第8話 異名
ティナテを奪う。
その言葉に全員が反応した。
「鬼の巣窟……聞いたことがあります…確か鬣犬と同じく窃盗、強奪を目的として動く犯罪集団です!!」
倒れ込んだ状態で、ロッドが説明する。
「そんな大した連中じゃないのか?」
ゾイはロッドに聞く。
しかし、ロッドの首は横に振った……NOだ。
「残念ながら大きく異なります…一つ目は、鬣犬は無差別に標的を狙っては金品を強奪する集団です。対して鬼の巣窟は、他の闇組織などから依頼を受けて標的を襲う集団でsオォォォォロロロロ」
「あぁ……うん、お前もう喋らなくていいよ」
ゾイは呆れた顔でロッドに言う。
「い、いえ、大丈夫です……何より重大な事は二つ目です……」
「何だ重要な事って?」
「鬼の巣窟の所属メンバーは数えれる程度の少数メンバーですが、メンバー全員が"異名"持ちと言うことです!」
「異名!?全員がか!?」
ゾイは少し驚いた顔でロッドをみる。
異名。
それは強者のみが授けられる二つ名で、ギルド所属者はマスターから授けられる。
闇組織や犯罪集団などは国家が危険人物と定めた者のみに授ける。
つまり、異名を持っている者は常人の域を超えている証拠。
「……あのおっさんは異名持ってねぇのか?」
ゾイは天井穴近くで気絶してるおっさん見る。
「持ってるわけないでしょ。たかが鉄球振り回すだけの人よ。まぁ、魔法を扱えるレベルなら分からないけどね……。」
フューチェは敵から目を離さずに答える。
それだけ聴くと、ゾイも敵に目を戻す。
「ほんじゃ、始めようかね」
「おいおい待てや」
敵に向かって歩き出そうとするクローバーを、白髪の男が肩を掴み止める。
「んだよ」
「馬鹿、こんなところでお前に魔法使われると、ブツところが俺らまで危ういんだよ」
白髪の男は真剣な眼差しで言う。
それを見てか、クローバーはため息を吐く。
「はいはい、分かりましたよ。それじゃあ"俺ら"は場所変えるから、後頼んだよ」
「ん?」
言葉の意味が分からず、少し考える。
その一瞬がの油断が致命的だった。
「オラよ」
「ガッ!!」
クローバーは、クッデとの間合いを一気に詰め、回し蹴りを喰らわす。
そしてクッデが壁に激突すると同時に、追撃の飛び膝蹴りを喰らわす。
それは壁をぶち破る程の威力だった。
「しまっ!!」
クッデはそのまま外へと投げ出される。
「付き合ってもらうぜ!!俺の暇つぶしに!!」
そのクッデに続き、クローバーも飛び出す。
「クッデ君!!!」
ニィアが叫んだ。
しかし、もうクッデもクローバーも列車内にはいなかった。
「あの馬鹿!敵を外に放り出すだけで十分だろ!わざわざ追いかけに行かなくたってよ!!」
白髪の男は呆れた顔でクローバーが、開けた穴を見ていると、後ろから殺気を感じ、すぐさま上へとジャンプする。
そのすぐ後に、ゾイによる飛び蹴りが来た。
「チッ、先にこいつらが先決か」
そう言うと、そのまま天井の穴から屋根へと登って行った。
「テメェの相手は俺だ!付いてきやがれ!」
「待ちやがれ!!」
ゾイは、釣られるままに天井の穴に向かってジャンプし、白髪の男を追いかける。
「あぁ〜あ、1人になっちゃった〜」
白髪の女は、少し寂しそうな声で天井の穴を見上げる。
しかし、すぐにクルッと回って残ったフューチェの方へと顔を向ける。
「じゃあ、貴方の相手は私がしてあげるわ」
腕を後ろに組みながら、笑顔で話しかける。
「良いわよ、元よりそのつもりだったし。それより、あんた名前は?」
「私? そう言えば名乗ってなかったわね〜。私は鬼の巣窟紅一点、"天声"のミルよ。宜しくね♪」
顔の表示やを変えずに、ピースサインしながら自己紹介をする。
「貴方は何て言うの?」
「……フューチェ。"境界"のフューチェ」
此方は、無表情でかつ、短文で自己紹介をする。
水晶玉を浮かばせながら。
「自己紹介ありがとう♪それじゃあお礼に……あまり痛くない方法で貴方を倒してあげるわね♪」
そう言って、ミルは腰に刺してたレイピア二本を抜き、フューチェの方へと向ける。
***
「そう言えば、テメェの名前聞いてなかったな」
自分を追いかけ、屋根まで上がって来たゾイに対して白髪の男が聞く。
「んだよ、俺の事知らねぇのかよ。ちと有名な方だから、知ってると思ってたんだけどよ」
「知ってたら聞かねぇよ」
「あぁはいはい、んじゃ名乗らせてもらおうよ。自由な旅人所属、マスターから"氷魔"の異名を授かったゾイだ。よぉ〜く覚えておきな」
そう言うと、ゾイは体全体から冷気を発し始めた。
「俺の名は"パオ"。"毒蛇"の異名を持つ鬼の巣窟の参謀的ポジションのパオだ。そちらこそよぉ〜く覚えておきな」
すると、パオからも煙のようなものが立ち込める……紫色の。
***
「いてて……あの野郎」
外に放り出されて時に、地面にうった背中を摩りながらぶつぶつ言う。
荒野のど真ん中、もう近くには列車は無かった。
あるのはレールと、そこら中に置いてある岩石、そして、クローバーのみ。
「よぉ、くたばってないようだな……えぇ〜と"クッパ"?」
「"クッデ"な!!焼肉の料理じゃねぇんだよ!」
「あぁ〜悪い悪い。さっき女が叫んだのを聞いただけだからよ。あまり聞き取れなかったんだよ」
クローバーは頭をかきながら答える。
「お前も異名持ってんのか?」
「まぁ……一応"竜鱗"って異名は持ってるけど……」
「へぇ〜竜かぁ〜、じゃあよ炎吐けるのか?」
馴れ馴れしく質問してくる。
まぁ、どうせこの後使うのだから話しても問題ないだろうとクッデは答える。
「ぁぁ……吐けるけど……それが何だ?」
「いや〜、お前を選んで正解だったぜ」
ニカニカ笑うクローバー。
少し薄気味悪いと思うクッデだったが、ハッと気がつく。
クローバーの周りに青いオーラーの様なものが浮かんでいるものに。
いや、オーラーではない、クッデにとっては見慣れたもの……"炎"だ。
クローバーが、力を入れると青い炎を一気に燃え上がり、周り一面を熱で覆う。
「くっ!! 何て熱量だ!!」
クッデはすぐに腕を竜化させ、戦闘態勢に入る。
「改めて紹介させてもらうぜ……俺の名はクローバー……"聖炎"の意味を持つ、鬼の巣窟リーダーや!!!」
先程までの目の前にいたおちゃらけた男はもういない、いるのは残虐な犯罪集団の長だ。
「竜の炎と聖なる炎!!どっちが強いか勝負や!!」
真っ青な炎に包まれながら、クローバーの目が赤く光る。
〜to be continued〜
最近、転スラのアプリゲームにはまってしまって、投稿ペースが落ちてますすみません




