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竜の声  作者: 水仙(スイセン)
大遅刻編
3/43

第2話 デートの邪魔

「(あぁ〜いてぇ〜)」

赤くなった右頬を摩りながら思うクッデ。

隣にはお怒りのニィアが頬を膨らませて立っていた。

先程までニィアに絡んで来た男達と、話し合い(物理)をしていたクッデだったのだが、リーダーだと思われる男を一撃で倒したのが効いたのか、他の二人は男を担いで一目散に逃げてった。

此処に来るまでのクッデよりも走る速度は早かった。

何だかんだ撃退することは出来た。

で、問題はこの後だった。

男達が逃げ去ったのを確認してから後ろを振り返ると同時にニィアからのビンタが飛んで来た。

この時点でニィアは怒っていた。

もう理由も聞かなかった。

そんなこと分かりきっていたからだ。

遅刻だ。

よく考えればクッデが遅刻しなければさっきの男達と絡む事もなかったのだ。

取り敢えずこう言う場合はどうするかは1つだ。

「すみませんでした!!」

土下座。

もうこれしかない。

言い訳するよりこっちの方が良いに決まっている。

チラっと顔を上げニィアを見る。

「はぁ、仕方がないなぁ……」

「(お、許してくれるのk)」

「アイス一個と新しい服2着で許してあげる」

「(全然許してくれてない)」

「許して上げてるじゃない、何?不服?」

「いえ、全然不服じゃないです」

まるで心を読んでるかのように言葉を返すニィア。

いや読んでいるかのようにじゃない、"本当"に心を読んでいるんだ。


***


「あぁ〜くそいてぇ〜」

腹を摩りながら地面に座り込んでいる男Aが言う。

此処は路地裏。

先程やられた3人の男達が逃げて来た場所だ。

「にしてもあのガキ強かったなぁ」

一人男……男Bがもう一人の男に向かって言う。

「あぁ、普通の強さじゃねぇぜ」

男Cが言う。

「畜生がぁ〜こんなの割りにあわねぇぜぇ〜」

男Aは地面殴りつけて言う。

相当悔しかったんだろう。

「おいおい情けねぇなぁお前ら」

「!? この声は!?」

3人の男が路地裏の奥を見る。

そこには黒髪で長身で口にはピアスをつけた男が立っていた。

「「「ガイナスさん!!」」」

全員が名を言う。

ガイナスと言う男はポケットに手を突っ込みながら男達の方へと近づ来ながら一言彼らに質問を飛ばした。

「誰にやられた?」


***


心が読める、それが彼女(ニィア)の"魔法"だ。

この世界の住人の多くは魔法を取得できる。

多くは勉強や修行で身につける取得魔法(スキル)なのだが、ニィアの場合は生まれ持って使える魔法、血縁魔法(アビリティ)だ。

その為か、生まれてからずっと人の心を読むことが出来るのだが、彼女はそれが嫌なため力がフルに使えないように片目だけ包帯で隠しているのだ。

まぁ、この説明はさておき、現在"17:00"。

朝の出来事から8時間くらいたった。

町には満々な笑顔で歩いているニィアと、荷物持ちをさせられているクッデがいた。

服2着と言っていたがあれは本来買う予定に追加させられただけだ。

合計したら10着は買ってる。

靴も何足か買った。

殆ど(クッデ)の財布からの出費だ。

けど彼は嫌な顔1つしていない。

この時間が楽しいからだ。

「(はぁ〜ずっとニィアと二人っきりの時間が続けばな〜)」

「よぉ、見つけたぜ」

一瞬で願いが消えた。

笑顔だった顔は不満いっぱいの顔に変わった。

後ろを振り向く。

そこに朝方絡んで来た男二人と知らない男が一人いた。

「……朝の二人と…誰だ?」

「ふっ、俺を知らないのか? まぁ良い俺の名はガイナス。

傭兵組合(ギルド)"黄金の歯車(ゴールデンギア)"の"極転"のガイナスと言えば分かるか?」

「いや知らねえ」

「即答かよおい」

ニヤケ顔だったのがムッと変わる。

本当に知らないのだから。

ただし、黄金の歯車は知っている。

傭兵組合(ギルド)の1つだ。

この世界……と言うよりこの国には大きなギルドが8つ存在する。

そして、クッデとニィアもその中のあるギルドに所属しているのだが……。

「(そのうちの1つに確かそんな名前のギルドがあったなぁ)」

曖昧な感じで思い出す。

元々記憶力はいい方ではない。

「まぁ、名前なんてどうでもいい」

「いや良くはないと思うけどなぁ」

「それよりも大切な事はだな」

ガイナスは姿勢を低くし構える。

「次の台詞の後すぐに右ストレートが来るよ」

ニィアは相手の心を読み先に小声で口にだす。

それを聞いたクッデはニィアの方に荷物を渡す。

「悪いけど少し持っててくれない?」

ニィアは嫌な顔もせずサッと荷物を受け取りその場から少し離れる。

と同時だった。

「お前が俺らのギルドに泥を塗ったって事なんだよ!」

ダッ!

ニィアの言う通りだ。

真っ直ぐ此方に突っ込んで来た。

「んまぁ、やるかな」

そう言うとニヤっと笑い、右手に力を込める。


人とは思えない右手に。


〜to be continued〜

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