第5話 出発の朝
メインバから依頼の内容を知らされた二日後の早朝。
クッデは部屋で身支度をしていた。
ニィアとのデートの時の服とは違い、今回は動きやすい服を着ることにした。
その時、ふと、クッデの脳裏にあの日見た夢を思い出す。
中々の恐怖映像だったが、今落ち着いて思い返してみると、どうも引っかかる事があった。
着替え終えたクッデは、その事を考えながら、部屋から出る。
クッデの部屋は3階にあり。
下へ行く為に、階段を降りて行く。
ガシャンと言う鉄を叩く音が響いて来る。
一階まで降りると耳を塞がなければ頭痛が起きそうなくらいの音が鳴り響いて来る。
クッデは音の中心の部屋へと向かって行く。
そこは扉もなく、地面は土、かまどなど少し古い道具などが配置されており、隅の方には沢山の武器が大雑把に置かれていた。
そして、部屋の真ん中で、赤く光る鉄をハンマーで熱心に叩く一人の男が居た。
クッデはその男に向かって大声で声をかける。
「ル ゾ ロ さ ー ん ! 出 か け て 来 ま す ね ー !」
その声に反応したのか、男はハンマーの動きを止め、首に巻いたタオルで汗を拭きながらクッデの方へと向く。
「何だ?仕事か?」
此方を見た男は、黒髪で濃い顎鬚を生やしており、見た目4.50歳の人だ。
この家の主であり、武器職人のルゾロだ。
クッデの親は、幼い頃に亡くなっており、その時知人であったルゾロに引き取り、今ではルゾロの息子として、育ててもらっている。
クッデは、ルゾロが此方に顔を向けるのを確認すると。
「うん」
と、一言だけ言い、コクリと顔を頷く。
「気をつけていきや」
ルゾロもクッデに一言だけ言い、作業へと戻る。
クッデも、その言葉を聞き、部屋から出て行こうと回れ右して歩き出した。
しかし、数歩だけ進んでから、クッデ足を止めてまたルゾロの方へと向く。
その時、クッデの頭の中にはあの悪夢の人影が流れていた。
刀を持った人影……ではなく、その男に斬られた1つ目の影の。
シルエットの為、顔は全く分からないが、クッデはなぜだがその人影がルゾロのように思えてきたのだ。
少しの間、ジッとルゾロの後ろ姿を見ていたが、最終的に別人と言う結論に至った。
元々シルエットな為顔もわからないし、冷静に考えれば、ルゾロさんの身長は190cmはある。
あの時の影は自分と同じ160cmだ。
チビだ。誰がチビだオラァ。
いろいろ考えながら、クッデは前を向き歩き出す。
そして、玄関の戸を開き目的地の駅へと向かっていった。
その様子を"見て"、ルゾロは手を止めて、チラッと後ろを見る。
しかし、ほんの数秒見てすぐに作業へと戻った。
***
家を出てから30分くらいたった。
近くのバス停からバスに乗り、目的地の駅へと到着した。
駅の中に入ると、ホームにはニィアが立っていた。
「おはようニィア」
クッデが挨拶すると、ニィアは此方へと顔を向けて。
「おはよう、今日は遅刻しなかったね」
と、悪い顔をして言ってきた。
少しへこむ。
「やぁ、久しぶりだねクッデ君」
聞き覚えのある声だった。
クッデは横を見る。
そこには金髪で右顔に星型の刺青の様なものを入れた少年が立っていた。
「ロッドさん!!ご久しぶりです!」
クッデは嬉しそうな顔をして、ロッドの方へと手を向ける。
ロッドもそれに反応し、手を差し出し、握手を交わす。
「今までどこに行ってたんですか?」
「いやぁ〜、マスターからの依頼で大陸中あちこち回されてたんだよ」
ロッドは後髪をかく。
「はいはい、もうみんな揃ってるんだから、速く乗って行くわよ」
そう言って、ニィアはクッデの腕を掴んで貨物列車の前車両に連れて行く。
ロッドもニコニコしながらそれについて行く。
そして、ロッドが乗り込んだと同時に、車両の扉閉まり、汽笛が鳴ると同時に発車していった。
***
「発車したぞ」
ホームの隅の方で、白髪の男が言う。
「私達も行く?」
男の発言に便乗して白髪の女が言う。
「……」
壁にもたれかかってる、緑髪の男はそのやり取りをただ見守る。
「メララララ、そう急ぐ必要はない。物事には順序ってのがあるんだよ」
地面に座り、中折れ帽子を深くまで被る男が言う。
そして、ニカッと笑う。
「"鬼"に見つかったが最後、狙った宝は全部奪う。それが俺たちだ」
周りの3人も続いて笑い、クッデ達の乗った列車を見送る。
怪しく光る蒼い炎を囲って……。
〜to be continued〜
今回から新編、鬼列車編です!
宜しくです!




