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竜の声  作者: 水仙(スイセン)
総帥不在編
42/43

第41話 続・ぶらり気ままに列車旅

時間は遡り、ニィアとメインバが列車で総帥会議(マスターディスカッション)へと向かっていた頃。

彼女らが乗った列車とは違う目的地へと向かう列車内に、ナナシによって半ば強引に連れてこられたクッデが車窓から外の景色を眺めていた。

その向かい側にはナナシが乗っているのだが…。


ナナシ「…なんだよ。列車に乗るならニィアと一緒が良かったぁなんて言いだすんじゃないんだろうな」

クッデ「あ、バレた?」

ナナシ「顔に全面的に出てるんだよ」

クッデ「へへへ、んでそろそろ本題を話してくれてもいいんじゃないのか?」


クッデは苦笑いで返す、それ見てか一瞬ナナシは呆れた表情になったが、すぐに顔を整え話し始めた。


ナナシ「そうだな、じゃあ単刀直入に言う。サザンから刀を奪い取って欲しいんだ」

クッデ「サザン…?」

ナナシ「あぁそうか、サザンってのはブラックの本名だ。彼奴はとある事情で本名を隠し偽名を名乗っているのだが…これについては俺との関係と一緒に後で教えてやるよ。それより大切なのは刀の方だ。お前はあの刀についてどれくらい知っている?」

クッデ「ブラックの使ってる刀?あぁなんだっけ、妖魔器だっけ?正直妖魔器自体あんまり詳しくないんよな」

ナナシ「何となくそんな気はしてたよ。妖魔器ってのは剣や銃と言った武器に魔法効果を付属させた物の名称だ。付属できる魔法効果は沢山あるが、ブラックの刀の場合は『感情を断ち切る』事が出来る効果が付属されている」

クッデ「へぇ〜初めて知ったな…ん?『感情を断ち切る』?」

ナナシ「? あぁそうだが。知らなかったのか?」

クッデ「いや…知っているが…」


クッデはすでにブラックの刀については10日ほど前の戦いで本人から聞いているのだが。


クッデ「(ブラックは確か『感情を増大させる』って言ってた気がするんだがな…ナナシが間違ったことを言ってるとも思えないしな…俺の記憶違いか?)」


若干ナナシの説明と食い違う物があり首をかしげる。

が、あまり気にせずに話を続けることにした。


ナナシ「んで、お前がこの刀ついて知っている事はここまでか?」

クッデ「あぁそうだな。(と言うより殆ど仕組みを理解できてなかったし)…その刀がどうしたんだ?」

ナナシ「実はあの刀には厄介な特性があってだな」

クッデ「厄介な特性…?」

ナナシ「あの刀は使えば使うほど使用者の心を蝕んでいく特性があるんだ」

クッデ「……は?」

ナナシ「本来であれば、あの刀を使いこなすには相当な努力と鍛錬が必要なんだがな、ブラックの野郎はある理由からそれを全く行なっていないんだ、その為刀の力を使えば使うほどあいつ自身の心にも傷を負うことになるんだ。傷自体は極小さいものなんだが彼奴は10年近くあの刀を常に振るっている。結果表向きには一切出ていないが、もう彼奴の精神は崩壊寸前なんだ。多分後数回使用すれば………お前話聞いてる?」

クッデ「ア、エェト、モウイチドオネガイシマス」

ナナシ「(理解出来てないなこいつ)…えぇ〜と、刀使う、心傷を負う、使い続けるとやばい。ok?」

クッデ「オーケー」


何もオーケーじゃない。

この時ナナシは思ったが、クッデの緊張感のない顔を見て言うのをやめた。


クッデ「それで、精神が崩壊すらとどうなるんや?」

ナナシ「ん、あぁ…このまま使い続けると間違いなく死ぬな」

クッデ「!? なっ、何で止めねぇんだ!!!」

ナナシ「無論止めたさ、だが彼奴にとってあの刀は命よりも大切な代物だ。そう簡単に手放せれないんだよ」

クッデ「命より…もだと?」

ナナシ「あぁそうだ。あの刀はブラックの…サザンの死んだ実の兄が使っていた刀なんだなら。だから彼奴にとっては形見みたいなもんだ」

クッデ「…死んだ兄? 病気かなんかでか?」

ナナシ「いや…殺されたんだ。11年前の今日、ブラックの兄"ギルン"は俺たちの村とともにある集団によって殺されたんだよ…」


ナナシは寂しく小さな声でそう呟いた。

それは悲しみによるものと同時に怒りも少しばかり混じっていることをクッデは理解した。

そしてこの時、クッデの頭の中にはある一つの単語が引っかかっていた。

"11年前"と言う言葉に。

しかしそれを確かめる必要は今はないと感じたのか、クッデはナナシが落ち着くのを待ってから、話の続きをするように促した。


ナナシ「…すまんな」

クッデ「別に大丈夫さ。それより今の話詳しく教えてくれないか?」

ナナシ「……いいぜ。元よりそのつもりだったからな。俺とサザ…ブラックは元々ある山に点在してた村に住んでいたんだ。別にこれといった特徴もない静かで平和な村だ。一つ挙げるとすれば、俺らの村には国一ともいっても過言でもない実力者の剣士が1人住んでいたことだけだ。それがブラックの兄貴のギルンと言う男でな、剣術の鍛錬をしながら村の畑仕事を手伝ったり村の子供たちの遊び相手になったりと、人付き合いいい奴だった。俺もギルン兄貴と呼んでよく遊んでたぜ。無論ブラックも兄貴を尊敬して、いつのまにか憧れの存在として見ていたらしい。だがそんな平穏な日々はある日崩れたんだ、何の前触れもなく村に火が放たれ、あっという間に村は火の海へとかし、それに応じてか仮面付けた男が村の住民を虐殺し始めた……と、ここまでだ」

クッデ「え?」

ナナシ「俺は此処までしか知らない。11年前だから記憶も曖昧だし、ガキだったから逃げるので精一杯だったし、何より兄貴とは家も違うからな。ただ知ってるのはその仮面の男によって兄貴は殺されたって事実だけだ。何が起きどのように殺されたのかは、ブラックだけしか知らない」

クッデ「!! その仮面の男の特徴は覚えてるのか?」

ナナシ「…? いや俺は直接見たわけじゃないから知らないぜ。知ってるのはブラックくらいだが…なんでそんなこと聞くんだ?」

クッデ「いやちょっとな…」


理由を聞かれるとクッデはサッとナナシから目線を外し窓の外を見る。

すぐに何かあるなとナナシは感づいたが、聞いても何でもないの一点張りだろうと感じたのか、それ以上は聞かなかった。


???「そちらの話は終わったか? 次はこっちの話を聞いて欲しいんだが」


何の前触れもなく、クッデの座る席の後ろ側から声をかけられ両者驚いた表情をし、声のした方へと視線を向ける。

この時ナナシは急に声をかけられたために驚いた反応をしたが、クッデは全く違う理由で驚いた。

彼はこの声に聞き覚えがあったのだ。

クッデは身を乗り出し後ろの座席を覗くと、アッと驚いた声を出す。


クッデ「お前はデラック!!!」

デラック「よう10日ぶりか? 元気そうでなによりだ」


声の正体は10日ほど前にクッデに手合わせを挑んできたデラックだった。

そして彼の前の座席にはクッデの知らぬ灰髪の男が座っていた。

クッデが誰か尋ねるも早く、灰髪の男は自らを紹介しにいく。


灰髪の男「初めまして、僕の名はボムク 。傭兵組合(ギルド)黄金の歯車(ゴールデンギア)NO1の実力者で、デラックの後輩にあたる男でさぁ。お見知り置きを」


にこやかな顔で紹介するボムク 。

だが名前を聞いたあたりからクッデはボムクへ向けてた視線をデラックへと移していた。


クッデ「で、お前なんで此処にいるんだよ。まさか性懲りも無く俺と戦いに来たのか?」

デラック「んなわけすっかよ。今回は総帥(マスター)から許可もらってないし、貰えたとしたものあんなバケモノに襲われるのはもう懲り懲りだ」


嫌なことを思い出したのか、デラックは頭を抱える。

これに関してはクッデも同情する。


クッデ「…だとすると何のようだ?」」

デラック「用と言うか、たまたま同じ列車に乗って、たまたま目的地が同じだったから声をかけたんだよ」

クッデ「目的地が一緒? それってつまりお前らの行き先って…」

ボムク 「そう、君らのお友達のいる村の跡地だよ」

ナナシ「なっ!?」

クッデ「それってつまりお前らの目的ってブラックに会いに行くことか!? 何故だ!!」

ボムク 「うぅ〜ん正確に言うとそのブラックって奴がいる場所に向かってるだけであって、彼自身には全く用はないんだよね」

クッデ「は? じゃあ何が目的で」

ボムク 「えぇ〜と…どうしましょうかね先輩?」

デラック「話しても構わんだろ。元よりそのつもりだし」

ボムク 「おけおけ、じゃあ簡単に説明するとね。このままだと君らのお友達死ぬよ」

クッデ&ナナシ「!!?」

デラック「…うんすまん此奴に説明任せたのが悪かった俺がちゃんと説明するよ」


〜to be contenued〜

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