表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/209

第20話

休んでごめんなさい。

 ――時は少し遡る――


 視界の光が消えて広間が現れた。

 無事30層への転移に成功したようだ。

 ここ進めば《アースドラゴン》のいる部屋に行ける。



「この先の部屋にアースドラゴンの部屋がある。だから――あれ?」



 当たりを見渡すとここには自分だけしかいない。

 一緒に転移してきたはずのクレイの姿がみえなかった。



「クレイがいない!?どうしてだ!?」



 クレイは確かに転移石を持っていた。なんで一緒にこれなかったのか。

 なにか手順を間違っただろうか。




「まぁ大丈夫だろ!」


 思考を巡らせてみるが、答えにたどり着けなかった。

 考えるのを止めたという方が正しいかも知れない。

 それにクレイは実力もある。

 違う場所に飛んでいたとしても大丈夫だろう。



「1匹ぐらい討伐しちゃうか!」



 クレイは頭もいいので無理せず入口に一度戻ろうと考えるはずだ。

 だが先ほど神剣アレスを握ったときから早く敵を倒したいという気持ちが強くなっている。

 せめてアースドラゴンを討伐してから入口に戻ろう。

 アイテムも揃えたし、アースドラゴンぐらいなら1人でも十分だ。


 扉に触れるとゆっくりと開いていく。

 中は薄暗く、かなり大きな広間になっていた。

 歩いて中心に到着すると周りの燭台に火が灯り始める。



「お出ましか!」



 魔物の気配を感じて、神剣アレスを抜いた。

 剣全体に魔力が溢れていくのがわかる。



「ワオォォォオオオオォ!」



 目の前の闇から体長5メートルほどのオオカミ型の魔物が宙を舞って現れる。

 着地と同時に凄まじい音、そして地面が揺れ、衝撃波が向かってくる。

 これは地系魔法の【ストンプ】。自分の中心に衝撃波を発生させて周りの敵を麻痺させる技だ。



「挨拶がわりのストンプかよ。あれっ、アースドラゴンじゃないぞ?」



 ストンプをジャンプで躱しながら魔物を観察した。

 このオオカミは【グリムシルバーウルフ】というオオカミ型の魔物で40層目のボスである。

 30層ではなく、40層に飛んでいたようだ。

 原因はわからないが、クレイも別の層に飛ばされているということだろうか。



「なんだかわかんねーけど、まぁいっか!」



 深く考えるのをやめ、退治することにした。

 【グリムシルバーウルフ】の特徴はその脚力を活かした敏捷である。

 かなり素早い動きで翻弄して、鉄よりも硬い爪で攻撃してくる魔物だ。

 物理攻撃だけではなく、風、土系統の魔法を使って来るのも厄介だ。



「俺の敵じゃねーけどな!!」



 グリムシルバーウルフが動き出す前にこちらから仕掛けることにした。

 【自己加速】【防御強化】【気力上昇】【思考力上昇】の魔法を自分にかけた。



「はぁぁぁぁ――」



 剣を構え、魔力を流していく。



「ワオォォォオオオオォ!」



 グリムシルバーウルフの雄叫びが大気を揺らす。

 同時に周りから魔法陣が現れた。

 展開された魔法陣から4つの風の刃がこちらを襲う。



「当たらねぇよ!スラッシュ!」



 風の刃を危なげなく躱し、剣を振る。

 【スラッシュ】は単純に斬撃を飛ばすだけの技であるが、神剣アレスは普通の剣とは威力の桁が違う。。

 光を纏った斬撃は真っ直ぐに飛んでいくが、グリムシルバーウルフにはなんなく躱される。

 流石に素早い。


 グリムシルバーウルフは空中へ飛び、宙を蹴ってこちらに向かってくる。

 正面には魔法陣が展開されていた。



「そんな魔法は意味ねぇよ!」



 展開していた魔法陣を切り裂いた。

 神剣アレスは魔力を使い魔力を斬ることが出来る剣なのだ。



「ワオォォ!」



 魔法陣を切った斬撃がグリムシルバーウルフに直撃した。

 辺りには血が飛び散っている。



「ちっ、ちょこまかと逃げやがってよ!」


 急所を狙ったはずが咄嗟にズラされたようだ。

 グリムシルバーウルフは悲痛の叫びを上げながら、魔法を発動した。

 無数の斬撃を伴う竜巻を発生させる【ウィンドトルネード】である。

 捌ききれない程の斬撃の竜巻は剣士にとっては厄介な技である。



「俺以外にはな!!」



 そう言って自らを軸に高速回転させて剣を振り回わす。



「スラッシュストリーム!」



 すると同じよう足元から無数の斬撃を伴う竜巻を発生した。

 高速回転しながらスラッシュを放ち続ける脳筋技である。


 そのまま【ウィンドトルネード】と衝突し、飲み込みこんだ。

 そして、グリムシルバーウルフすらも飲み込む。



「終わりだな!」



 一度回転を止め、空中へ飛ぶ。

 そのまま剣を構え、縦に回転する。


転空斬(れんくうざん)!」



 竜巻により動きを封じ込められていたグリムシルバーウルフを目にも止まらぬ速さで一刀両断。

 そこから危なげなく着地し、剣を鞘に戻す。そして背を向ける。

 後から真っ二つになったグリムシルバーウルフが落ちてきて、光とともに消えていく。



「決まったぜ」



 (今俺めちゃめちゃ決まってるよな? クレイにも見せてやりかったぜ)


 ヴァンはグリムシルバーウルフの魔石を回収した。

 ボスを倒せばとりあえずは入口に出られる。それがダンジョンの仕様だ。

 だけど入口に戻る前に30層の【アースドラゴン】を倒してから戻ったほうがいいと思った。

 もしかしたらダンジョン内で会うかもしれないからだ。 


 そう考えたヴァンは30層を目指し、足を進めるのだった。


面白い、続きが見たいと思った方はブックマークよろしくお願いします!

必ず完結させるので応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=242295207&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ