第28話 ドラゴンvsケルベロス
〜ルゾロサイド〜
「……ふぅ〜」
人目のつかない路地裏。
そこでルゾロは静かにタバコを吸っていた。
そして彼の足元には先程までルゾロと戦っていた、血祭りにあげられたデラックが倒れていた。
とは言うものの、微かに腹が動いていることから、生きていることは言うまでもない。
「ったく、手間取らせやがって。だが、戦ってみてわかったが、純粋な戦闘能力はクッデより遥かに強いな。もしもクッデが此奴と本格的に戦っていたら……ん?」
何かを感じ取ったのか、ルゾロはタバコを口から遠ざかると、空を見上げる。
「……あの馬鹿、あれほどあの力を使うなと言ったのに!!!」
手にしていたタバコを握りつぶす。
その表現は、鬼のような仰韶に変わっていた。
人間の目とは思えない、左目と共に……。
〜クッデサイド〜
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
気合の声と共に今ある気力と魔力を全開に引き出し、全身に力を入れる。
するとどうだろう、クッデの体はみるみる変化していく。
両腕のみだった竜化の鱗は、徐々に全身に広がって行く。
また、耳も鋭く伸びてき、歯は牙へと変化していく。
そして鱗の増殖が止まると、最後にシャツを破りながら巨大な翼が生えると、クッデの劇的な変身は止まった。
「(ハッタリでは無かったようですね、あの男のような完全体では無いにせよ、両腕の時とは比べ物にならない程の気迫を感じるようになりましたか)」
「………」
「(しかし、ピクリとも動きませんね……まさか、力の解放に全て使い果たしたのでしょうか)」
ハクセイは戦闘態勢を崩さず、じっとクッデを睨みつけていた。
彼の思った通り、変身後からクッデは荒い息遣いを続けるのみで、攻撃する様子を全く見せない。
クッデの正面に立っていた2人のうち、前に立っていたハクセイが、後ろに立つもう1人の自分に対し、指で近づけと合図を出す。
それを見た後ろに立っていたハクセイは、コクリと頷くと一歩前に踏み出す。
ハクセイが一歩前に踏み出したまさにその瞬間だった、クッデの土壇場が始まったのは。
ハクセイが一歩踏み出した瞬間、クッデは一直線にハクセイの懐に突っ込む同時に顔面を鷲掴みにし、地面に叩きつける。
隣にいたハクセイはすぐに横を見ようとするが、顔を動かす前に回し蹴りを横腹に喰らい、廊下の先まで吹き飛ぶ。
その光景を見ていた反対側にいたハクセイがクッデに突っ込み、叫び声とともに拳のラッシュをかましだす。
それに合わせて、クッデもラッシュをしだす。
スピードは互角……いや、クッデが相手の拳に合わせているだけで…実際には互角ではない。
地面に倒れていたハクセイが攻撃態勢を取り、足払いをかける。
が、クッデはそれに気が付いていたのかタイミングよくジャンプする。
それと同時に前にいるハクセイの顎めがけて、蹴りを入れる。
顎にクリーンヒットしたハクセイは、後ろに後ずさりする。
クッデは落下と同時に体を回転させると足払いをかけ低姿勢となっている、ハクセイの脳天に向け殴りつける。
そして、着地と同時に殴りつけた手とは逆の手に水の魔力を貯ると、顎を蹴られたことにより後ずさりしたハクセイに向けて放つ。
喰らったハクセイは、後方へと吹き飛ぶ。
「"冥犬突き"!!!!」
クッデの背後から、始めの方に吹き飛ばされたハクセイが近づき、背中に向けて拳を放つ……が。
ガシッ
「なっ!!?」
完璧に不意をついたと思われていたが、クッデは振り向きざまにハクセイの拳を掴み止める。
すぐにさがろうと、ハクセイは掴まれた手を引っ張るがピクリとも動かない。
物凄い握力だ。
「くっ……これが50%まで力を引き出し、強化された君の力ですか!!」
「………強化……確かに俺はさっきよりも格段にパワーアップはしてる。だが、それ以上にお前が弱体化してるんだよ」
「……!!!?……どう言う事……でしょうか?」
「とぼけたって無駄だぜ、自分の事は自分がよく分かってだろ? 現在、自分の力が1/3しない事だってさ」
「何故それを!!?」
「お前の三頭犬って魔法…どうもおかしいと思ったんだよ、ケルベロス って生物は、三つの頭と一つの胴体で構成されている一匹の生物だろ? それが三つに……三人に分身するってことなんてよ。だからもしかしたらと思ったんだよ。実は体を無理やり三人に切り分けてんじゃないかって。つまりらお前一人一人は、分裂する前のお前自身の1/3の力しかないってわけだ。 通常は、その弱体化を三人の連携で補っている……いや、数が多いことから分裂前より強いのかもしれない……けど、それは三人揃って発揮されること、その連携攻撃時に1人でもかければ、一気に弱体化するんだよ。始めお前らと戦った状態のようにな」
「……だから、始めの方に僕を吹き飛ばしたのですか。他の僕達の連携攻撃に参加させないために!!?」
「そう言う事だ」
クッデは、ニカッと笑いながら答える。
そして、勝利を確認したのか、体力切れになったのか、クッデは静かに全身竜化を解く。
ハクセイの手を掴む逆の手、右手だけを残して。
「さてハクセイ、お前をぶっ飛ばす前に一つ質問させてもらえぜ!! お前を倒したと言う俺に似てる男!!! そいつは今から何年前の出来事で、その戦いの後どうなったのか答えてもらうぜ!!!」
「ぐっ……」
クッデの気迫に押されてか、ハクセイは観念して獣化を解く。
「……?何故あの男の情報を知りたいのか、僕には理解し難いですが……それくらいなら教えて上げましょう。あれは今から八年前の出来事ですよ」
「(八年前!? 一体どう言う事だ……確かルゾロさんの話では……いや、それよりも)……それで、その後その男はどうしたんだ?」
「さぁ……先程言った通り、僕は完膚なきまでやられましたしねぇ……その後事なんて覚えてませんよ。ただ一つ、思い当たるところはありますよ」
っと、ハクセイは此処まで話すと、何故か一度言葉を止めてから、また口を開く。
「君が今から行く、あの世とかじゃないですか!!!?」
薄気味悪い笑みを浮かべながら答えるハクセイ。
彼の目線の先には、クッデの背後に忍び寄るもう1人の自分の姿が写っていた。
忍び寄るハクセイは、もうすでにクッデへの攻撃射程範囲に入っており、鋭い爪でクッデの首元を狙っていた。
しかし、クッデはハクセイの言葉を聞いた後も、驚いた表情もしず、ただ笑っていた。
「そうか、じゃあ先に行って挨拶してきな!!!」
クッデは、掴んでいたハクセイ事、ぐるっと180°回転し、背後にいたハクセイに対してぶつける。
その瞬間、クッデはハクセイを掴んでいた手を離し、二人のハクセイはそのまま吹き飛ぶ。
そして、クッデは竜化させておいた右手に青いオーラを纏い始める。
「"海竜・流洋豪"!!!」
水の魔力を纏った右手からの一撃は、二人のハクセイに向けて放たれる。
「ぐぉぉぉぉぉ!!! 僕は!! また竜に負けると言うのかぁぁぁ!!!! 」
ハクセイは、自身の断末魔とクッデから放たれた水の魔法と共に、後方へと大きく吹き飛び、壁へと激突する。
そしてそのまま、二人のハクセイはその場で気絶する。
「はぁ…はぁ…なんとか倒せたが……情報を最後まで聞けなかったな……それに…」
ちらっと後ろを振り返る。
特に変わったものは無かったが、クッデはあるものを感じていた。
「………帰ったら死ぬな俺……けど、聞かなきゃいけないことも出来たしな……さてと、早く彼奴らと合流して、此処のボスを倒すとしようかな」
クッデは、嫌々な顔をしながらも、重い足取りでブラックが走って行った方向へと歩いていk
ドガーーーーン!!!!
「!!? な、なんた!?」
突如、謎の地響き音が鳴り響いた。
その後、何かが割れる音がするかと思えば、何処で床が崩れる音がし始めた。
クッデは突然の出来事で困惑していたが、その足は無意識に崩落の音源へと走り始めた。
〜tobe contenued〜
大変お待たせしました




