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星降る丘の黄昏に包まれて  作者: 中原 司
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チャプター2-1

【レヴィウス歴 六四五年】


[ルシーナ=アストラル 十八歳    セリア=ジル 十歳]



「…という訳なのですが、お許し頂けますでしょうか?」

「ふむ…、そなたの言い分はよく分かった」

「では…」

 青年の顔がパッと明るくなる。

「宜しい、そなたの今までの功績に敬意を表し、星の神子の長老には儂から話しておこう」

「ありがとうございます! ファムル長老」

 少し前まで曇っていた表情を活き活きと輝かせ、精一杯頭を下げる。

「時にルシーナよ…。セリアの方はどうじゃ…」

「はい、あの方はまさに太陽の神の化身であるかのようです。私が二年掛けて学んだことをたったの半年で成し遂げてしまうのですから。『神々に選ばれし従者』は私ではなくあの方のようですよ」

 ニコニコと自分が世話をしている姫神子の成長を、ルシーナは喜んで話していた。

「そうか…この国が太陽に満たされるその時まで、セリアのことを宜しく頼む」

「はい!」

 力強く返事をし、軽々とステップを踏み、踵を返す。

 そして一刻も争うような早さで、神殿を後にした。

 ルシーナは逞しい青年に成長していた。この国に来たときの幼さの面影は何処にもなく、十年という月日はルシーナ=アストラルという一人の少年を『神々に選ばれし従者』の称号に相応しい青年に育て上げていた。

 太陽の神殿にてセリアと共に暮らし始めて八年。初めは慣れない世話係の役目と、神の教えを学ぶ学業を両立させることで手一杯であったが、逸している才能はそれまでもルシーナを苦にはさせず、さらに多くのことを求め学ぶようになった。

 姫神子であるセリアも、本当の太陽の神の子であるのか、枯れ地に水を与えるようにルシーナが教えること全てを即座に吸収していき、時には壮年の神子ですら答えられないような質問が飛び出すときもあった。それに負けじとルシーナも異国の書を取り寄せたり、多くの神殿を訪れ、壮年の神子達に教えを乞うたりと多忙な毎日を送っていた。

 しかし、外界の書物を取り寄せ、目を通すようになってから気になることが一つ出てきた。それは、故郷リヴィールの情勢である。

 十年前、内政は保守派と革新派の二党が対立し、その激化の波に巻き込まれたアストラル家であったが、最近の書を読む限りでは、どうやら内政は落ち着いているようであった。

 リヴィールに関する書物を目敏く見つけては、それに目を通し、十年来の郷愁を胸に想い馳せる。それでも居ても立ってもいられなくなり、こうして長老達に国外許可をもらいに来ているのである。

 その認可が下りたルシーナはセリアを他の太陽の神子に預け、直ぐさま荷物をまとめ、町に繰り出した。過去に捨ててきた故郷の地をもう一度踏みしめるために。

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