じゃ、先ずはっと」


 そう言って要は机越しに腕を伸ばして、ぽすんと鬼火の頭に手を置き、呟いた。


「【肉体変化】」


 独特な響きが消えると、要の掌から、砂が零れるように上から下へ、光の粒が溢れ出す。それは鬼火の全身を包み込み、やがて小さな光の塊に変わる。光が何処かに引いた時には、鬼火の姿は猫のような魔物、ケット・シーの子供になっていた。


「みっ!? (あれ!?)」


 鬼火、もとい鬼火猫はあたふたしている。

 二股の尻尾をパタパタ鳴らして、要の手の上でわたわたしている。辺りが大きく見える。


「大丈夫だ。姿が変わったのは俺のスキルだから。それに、ギルドにいる間と俺の用事の後は元に戻してやるから。詫びに俺の用事が終わった後に街で何か奢ってやるから」


「にーう? (それならいい、のか?)」


 普通なら勝手に姿を変えられて怒るのかも知れないが、鬼火は混乱が収まると存外その姿を楽しんでいるようだ。


 きょろきょろと辺りを見回したり、要の手にじゃれついてみたり。


 すると、唐突に鬼火猫が要にぱしんと猫パンチをした。


 鬼火猫は自分の肉球が要の手でぷにっとして、要の目が輝いたのをみた。


 ……なんとなく、こいつにはもう猫パンチはしない、と決意して、しっかりと身体の下に手を仕舞った鬼火猫だった。


後1ページ分は今日か明日にでも

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