第39話 総帥と付き人 ③
モトザカ「あはははは、わし参上ぜよ」
ガイナス「何言ってるんすか総帥」
突如ニィア達の後ろに現れた二人組みの男が漫才なのかよく分からない言動しながら登場した。
ワールはきょとんととしていたが、ニィアはどちらも知っていた。
片方は天然パーマが特徴的で10日前にて自分達を迎えに来てくれた"モトザカ"で、もう片方は…。
ガイナス「よう久しぶりだなニィア」
ニィア「…」
ガイナス「おいその顔俺のこと忘れてるだろ!!! 俺だ!! 数ヶ月前にお前の彼氏に喧嘩売った"極転"のガイナスだ!!」
ニィア「あぁ…私達のデートを邪魔してクッデ君に瞬殺された…」
ガイナス「ぐっ…あの件は済まなかったよ…部下がやられてちょっとカッとなっちまったんだよ」
ガイナスは心の底からすまないと思っているのか、口は悪いがしっかりと謝罪した。
ワール「あの…挨拶するのは良いことなんですがそれよりも先にあれどうにかしないとやばいのでは?」
ニィア「あぁそうだった…本当にどうしようあれ」
モトザカ「あれ? あれとはなんじゃ? なんかあったんかさかい」
ニィア達の見つめる先をモトザカとガイナスが揃って見る。
彼らの目には激戦を繰り広げるティケイとルサジの姿が目に映った。
ガイナス「おいおい…喧嘩かよ…しかもよりにもよって傭兵組合内でトップクラスの実力者二人じゃねぇか…あれ止めるとか不可能だぞ…どうするよ総帥?」
絶望しきった顔でガイナスは、隣に立つモトザカに対して質問をする。
しかし何故か答えが返ってこず、ガイナスはチラッと横を見る。
するともうそこにはモトザカはおらず、急いで辺りを見渡すと何と喧嘩真っ最中の二人の間に向かって歩き始めていたのだ。
モトザカ「あはははは、おまんらそこまでにするぜよ」
ガイナス「ちょ総帥!! 危ないから近付かない方が良いですって!!!」
ガイナスが大声で止まるように言うも、聞こえてないのか聞こえているのか、モトザカは歩みを止めず二人の間へと向かっていく。
ルサジ「あぁっ? 誰だおっさん」
ティケイ「…モトザカさんですか。出来れば邪魔しないで欲しいのですが。これは僕と彼との問題なので…もし邪魔をするのであればモトザカさんとて撃ちますよ」
モトザカ「元気があるのは良いことじゃき。だがおまんら此処が何処かに分かっておるんじゃろうな? 此処は我が国の中心部でもあるセント国城じゃきぃ。それをおま」
ルサジ「うるせぇ」
モトザキの長話に飽きたのか、ルサジは何のためらいもなくモトザカに対して雷を落とす。
ガイナス「総帥!!!」
ルサジ「さてと、邪魔はいなくなったし続きを…」
モトザカ「おぉ〜おぉ〜凄まじい威力じゃのぉ」
モトザカの方へと向けていた顔をティケイの方へと戻すルサジだったが、そこにティケイの姿は無く替わりに今確かに雷を落として攻撃したはずのモトザカが立っていた。
これには声は出ずとも、目を見開くほど驚いた。
この時ルサジはどうやって自身の攻撃を避けたのかと言う疑問と同時に、隣にいた筈のティケイは何処に行ったのかが頭の中に過ぎった。
しかしその答えはすぐに分かった。
ティケイ「がっあっ!!!」
ルサジ「!!?」
自分とモトザカの間の地面に、上空からティケイが降ってき、背中から地面に衝突していったのだ。
相当な高さから落ちたのかそのまま蹲っている。
何が起きたのか理解できなかったが、ただ一つ分かることはこれをやったのがモトザカだと言うことだ。
ルサジ「(これは転移魔法!!! だが予備動作無しで可能なのか!!!?)」
モトザカ「それにしてもティケイやぁ、おまんいつからそんな偉くなったんだ? わしを撃つじゃと? 冗談も休み休みにせんかい。それと…麦わら帽子のおまん」
ルサジ「!!! な、なんだテメ」
ティケイ「力量をわきまえよ」
その言葉の直後、ルサジは一瞬で遥か上空に連れてかれそのままなすすべなく落下していった。
***
その頃、城内の一角にある中央に縦長に大きいテーブルと17の椅子が設置されている大部屋には、ニィア達と別行動をしていたメインバとドランドが座っており、メインバの左隣には夜狼の狩人の総帥であるロドンとその隣には金髪のリーゼントをしサングラスをかけた男が互いに腕組みをしながら座っていた。
その二人の向かい側には、綺麗な青髪をポニーテールに後ろに結び氷の結晶のような髪留めを付ける若い女性と、それよりも10近く若い黒髪の長髪でリボンの髪留めを付けている女性が何かの雑誌を読みながら座っていた。
そして彼女らから三つ席を飛ばした椅子にはティケイに似た貴族の服装をした40代半ばの男性、その隣には目を瞑りながら腕組みをして座るニット帽被った若い男、さらにその隣には左目にモノクルを付け椅子の脇に杖を掛けている男性が座っていた。
その彼の向かい側…ドランドの右隣には机に両足を乗っける灰髪で濃い髭を持つ男が椅子を前足を浮かばせながら座っていた。
計10人の男女が室内にて残りのメンバーを待っていた。
メインバ「ニィアとワールは何処に行ったのかしら」
ドランク「まぁまぁぁ…ワシらが置いていってしもうたんじゃ仕方がないじゃろう」
心配しているのか小さな声で呟くメインバに対し、震える声でドランドが声をかける。
そんな会話をしている時だった、この大部屋に通じる扉が勢いよく開くと同時に二つの物体が勢いよく投げ込まれた。
その二つの物体に対し、一つは両足をテーブルの上に乗っけていた男が片足を伸ばし受け止める。
もう一つの物体には席を立って止めようとする貴族の服を着た男が立ち上がろうとしたが、彼の隣で座っていたニット帽を被った男が代わりに片手で受け止める。
この時彼の目はがっしりと開いたが、目の黒目の部分が異様に広かった。
そして投げられた瞬間は何だかわからなかった物質2つだったが、その勢いが止まりやっとその姿を確認することができた。
片足で止めた男の方はルサジ、ニット帽を被った男の方はティケイで、両者息がボロボロの状態だった。
その二人を投げつけたのは他でもなく、入り口で普段のにこやかな顔ではなく、鋭い目つきへと変貌しているモトザカさんだった。
貴族の男「ティケイこの怪我は!!! おいモトザカ君これは一体どう言うことなのだ!?!」
ニット帽の男が受け止めたティケイの姿を見て、貴族の服を着た男はオロオロとしながらモトザカに向けて問いかける。
それに対してモトザカは、ゆっくりと入り口から縦長のテーブルに向けて歩きながら怒り口調で話し始める。
モトザカ「一体全体もクソもないわ。そこの馬鹿は急に此処におるんニィアにちょっかいかけて、ワールには酷い暴言をかけ、攻撃を仕掛けたその麦わらの小僧と城の庭で本気で戦闘おっぱじめるに限らず、このわしに向けて銃口なんぞ向けよったきに!.! 一体おまんとこの教育はどうなっとるんじゃ!!!」
モトザカの怒り混じりの説教を聞き、貴族の男は信じられないような顔をしてニット帽の男によって地面に横にさせられたティケイの方を見る。
黒髭の男「ケッ、あんなパーマ野郎にやられてんじゃねぇぞルサジ」
貴族の服を着た男の向かい側に座りルサジを片足で止めた男は、ぶっきらぼうに言うと片足勢いよくあげてルサジを自分の後ろの地面へと投げ捨てる。
黒髭の男「オメェはうちの期待の星なんやぞ。テメェがそんなんじゃ下の奴らの士気が下がるだろうが」
ルサジ「ガッ…グッ…む、無茶…言わんでくれ…あんな化け物に…勝てるわ…けねぇだろが」
モトザカ「おいおまん、それはわしは馬鹿にしちょんのか?」
黒髭の男「あぁ?馬鹿になんざしてねぇよ。本当の事をそのまんま言っただけだが?」
モトザカ「ほぉ…やるってんだな」
黒髭の男「やるんなら付き合うぞオラァ」
机に足を乗っけていた黒髭の男は椅子から立ち上がると戦闘態勢を取り、モトザカは歩みを止めずゆっくりと近づいていく。
メインバ「あんた達大丈夫? ごめんね此処の規則忘れて放ったらかしにしちゃって」
ニィア「あ、いえ。私達は大丈夫です。ルサジさんとモトザカさんが助けてくれたので」
衝突しかけの二人は他所に、メインバは入り口近くにいるニィアとワールにすっ飛んで容態を聞いていた。
ワール「あ…あの…私…」
ニィアの隣に立っていたワールが、暗い表情でメインバに何か言おうとした。
が、その口を塞ぐようにニィアが手を持っておき、それを止める。
ニィア「ワールちゃんは何も悪くない。だから謝る必要もないしそんな暗い表情する必要もないわよ」
ワール「先輩…」
メインバ「何かいろいろ合ったようね…話は後で詳しく聞くわ。それよりも先にあの二人かしら」
チラッと後ろを向き口喧嘩をしていた二人の方へと顔を向ける。
もう既に二人は数センチの距離内におり、両者睨みをきかせていたが、両者の間に入る形でロドンとモノクルをつけた男が止めに入っていた。
メインバ「あんた達此処で待ってなさいよ。今あの二人血祭りにあげてくるから」
ガイナス「いやそれ余計に悪化しますよね!!! ちょっと止まってくださいメインバさん!!! モトザカさん逃げて超逃げて!!!」
ガイナスが反射的にメインバの腕を掴み静止させる。
???「騒がしいぞお主ら!!!!」
一同「「「!!!!!」」」
ニィア達の後ろから鋭くそして大音量の声が室内に響き渡った。
その瞬間騒がしかった室内は一変し、一瞬で静寂の空間へと変貌した。
そして皆真っ先に声のした方へと顔を向ける。
そこには少し肥満体型だが、威厳のある髭と目つきをする男が何十枚とある紙束を持って立っていた。
メインバ「クロイバル…大臣」
クロイバル「くだらんことしとらんで集まったのならさっさと席に着かんか!!! さっさと始めるぞ、総帥会議を!!!」
〜to be contenued〜




