第37話 総帥と付き人 ①
ニィア「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
メインバ「うるさいわよ」
汽車が発車して約数分後。
乗車前の行動から無言を貫いていたニィアだったか、遂に我慢出来ずに赤面した顔を覆い叫び始める。
そんなニィアを横目に、メインバは持ってきていた雑誌を広げ、タバコを吸っていた。
ニィア「無意識だった…なんか体が自然と行動に移したと言うか…メインバさん私に何かしました!?」
メインバ「被害妄想もその辺にして、私の方が恥ずかしいわよ…全く最近の若いもんは…」
ニィア「メインバさんだって若い頃は旦那さんとよくしてたんでしょ」
メインバ「な、何で知ってるのよ!!?」
ニィア「キャンサーさんから聞きました」
メインバ「ぐぅ…あの野郎…帰ったら血祭りにあげてやる…それとニィア、さっき若い頃って言ってたけど私は"今でも若い"からね?こんな感じでね」
メインバは雑誌を下ろし静かに深呼吸をし始める。
すると徐々にしわだらけのメインバの体は若々しい肉体へと変化して行き、最終的にはニィアよりも幼い美少女へと変貌していった。
ニィア「便利ですね…メインバさんのその魔法。いつまで若い体を保ち続けることができるなんて」
メインバ「ふふふ、でしょ♪ 人は歳には勝てないって言うけど、そんなのこの魔法の前では無・意・味・よ☆」
メインバは若々しくなった顔で、満面の笑みを浮かべながらニィアに対してウィンクをする。
それに対しニィアも、苦笑いをしながら返す。
***
メインバ「さぁ〜て着いたわよ」
ニィア「わぁ……久し振りに見ますけど、やっぱり大きいですね」
汽車からバスに乗り換えて、ニィアとメインバは総帥会議の舞台である、ニィア達の住む広大な大陸を収める国城、セント王国城へとたどり着いた。
目の前には10m以上はある城壁が立ち並び、その奥には城壁の何倍の高さを誇る城がニィア達を出迎えていた。
そんな城に圧巻している間に、メインバは城壁の門に立つ兵士と話し、門を通る許可の承諾済まし開けさせていた。
メインバ「行くわよ。どうやら既に何人かの傭兵組合総帥と付き人は到着しているらしいわよ」
ニィア「あ、はぁ〜い」
ゆっくりと開く城壁の門をくぐるメインバを、追いかける形で、ニィアも門の中へと進んで行く。
そしてニィアが入るのを確認した門の兵士達は、またすぐ門を閉じ始める。
門を超えるとすぐに、色とりどりの花が咲き誇る庭園へと入った。
そのまま真っ直ぐ進むと城内へと続く扉があるのだが。
ニィア「…あれ? 彼処にいる方々は?」
メインバ「ん〜? どれどれ?」
ニィアが見つめる先の道を外れた庭園の花壇近くに、猫背で薄い髪が特徴的なご老体と隣にニィアよりも背も胸も大きく橙色のロング髪をして眼鏡を身につけている女性がいた。
メインバ「"ドランク"さんじゃん。ほらあんたも過去にあったことあるでしょ? 平和な道順の傭兵組合総帥のよ」
ニィア「あぁ思い出しました!!! ……ただ隣の女性は思い出せませんね」
メインバ「私も彼女だけは記憶にないのよね」
遠目でコソコソ話していると、此方に気がついたのか、ドランクと隣にいた眼鏡の女性はニィア達の方へと歩き始めた。
ドランク「ほぉ〜ほぉほぉほぉほぉ、ご久しぶりじゃじゃのぉぉメインザ」
≪傭兵組合 |平和な道順《ピースストーリー≫所属 総帥 ドランク≫
メインバ「メインバです。前回の総帥会議以来ですね」
ニィア「お久しぶりですドランクさん」
ドランク「おぉぉぉぉニィアちゃん。大きくなったなぁぁぁ」
ニィア「ありがとうございます…こちらの方は?」
ドランク「おぉぉこの子かい。この子は去年うちの傭兵組合に所属したワールちゃんじゃ」
ワール「ワールです。今日は宜しくお願いします」
≪傭兵組合 平和な道順所属 ワール≫
ドランク「ワールよ。此方は自由な旅人に所属しているニィアとメインババァじゃ」
メインバ「血祭りにあげるわよジジイ!!!」
ニィア「わぁ!わぁ!やめてくださいメインバさん!!」
二度目の名前間違えられたのか、名前にババアと付けられたからなのか、メインバはキレて右手で拳を作り振り上げる。
それをすぐさまニィアが静止させる。
ドランク「ほぉほぉほぉほぉ、それよりメイババ」
メインバ「メ イ ン バ ! !」
ドランク「丁度お前さんに話があったんじゃ、会議までまだ時間があるようじゃし、ちょいと来てくれんか?」
メインバ「あっ?…いいわよ。それ聞き次第血祭りにあげるからね。悪いけどニィアはワールと一緒に先に待合室の方へと行ってきて」
ニィア「え、いや」
メインバ「さぁ何の話か知らないけど行くわよジジイ」
ドランク「…相変わらずせっかちじゃのぉ」
半ギレのメインバはニィア達をその場において行き、ドラングと共に人気のないところまで歩いて行った。
ニィア「あぁ行っちゃったよ。私達だけじゃ城の中自由に歩き回れないのに…どうしようか」
ワール「あの…」
ニィア「ん。あ、はいはい」
ワール「私まだ傭兵組合に所属して間もないんですけど…その…差し支えがなければで良いんですが」
ニィア「友達になりたいの?」
ワール「はい…ってえぇ!? な、何故分かったのですか!!.」
ニィア「ふふふ、私も貴方とはお話ししてみたくなっちゃってね。改めて私の名前はニィアよ。よろしくね」
ワール「わ、私の名前はワールです!!! 出来れば先輩としていろいろとお話ししてください!!!」
***
メインバと別れてから数分後、ニィアとワールは近くにいた兵士に説明して、入り口まで移動してから話をしていた。
年齢が近かったこともあってか、初めてあったにしてはまるで数年ぶりに会う親戚かのようにただ楽しく話をしていた。
そして話題はいつしかニィアの彼氏であるクッデへと変わる。
ニィア「それで今日もクッデ君たら見送りするって言ってたのに遅刻して来たのよ」
ワール「まぁ酷い!! ニィアさんは怒らなかったのですか?」
ニィア「無論怒ったわよ。一発ビンタをかましてやったは」
ワール「流石ですねニィアさん♪ …けど毎回遅刻なんかしているのに、ニィアさんは別れようとか思わなかったんですか?」
ニィア「え? ないない。確かに彼の遅刻癖には呆れてるわ。100%遅刻するから彼…けどね」
ワール「けど…なんですか?」
言葉を尖らすニィアに対し、ワールは続きを聞きたいと言わんと言葉を繰り返し質問する。
その時のワールは、ニィアの表情が少し悲しい顔になっていたのを見ていた。
しかしその表情は一瞬だけであった。
???「昔彼とした約束を今でも信じているからですよね」
城の入り口の方から聞こえて来た声を聞いた瞬間に、ニィアはムスっとした表情へと変化した。
そして睨みながら入り口の方へと体を向ける。
そこにはゆっくりと上品に歩み寄る一人の男性がいた。
高価そうな指輪を身につけ、綺麗に整えられた紫色の髪の上にはブランド品のシルクハットを被っていた。
そしてワールは服を見てすぐに感づいた。
男の来ている服は国の貴族のみにしか販売を許されていない高級ブランド品の服だったのだ。
つまりこの男は貴族の人間なのだと。
男はニィアの前まで行くと、シルクハットを手で浮かせ深々とお辞儀をする。
貴族の男「ご久しぶりですニィア様。三年前の時と比べてより美貌に輝きがかかりましたね」
ニィア「相変わらずキザな奴ね"ティケイ"」
ティケイ「ははは、それは褒め言葉として受け取っておきましょう」
ワール「ニィアさんこの人は?」
ニィア「…ティケイよ。貴族にして傭兵組合、白銀の王子所属している傭兵よ」
ティケイ「紹介に預かりました。ティケイと申します。以外お見知り置きを」
≪傭兵組合 白銀の王子所属 ティケイ≫
ティケイはワールの方へと体を向けると、ニィアと同じく深々とお辞儀する。
ワール「(はぁ…礼儀正しい人だなぁ)」
ニィア「騙されないでワール」
ワール「え?」
ニィア「表向きは礼儀正しい紳士的な貴族を演じているけど、心の中では自分より格下の者を見下してるドス黒い性格の人間だから。今もワールの事を人間として見ていなかったもの」
ワール「!!!? え!?」
ティケイ「おっとこれは僕としたことが。つい貴方の魔法の事を忘れていました。人の心を読む魔法"心読"の存在を」
ワール「そ、それじゃ…」
ティケイ「失礼な事を申し上げますと、貴方の所属している 平和な道順は我が国に存在する8つの傭兵組合の中で最も弱い…つまり最弱の傭兵組合。そのような所に所属している女性など、僕の眼中もありません」
ワール「そ、そんな…」
ワールは衝撃的な言葉を聞かされ、体を震わせ今にも泣き出しそうな表情へと変化していく。
それを見たニィアすぐにワールとティケイとの間に割って入り、ティケイに言葉を発する。
ニィア「謝りなさいよ」
ティケイ「はい?」
ニィア「今言ったことを今すぐ謝りなさいよ!!!」
ティケイ「謝るですか? ふふ面白い事を申し上げますね。何故我々誇り高き白銀の王子の三銃士の一人である僕が、彼女のような下等な人間の為に謝罪をしなければいけないのですか?本来であればこのような人間にお辞儀をすることすら勿体無き事だと言うのに」
ニィア「なんですって!!」
ティケイの言葉を聞き、ついに我慢の限界に達したのか、ニィアは右手を思いっきり握り振りかぶる。
ワール「ニィアさん大丈夫です…私は大丈夫ですから喧嘩だけは!!!」
ニィア「大丈夫じゃないわよ!! この男やっぱり三年前から変わらないわ!!」
ワールが半分泣きながら止めに入るが、ニィア一切聞く耳を持たなかった。
ティケイ「おっと殴りますか? 良いですよさぁ殴ってみてみなさい。貴族であるこの僕を!!! 但しその時は貴方もただでは済まなゴボラァァァァ!!!」
ニィア&ワール「「え?」」
ニィアとワールは驚きの表情を隠しきれなかった。
目の前で余裕の表情で挑発をしていたティケイが、一瞬のうちに叫び声と共に消えたのだ。
いや正確には吹き飛んだのだ、ニィア達の向いている方かから遥か左へと。
その代わりにニィア達の目の前には黄色いオーラを纏った拳が出現していた。
すぐにニィア達は拳の持ち主の方へと顔を向ける。
そこには筋肉質でガタイが良く、麦わら帽子を被った男性がいた。
ニィア「貴方は確か…冥界の心臓の」
麦わらの男「悪いがあのクズ殴るのは俺の役目だ。よう不良貴族。相変わらずその腐った性格は変わってないようだな」
吹き飛ばされたティケイは、大の字で倒れていたがサッと飛び上がり立つと、殴られた右頬を摩りながら同じく麦わら帽子の方を睨みつける。
ティケイ「貴方…いや貴様は…"ルサジ"!!!」
ルサジ「さぁ〜て、此処からは俺が相手してやるよ」
≪傭兵組合 冥界の心臓所属 ルサジ≫
〜to be contenued〜




