第33話 帰宅方法
「あはははははは、遂にわしの出番じゃきぃ」
「…何で此奴呼んだの?」
「近場にいて今呼べる移動系の魔法使えるのが此奴しかいなかったのよ」
メインバは目の前にいるサングラスをかけた、天然パーマが特徴的な男を指差しながらキャンサーに対して質問する。
戦闘が終わってから早1時間。
フューチェの魔力回復が見込めない為急遽キャンサーの案で知人に助けてもらうことにしたが、どうもその相手に関してメインバは不服なようだ。
「……あの人誰?」
少し離れた所でメインバ達のやり取りを聞いていたゾイは独り言のように思ったことを口に出す。
それに対してブラックが答える。
「あの天然パーマ…確かメインバさんと同じ傭兵組合総帥のモトザカさんだ」
「傭兵組合総帥!!? あの天然パーマで!!?」
「あの天然パーマで」
「お前ら天然パーマに恨みでもあんの?」
「んで何処の傭兵組合?」
「確か"黄金の歯車"だ」
「「(ゲッ、ガイナスの所かよ(の))」」
ゾイとブラック、それから横槍を入れたリュウセイの会話を、横で聞いていたクッデとニィアは数ヶ月前に喧嘩した相手を思い浮かべる。
ついでにニィアは既にクッデから離れて、いつでも出発出来るように眠っているフューチェをおぶっている。
「事情は分かった。つまりおまんの強引さが招いた失態じゃのぉ。本来わしに助ける義理は無いんじゃけどなぁ。じゃがわしは心が海のように広い男じゃきぃ。今回は貸し1としといてやらぁ」
「借り5の野郎が何ぬかしたんだよ。御託はいいからさっさとうちの本部までこの場にいる全員連れてけ、さもないとまた血祭りにするぞ」
「おまん、それが助けにきた奴に対する言葉遣いかじゃきぃ?つか、簡単に言うがこの場にいる約300人の人間を10万km近く遠い場所まで連れてくなんて出来ると思うじゃきぃかぁ!? 平均魔力の一般魔導師の全魔力を100と換算した場合、100全てを使っても自身を5万km離れた場所まで転移するのが限界じゃ。それを2倍の距離で300人となると平均値の1500倍の魔力が必要じゃきぃ。つかこの説明で視聴者は理解出来るのかじゃきぃ!!? 」
「何言ってんのあんたは」
「第1わしにそんな芸当出来ると思うとるじゃきぃかぁ?」
「愚問ね。一瞬でしょ?」
「まぁな」
メインバの解答を聞くや、モトザカは笑顔で指をパチンと鳴らす。
すると辺り一面自然だった景色から、一瞬で見慣れた街中へと変貌しのだ。
何が起きたのか理解出来なかったクッデはすぐさま周りを見渡す。
仲間も敵も被験者達も、全員同じ場所に転送されてかつ驚いた表情を取っていた。
「わっ!? な、何が!!!?」
「ここって……俺たちの傭兵組合の本部前の通りじゃないか!!!」
「嘘だろ…あの距離を一瞬でかよ」
「さ、流石は8人いる傭兵組合総帥の1人。別格の魔力だぜ」
至る所からいろんな感情の声が聞こえてきた。
「んじゃわしは仕事の続きがあるじゃきぃ、此処で帰らせてもらうわぁ。おまんら、お疲れじゃったのぉ、ゆっくり休み」
「何帰ろうとしてるの。まだ怪我人の輸送と捕らえた奴らの護送が残ってるわよ」
「おまんわしの事なんやと思うとるじゃきぃ!!?」
「それから私ロドンの所に用があるから連れてって」
「わしはタクシーかなんかか!!?」
「借り5が文句言ってんじゃないわよ」
「嫌じゃ帰ゴホッ!!!」
「逃がすわけないだろ!!!!」
逃げよとするモトザカに対し、メインバが後ろから腕で首を締め上げる。
そんな2人をよそに、キャンサーは勝手に話を進めて、自分で歩ける奴らなどを中心に解散し始めた。
「ぎゃぁぁぁ誰か助けて!!!」
「当然の報いだろ」
「あぁもうおまえさんまでなんじゃきぃルゾロ!!! わしはこれでも…忙し…い…ルゾロ!!!!!」
モトザカは目を丸くした。
いつからいたのか、黒い帽子を被り殺気を放ちまくるルゾロが静かに後ろに立っていた。
その場にいた多くが突如現れたルゾロの方へと目を向けていたが、クッデだけは目を背けるどころか、隣にいたニィアの後ろへもサッと隠れる。
「?? クッデ君? どうしたの急」
「(しまった完全に忘れてた!!! そうだよ俺ルゾロさんとの約束破ったんじゃねぇかぁ!!! やばいやばいやばいやばいどうしよう!!!?!!?)」
「………私知らないっと」
「よぉ久しぶりだな詐欺師。元気だったか?」
「いだだだだだ!!!久しぶりに会う奴に対して顔鷲掴みにするってどう言うつもりじゃけん!!! つかわしは詐欺師じゃない立派な商人じゃぁ!!!」
「立派な商人が商売の取り分を偽って自分の分け前を多く持ってくか? えぇ?」
「おまん…こんな言葉知らんのか?」
「あぁっ?」
「バレなきゃ詐欺じゃないんじゃよ」
「それが生前最後の言葉でいいんだな」
「ぎいやぁぁぁぁぁ死ぬ死ぬ死ぬぅ!!!!」
ルゾロは鷲掴みにする手にドンドン力を入れていく。
「待ちなルゾロ。今こいつは私が使ってるのよ。あんたの用事は後で済まさな」
「使うだけ使って後はポイ捨てかおい!!!!」
「……チッ」
メインバに説得をされたからか、ルゾロは渋々腕の力を緩め手を離し、ポケットからタバコを取り出し吸い始める。
「まぁいい、俺も本題はこいつじゃないしな…なぁそうだろクッデ?」
殺気を放ったまんまルゾロはクッデの居る方へと顔を向ける。
その視線を感じ取ってか、クッデは反射的にその場でジャンプし、近くの建物の屋根の上へと逃げる。
「あ、クッデ君!!!」
「けっ、俺から逃げられるとでも思ってんのかクソガキがぁ。おいメインバ。そいつはくれてやるが、変わりにロドン所行くなら彼奴を連れてけ。じゃあな」
一方的に用件を言うと、右目異様な形に変えながらジャンプし、クッデの後を追いかける。
「昔っから変わらず自分勝手な奴ね…で、彼奴って……あそこで伸びてるやつのことかしら?」
メインバはチラッと建物に、血まみれで寄りかかって倒れる1人の男へと目をやる。
黒髪の超身長が特徴的なデラックだ。
だが、メインバはそれを見ても動揺しず、ただ大きな溜息をつくだけだった。
「(クッデの奴もこうならなければいいが…)」
〜to be contenued〜
「待て待て待て待て終わらすなじゃきぃ!!! わしはどうなるんじゃ!!! おい聞いてるのか!!! てかおまんはいつまでわしの首を締め上げとるんじゃ!!!! いい加減離さんかいぃ!!!! と言うかこの物語のわしの扱い酷くないか!!! これでも傭兵組合総帥じゃきぃよ!!? もう少しかっこいい出番くれてもよか(強制終了)




