第30話 四季vs素在 ②
「ハァ……ハァ……」
「ゼェ……ゼェ……」
「ごぶらぁ!!!」
「あ、悪い投げたの忘れてた」
背中から地面に落下激突したゾイに対し、リュウセイは謝る。
ブラック、ゾイ、リュウセイの連携によりナランディアを氷と瓦礫の生き埋め状態にすることに成功。
その安堵の為か、全員が床に腰を下ろして息を整えている。
「(こいつら……あの絶望的状況から盛り返しやがった)」
3人の少し後ろでただただ呆然としてナナシは立っていた
「……ゆっくりもしてらんねぇぞ……いつ彼奴が瓦礫の中から出てくるか、分かったもんじゃねぇぞ」
「いちち……じゃあよぉ、さっさとこの天井の穴から上に上がろうぜ。と言う事でまた俺のこと担いでや」
「テメェ……報酬半分貰ってやるからな」
「なん…だと…?」
「お前ら…何やってんだ?」
「あ、クッデじゃん」
クッデの声がし全員が天井の方へと顔をあげる。
身体中ボロボロだが、どうやら元気そうだ。
「良いところに来た!!! 悪いが俺らのこと引き上げてくれねぇか?」
「え、あぁ、それは良いが…お前ら何と戦ってたんだよ」
「引き上げながら話してやるよ。」
**少年達引き上げ中**
「と、言うことや」
「成る程な……じゃあこの下の瓦礫の中に親玉のナランディアが埋まってるのか」
四人を引き上げるのを手伝ったのち、ゾイから説明を受けたクッデは、恐る恐る床下の瓦礫を覗く。
ついでにナナシはもうこの場にはおらず、リュウセイか他の仲間を退却させるようにと指示を出していた。
「さてと、俺たちも行くぞ。クッデもこんなんだし、今の俺たちじゃあ彼奴に勝つことなんて無理だし、こんな狭い空間で戦えないしよ」
リュウセイはぶっきらぼうに言い放つと歩き始める。
その直後だ。
突如後方から大爆発鳴り響き、瓦礫が飛び散る。
リュウセイら全員がすぐに向く。
床下から一人の男が……ナランディアが浮かび上がって来た。
「うわぉ……ピンピンしてるよあの人」
「青臭い餓鬼共が……絶対に」
「"竜技 炎吹"!!!!」
ナランディアが話し終わる前に、クッデは攻撃し吹っ飛ばす。
「ナイスだクッデ」
「あぁ…だが悪いが、これで俺の魔力はすっからかんだよ。もう竜化も出来ないぞ」
「んじゃさっさと逃げるぞ!! ほら行くぞ!!!」
リュウセイはゾイを担ぐと同時に一括する。
それと同時にブラックとクッデが走り出す。
「逃がさんと言ったら……逃がさんぞ!!!」
クッデの攻撃によって吹っ飛ばされたナランディアは、ゆっくりと立ち上がると全身に魔力を集中させる。
「はぁぁぁぁ……"空気間滅"!!!」
全身に集中した魔力を一気に解き放つ。
それは彼を中心巨大な空気の壁が時速100kmを優に超える速度で床や壁を崩壊させながらクッデ達に迫っていった。
すぐに全員が防御態勢を取ったが……。
**地上**
「何? この揺れ?」
溟海の狂鮫の本部から少し離れた場所で待機していたニィアが、謎の地響きいち早く気がつく。
現在、彼女の周りには戦いによって負傷した仲間と、ブラックによって気絶させられた被験者達が手当てを受けており、ニィアはそれの手伝いに移っていたのだが……。
「地震じゃなさそうね〜、リュウセイさん達が誰かと戦ってるのかしらね〜」
怪我人を運んでいたミココがニィアに話しかける。
「誰かと……って?」
「そりゃぁ、此処のボスとかその辺でしょ。ま、四季全員で戦えばなんとかなるでしょ」
ミココは淡々と笑顔で話す。
それに対し、ニィアも笑みを作って返す。
だが、彼女の心の中は不安でいっぱいだった。
そしてその不安で的中してしまった。
ニィア達の方に何かを叫びながら走って来る人影が一つあった。
青髪に眼鏡をかけた青年……リュウセイの部下の一人のホロアだ。
ふらふらになりながらも走り続け、ニィア達の前までたどり着くとばたりと倒れる。
ニィア達はホロアの側に近寄る。
「あわわわ!! 大丈夫!!?」
「み……水……」
「え?」
「あぁ大丈夫大丈夫。これただの脱水症だから。此奴能力値を全て賢さに振り切ってるから体力がほぼないのよ」
「は、はぁ」
「んで普段走る事しないあんたが、一体どうしたん?」
何処から出したのか、水筒を取り出しホロアに渡す。
それを感謝しながらガッと飲み始める。
その間に異変に気がついたのか、少し離れた場所にいたキャンサーとメインバが近づいて来る。
ホロアは水筒の水を飲み干してから、口から離し荒い息を整えてから、ゆっくりと口を開く。
「ほ、報告します。敵本拠地である建物が突如起きた爆発により崩壊しました!!」
「「!!!? 何ですって!!!」
その場にいた全員が驚きの声を上げた。
「中にいるものは無事なのか!!?」
「は、はい。リュウセイさんから事前に退避命令が来ていたので、多くの者達は建物の外もしくは一階にいたので無事なのですが……まだ地下にはリュウセイさんを含めた四季四名が」
「え……それってクッデ君も……」
ニィアの顔がドンドン青ざめていく。
そして、無意識のうちに走り出していた。
すぐ隣にいたミココが呼び止めるが、この時のニィアの耳には入らず、一心不乱に走り続けていた。
誰も彼女を止める事は出来なかった。
……一人を除いて。
「は〜いはい、危ないからニィアたんは此処で待ってなさ〜い」
「んにゃ!!!」
何処から現れたのか、全身を黒いローブで包んだ男が、ニィアの前に左手を広げ止める。
「なんで止めるですか!!! クッデ君が!! クッデく…え」
止めてきたローブの男に対して、半泣きで文句を言うニィアだったが、ローブの男の顔を見た瞬間、その口を止めた。
「あんた……何故此処にと言うかどうやって此処に」
「あぁあぁその事は後でゆっくりと話しやすわ。とりま、まずはやることやっちゃいましょうかね」
ローブの男は、困惑しているメインバの質問に軽く返答し、ニコッ笑いながら敵の本拠地の方へと体を向ける。
「ほんじゃ、いっちょ行きますかね」
**敵本拠地**
ナランディアの広範囲技により、瓦礫の山となった溟海の狂鮫本部。
その一角の瓦礫の山がゴソゴソと蠢いたかと思ったら、ガタガタと音をたてながら崩れる。
「いちちち……全員生きてるか?」
瓦礫の中にいたのはクッデだった。
痛みに耐えながら体を起こし、周りを見渡す。
「おう」
「なんとか生きてんぞ」
返事が返ってくると同時に、クッデの近くにあった瓦礫の二つの山が崩れ、全身鉄化しているリュウセイと、氷で身を守っているゾイが姿を現した。
が、両者瓦礫から出るや否か、魔法が解かれその場に倒れる。
「生きてるが……もう魔力も体力もカラッカラだし、無理に動かしていた右腕ももう限界や」
「俺も魔力が尽きたし、重症だった足も悪化しやがった」
「ブラックは?」
「……此処だ」
「お前は無事か?」
「どうだか……さっきの攻撃の攻撃で腹に鉄屑が刺さりやがった。無理に引き抜こうとすると大量出血で死ぬかもしれんな」
視界には入ってないが、悲痛なブラックの声が聞こえてきた。
重症だが無事なようだ。
「んで、彼奴は無事と」
クッデは朧気な目で、こちらに向かってゆっくりと歩いてくるナランディアを見ながら言う。
技の発信源だけあって瓦礫の雨の中でも無傷でいられたようだ。
「へへ……この中で動けるのは俺だけか」
苦笑いを作りよろめきながら、その場で立ち上がり構える。
その目にはもう生気はなかった。
「"空弾"!!!」
ナランディアは右手に空気の塊を作り出した同時に、ボロボロのクッデに向けて放つ。
現在のクッデには避けるほど体力も残されておらず、その場で顔を覆い防御の構えをとる。
この時クッデは何処かで死の覚悟をしていた。
が、次の瞬間摩訶不思議な事が起きたのだ。
一直線にクッデに向かっていた空気の塊は、何故か衝突する寸前で方向を変え通りすぎていったのだ。
クッデを含めた四季全員が驚き困惑した。
それは魔法を放った本人であるナランディアも同じであった。
確かにクッデに向けて放ったはずなのに、なぜか軌道が外れたのか。
ナランディアはその疑問を自力で解決する事ができなかった。
「やぁやぁやぁ〜みんな元気そうで何よりだよ」
「!!!! この声は!!!」
クッデの今聞こえた声を聞くやいなか、明るい顔つきへと変え声の元を探し始める。
他の三人も同様、すぐに辺りを見渡す。
「此処だよ此処〜ほら上の方だよ上〜」
上という言葉を聞いて全員が顔を上げる。
するとある瓦礫の山の上に、ローブを靡かせ一人の男が爪先立ちで立っていた。
先程ニィアを止めた人物だ。
「貴様何者だ!!!」
ナランディアは突如乱入してきた男に対し鋭い目付きで睨みつける。
「おぉ〜怖い怖い〜まぁ簡単に自己紹介させていただこうかね〜。自由な旅人最強にして〜総帥から"黄泉"の異名授かり〜傭兵組合が認定した三人の最強格のうちの一人でかつ〜今年チョコレート一個ももらえなかったヘルザ〜ここに参上や〜!!!」
〜to be contenued〜




