表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/209

第26話

「……同じ世界に生まれ直させることは出来るが、記憶の引き継ぎは出来んぞい」


「なぜだ?」



 ゼウスは少し無言で考えて言葉を紡いだ。

 当然のように疑問をぶつける。

 俺はこの世界において記憶を引き継いで転生しているからだ。



「前世でのお主はスキル【世界の観測(レミニセンス)】によって記憶を引き継いだ状態でこの世界にこれたのじゃ」



 俺は『スキル』という言葉に聞き覚えがあった。

 ヴァンが確か生まれ持った才能と言っていたな。



「その世界の観測(レミニセンス)というスキルは今の俺にはないということか」


「そうじゃ」


「それ以外で記憶の引き継ぎをする方法はあるのか?」


「ない」


「では世界の観測(レミニセンス)というスキルを手に入れることは出来るのか?」


「スキルは生まれもった才能じゃ。原則的に増えたり減ったりすることはないのじゃが……方法はある」


「どうやるんだ?」



 俺はゼウスを質問攻めにしていた。

 記憶を引き継げることはそれほど大切だったからだ。



「それは神の規則を破ることになるから言えん。手段があることを明かすのもギリギリなんじゃ」



 手段がある。それだけ聞ければ満足だ。

 それに、神の言質は取った。

 俺は沙奈(さな)の世界に行けるんだ。



「わかった、俺はこの世界で役割を全うする。だから生まれ変わりの件は頼むぞ」


「相変わらず話が進むのが早いのう」



 ゼウスは頷きながら関心していた。



「とりあえず加護をよこせ」


「お主、ワシが神ってこと忘れてるよね……?」


「忘れていない。感謝しているぞ、ゼウスサマ~流石デス」


「ふざけておるな……まぁよい、では加護を与えよう」



 どうやら神は寛大だったらしい。

 ゼウスがそう言い終わった直後、俺の身体は光始めた。

 アリエルの加護を貰った時と同じ感覚だ。



「終わったぞい、お主アリエルと面識があったか。それに加護も貰っておったのじゃな」


「ん? あぁ偶然な。アリエルがどうかしたのか?」


「アリエルは世界の均衡を守る天使じゃ。使徒の助けになることが役割なのじゃが難しい性格でのう――だがもう面識があり加護まで貰っているとは素晴らしいのう、ほっほっほ」



 ゼウスはまたもや関心したよう頷く。ほっほっほじゃねーぞじじい。

 そういえばアリエルの加護ってどんな加護だったのか未だにわからなかったが――



 そう思った直後に俺の脳内に文字が浮かび上がる。



――――――――

Xスキル

完全再現(アブソリュート)


Sスキル

【超反射】【超成長】


Aスキル

【完全記憶】【魔法改変】【神経伝達】


Bスキル

【老化耐性】【魅了】


Dスキル

【第六感】


加護

【アリエルの加護(愛の返報)】

【ゼウスの加護(神の五感)】

【信徒の加護】

――――――――

【アリエルの加護(愛の返報)】

・周りにいる自分へ好意を抱いている者の魔力、気力、成長速度をあげる。

――――――――



「ほう」



 どうやらこれは俺のスキルと加護らしい。

 スキルはランクわけされているのだが、Xってなんだ。



「本来はSランクが最上位のスキル。だがお主は類まれなる才能、Sランクを超えたXランクスキルを持っているのじゃ」



 『X』つまり未知ということか。俺は見たものを全て再現することができたのもこのスキルのおかげだったということか。



「お主にはスキルの説明をしよう。スキルには2種類存在する『成長スキル』と『能力スキル』じゃ。

 『成長スキル』は最初こそランクは低いが成長してランクが上がっていくスキルの事じゃ。発動は任意の事が多い。

 『能力スキル』はランク事に様々なものがあり、それに伴った能力を発揮するスキルじゃ。その代わり成長することはない」



 ゼウスの説明を聞きつつ、スキルに意識を向けていくと頭の中にまた言葉が浮かんできた。



――――――――

完全再現(アブソリュート)】~能力スキルXランク~

・見たものや経験したものを完璧な状態で再現することができる。



【超反射】~能力スキルSランク~

・反射速度が上がる。



【超成長】~能力スキルSランク~

・成長速度が上がる。


【神経伝達】~成長スキルAランク~

・身体の信号の伝達速度が上がる。


【魔法改変】~成長スキルAランク~

・魔法を改変させることが出来る。



【完全記憶】~能力スキルAランク~

・一度見たことを覚えること忘れない。



【老化耐性】~能力スキルBランク~

・老化しにくくなる。



【魅了】~能力スキルBランク~

・異性から魅力的に写りやすくなる。



【第六感】~成長スキルDランク~

・命の危機を感じたとき予感がすることがある。

――――――――



 スキルというものがなんなのか理解する。

 ヴァンが言っていた才能という言葉がしっくりきた。

 そしてそのスキルを見ることが出来るのも加護とやらのおかげらしいな。



「ほっほっほ、その通りじゃ。これがお主にあげた加護【神の五感】じゃ」



 ゼウスの言葉に俺は【神の五感】に意識を向ける



――――――――

【神の五感】

・視覚、嗅覚、聴覚、感覚、味覚が鋭くなりそれに伴った情報を提示される。

――――――――



「なるほど、俺にうってつけの加護だ」



 情報は命よりも重いという言葉があるぐらいには情報というのには価値がある。

 その情報を仕入れるのに優秀な加護だ。

 そして俺はゼウスに目を凝らす。



――――――――

《ゼウス》


スキル

????

――――――――



 どうやら見た相手の情報もわかるらしい。流石に神の情報は見れないか。



「気に入ったようじゃな」



 ゼウスは俺の口元が緩んだタイミングで声をかけてくる。



「あぁ」



 心の声が聞こえるくせにしっかりと会話のタイミングをとってきやがる。



「そういえば使える魔法も増えるんだよな?」


「うむ、生まれたときには第5級以上の魔法は使えんが、【信徒の加護】によりすべての魔法を使えるようになる」



 魔法が全て使えるようになるのであれば新たに色々実験を繰り返せる。

 それに次元属性の上位階級の魔法である【転移】も使えるようになりそうだ。



「お主なら大丈夫だと思うが、あまり気を張りすぎず今はこの世界を存分に楽しんでくれ」


「もちろんそのつもりだ」



 よし戻ったらこの能力で女風呂を覗こう。もちろん嘘だが。



「……わかっておると思うがなるべく善行に使うんじゃぞ?」


「わかっている。今のは少しからかってみただけだ」


「ワシ神なんだけど――そろそろ時間じゃ。教会などの神の信仰が強い場所で祈ればまた会うことが出来る。何かあれば祈るが良い」


「あぁ」



 俺が返事を言い終えると視界は白く光に満ちていく。

 光が治まると、俺は教会の席で目をつぶって祈りのポーズをしていた。

 司祭の文言がちょうど終わりを迎えていた。

 随分長く話したように感じたが、こちらだと時間は立っていないようだ。



「やっと終わったか」



 司祭が退場して信徒の儀自体が終わった。

 周りのシスター達が出口から出るように指示を出している。


 子供達の行列に並びたくないので俺は早々外に出た。

 そしてリンシア達と落ち合う場所へ向かった。



「ん?」



 落合場所に到着したが誰もいなかった。

 何か緊急の用事でも出来たのだろうか。

 ふと魔物の気配がしたのでその気配の方向を見る。



「魔物……?」



 そこには1匹のカラスのような黒い鳥が手紙を咥えてこちらを見ていた。


―――――――――

《ヤッコクロウ》

~使い魔~

スキルなし

―――――――――


 目を凝らすとその鳥の情報が頭に入ってくる。

 どうやら何かの使い魔らしい。

 その使い魔はこちらに飛んできて、俺に手紙を渡すと燃えるように消えていった。



「伝達役か」



 俺はその手紙を読んでいく。



―――――――――

王女と護衛

王都北25-155倉庫

1人で来い

騒ぎ=死

―――――――――


 

 箇条書きで暗号のような文章になっている。

 つまりはリンシアとメルは攫った。指定の場所に一人で来い。騒ぎになったら人質を殺す。って意味だろう。



「暗号に寄せるか、内容をわかりやすくするかはっきりしろよ」



 必要以上の情報を与えないように書いていることはわかるがもっと頭使えよ。



 相手の目的はどうやら俺らしい。だがそれまでリンシアたちが無事である保証はない。

 正直無視するという選択肢が浮かんだわけでもないが、今更助けない理由もない。

 そして助けるなら急いだ方がいいな。

 だけど問題が起こる。



「この数字、住所だろ。位置がわかんねーよ」



 王都に来てから住所というものを初めて知った。

 数字が示す場所がどこなのかわからないのだ。



「あいつに頼るか」



 頭を巡らせて、リルに聞こうと考えた。

 犯行はおそらく計画的。誘拐犯の正体がわからない以上この事実を安易に漏らすとダメな気がした。

 リルはリンシアの味方だから話しても大丈夫そうだと判断したのだ。


 そう結論づけた俺は城に向かって走り出すのだった。

面白い、続きが見たいと思った方はブックマークよろしくお願いします!

必ず完結させるので応援よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=242295207&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ