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竜の声  作者: 水仙(スイセン)
溟海ノ使者編
22/43

第21話 溟海の使者(?)

時間は少し戻り、大広間。

四季の四人の前に、一人の男が立ちふさがっていた。

男は、妙に髪が長く、顔に何か付けているようだ。

クッデは少し薄気味悪く感じ、後ろに下がる。

男は、腕組みをしながら周りに倒れている仲間達を見て、ギロっと四季を睨み、口を開き、怒鳴った。

「貴方達!!よくも私の可愛いボーイ達に酷いことをしてくれたわね!!たっぷりと礼をさせていただくわよ!!」

「……」

急に静寂が訪れた。

四季全員がピクリとも動かず女口調で話し始めた男を見つめる。

そんな静寂を消し去るかのように、リュウセイが大声で叫ぶ。

「オカマだぁぁぁぁぁ!!!」

「「うわぁぁぁぁぁ!!!」」

リュウセイが叫ぶと同時にクッデとゾイも叫びだす。

ブラックは目元が暗くなり、表情が読み取れない状況となった。

「何よいきなり!!オカマで悪い!!?」

女口調の男……もといオカマは、分かりやすい怒り顔をしながら反論する。

そして、よく見ると、顔についているのは化粧品だ。

真っ赤な口紅が口についている。

「悪い!!滅茶苦茶悪い!!俺はこの世で勉強と人参とオカマが心の底から大っ嫌いなんだよ!!!」

体を震えさせながら、リュウセイは早口で言う。

「俺は嫌いとかそう言うのは無いが苦手だ」

「別に男が女の格好することに関しては何も言わないけど、その男か女かよく分からない口調は背筋がゾクっとして嫌いなんだよ!!」

リュウセイに続いて、クッデとゾイが言う。

ブラックはジリジリとゆっくりと後ろに下がっていく。

「何よそれ!超失礼じゃないの!!」

顔を真っ赤にさせながら、オカマが言う。

「えんがちょう!!えんがちょう!!」

「……リュウセイ、それはなんか違う気がする」

指をクロスさせ、オカマに向かって言うリュウセイに対し、ゾイが冷静に止める。

「あんたら……もういいわ!!本気で怒ったわ!!この私、"イザキ"が怒るとどうなるか!!その身をもって味わうがいい!!」

声を荒げて喋るイザキは、両手に緑のオーラを纏わせ始める。

「気をつけろ、何か仕掛けてくるぞ」

ゾイの掛け声と共に、四人全員が防御態勢を取り、迎え撃つ準備をする

それを待っていたのか否か、四人の態勢が整ったと同時に、イザキは魔法を発動する。

「!?全員避けろ!!!」

ゾイが叫びながら走り出す。

しかし、クッデ達は何が何だか分からずその場で立ちすくんでいた。

その後すぐだった、リュウセイの頬に小さな切傷が現れたのだ。

「いっち!!」

リュウセイが頬を手で押さえる。

血が出始めた。

「何が!!?」

「リュウセイ下がれ!!!」

ブラックは走りリュウセイの前へと出て、腰に挿してある刀を鞘から抜き目にも止まらぬ速さで空を切り始めた。

始めは、リュウセイは何をしているのか分からなかったが、目を凝らしよく見て気がついた。

風だ。

刃のような長細い風が大量にこちらに向かっていたのだ。

「うぉぉぉ!!これは何なんだ!!!」

クッデは両腕を竜化させ、なんとか風の刃を防いでいる。

鎌鼬(カマイタチ)だ!一つ一つの攻撃力は少ないが数が多いから当たり続けると危険だ!!」

ギリギリの所で鎌鼬の射程範囲に逃れたゾイが説明をする。

「誰一人逃がさないわよ!」

イザキは魔法の力を強める。

すると、鎌鼬の量が三倍近くも増えた。

それだけではない、腕を正面に突き出し発動していた技だったが、その腕を頭上へと突き上げる。

その結果、正面にのみ向かっていた鎌鼬はイザキを中心に全方位へと放たれたのだ。

そして、鎌鼬はリュウセイの部下達にも襲い始めた。


「うわぁぁぁ!!!」

「イザキ様!!その様な攻撃をすれば私達mぎゃぁぁぁぁぁ!!!」

「チッ、あの野郎敵味方お構いなしか!!?」

鎌鼬で倒れた仲間をナナシが武器でガードしながらイザキの方を睨む。


「くっ!!この場に居続けるの危険か!?……悪いが、此処はクッデ達に任せて、俺は先に進ませてもらうぜ!!」

氷の壁を作り出し鎌鼬を防いで居たゾイは、近くにある通路の方へと走りだし、大広間を後にした。


「(鎌鼬の量が多すぎる!!このままでは……)」

刀で鎌鼬を斬り続けるブラック。

しかし、それも限界が迎え始めた。

「うぉぉぉぉぉ!!!」

「!?」

突如、後ろからリュウセイの叫び声が聞こえ始めた。

リュウセイは、床に手を埋め込ませ、持ち上げようとしていたのだ。

次第に、リュウセイを中心に床に亀裂が走りだし、ジグザグな円になった所を力を振り絞り持ち上げ、そのままブラックの前へと投げ飛ばす。

リュウセイの投げ飛ばした床は壁となり、ブラックの目の前へと落ち、鎌鼬を防ぐ防壁へと変わった。

ブラックは、驚きと同時に刀による防御を停止させ、すぐさま後ろを振り向く。

「ぜぇ……ぜぇ……だ、大丈夫か?」

「なんて力技だ……だが、助かったぞ」

「へへへ、さっきの借りな」

鼻をこすりながら、笑顔でブラックに言う。

「うぉぉぉぉぉ!!俺も入れろ!!!」

安全地帯である防壁の後ろへと、クッデが滑り込む。

彼の体には、彼方此方に小さいが切傷が出来ていた。

「畜生……全部防ぎきれなかったぜ」

「お前風魔法使えんだろ、押し返せねぇのか?」

「無理だ!!俺の属性魔法はおまけだ!!本家の属性魔法に勝てるわけないんだよ!!」

「チッ、使えねぇなぁ」

「んだと!?」

「お前ら、よくこんな時に喧嘩できるな」

呆れ顔で二人を眺めながらブラック言う。

それを聞いて、二人は黙り込む。

少しの間両者睨み合っていたが、途中でリュウセイがため息をつき、口を開き始める。

「んじゃ、此処は俺が何とかするから、お前ら先に進んでろ」

「先って……どうやってこの鎌鼬の中を行くってんだよ」

クッデは、傷跡をさすりながら質問する。

すると、リュウセイは親指で背後を指差す。

指が指す方を見ると、先程リュウセイが防壁を作るために床をくり抜いた際にできた穴だった。

そして、穴の中をよく見ると、なんと地下通路が広がっていた。

「さっき床を持ち上げた時、どうも軽いから、放り投げた後にチラッと覗いたらこれだよ。どうやら、この建物は地下に広がってるタイプの構造だ」

「成る程な……よし分かった。俺とブラックは先に行くよ。後は頼んだぞ」

「おう任せろ。あのオカマは俺が必ず倒すぜ」

リュウセイは、周りに黒いオーラをただ痩せながらニヤリと笑う。

その姿を見て安心したのか、クッデも笑みを浮かべながら、ブラックと共に穴の中へと落ちる。


〜F1階〜

しっかりと着地を決めたクッデとブラック。

二人して、周りを見渡す。

どうやらはじめ見たとおり、ただの通路だ。

敵の姿もない。

クッデはブラックと目を合わせ、コクリと頷くと真っ直ぐと通路を走り始めた。

そんな彼らの進む方向とは、逆側の曲がり角から、すぅ〜と現れ、薄気味悪い笑みを浮かべる者が、ジ〜ッと二人の姿を見つめていた。


血塗られた武器を片手に……。


〜to be continued〜

久しぶりの投稿です

遅れてすみませんでした

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