第20話 激突!溟海の狂鮫!
溟海の狂鮫の本部内。
クッデ達が中に入った頃には、鉄鋼団と溟海の狂鮫の雑魚員による乱戦が始まっていた。
此処に来る途中メインバに聞かされたことだが、溟海の狂鮫に所属している人数は300人近く居ると聞かされていた。
それに対して、此方のほうは、50人と差は歴然だった。
が、敵の数が減るスピードは圧倒的に早かった。
リュウセイ率いる鉄鋼団、彼らはそこらの雑魚よりも強く連携のとれた動きが多い。
その為数の差は簡単に埋めることが出来た。
特にリュウセイと彼の側近の3人の強さは別格だった。
「くたばりやがれ!!」
巨漢の男が、身の丈ほどの大剣を片手の男に対して振り下ろす。
片手の男は、それを右手に持つ、鑢のような武器で余裕な表情で受け止める。
「見かけ倒しか?この剣は?」
「なに!?」
巨漢の男が驚いている隙に、片手の男は大剣を弾き返し、バランスの崩れたところを右手に持つ武器で吹っ飛ばす。
巨漢の男は声が出る間も無く壁に激突し、気絶した。
「俺に勝ちたきゃ、もっと重い武器を使いな」
≪鉄鋼団幹部 "巨塔"のナナシ≫
「ぜぇ……ぜぇ……なんなんだこの女!!」
短剣を持つ二人の男が息を切らしながら、目の前に立つ、桃髪の女を睨みつける。
先程から二人掛かりで何度も斬りつけているのに、短剣が当たる寸前で何故かその場から消えるからだ。
「貴方達の相手も飽きて来たし、そろそろ倒させていただくわよ」
「ぐっ!舐めやがって!!!」
半ばやけくそで、短剣を持つ二人の男は同時に飛びかかる。
が、やはり当たる寸前でその場から消える。
そして、二人が辺りを見渡す前に、桃髪の女はどのようにしてかは分からないが、背後に回り込み、回し蹴りを喰らわす。
「「ガッ!!」」
ゴスッと、鈍い音と共に二人の男は地面に倒れこんだ。
「残念、貴方達の戦いは此処で終了しました♪」
≪鉄鋼団幹部 "瞬速"のミココ≫
「「一斉に攻撃だ!!!」」
杖や本を持った四人の男達が、叫びながら魔法を貯め始める。
そして、先にいる眼鏡をかけた男に対して別々の属性魔法を放つ。
「……"魔法壁"」
眼鏡をかけた男は、手を前にかざすと同時に、目の前に半透明な壁を出現させる。
そして、四人の男たちが放った魔法は全て、魔法壁を突破することなく虚しく散っていく。
「この数の魔法を!!」
「全て防ぎやがった!!」
男達がたじろいでいる間に、眼鏡をかけた男は、右手に青い魔力を貯める。
「"青い弾丸"」
魔法壁を発動した時と同じように手を前にかざし、青い稲妻を四人の男たちに向けて放つ。
「「ギィヤァァァァ!!」」
魔法を喰らった男たちは、体に電流が走り叫ぶ。
そして、電気が収まると、その場にバタリと倒れこむ。
「……はぁ、この程度でやられるようでは、何の情報も得ることが出来ないですね」
≪鉄鋼団幹部 "蒼雷"のホロア≫
「全く、どいつもこいつも張り切りやがって……俺の出番が来ないじゃないか」
戦闘が行われている場所より後方で、退屈そうに眺めるリュウセイがいた。
「余裕そうだな」
後ろから声が聞こえ、顔だけ動かし後ろを見ると、後から到着したクッデ達がこちらに近づいていた。
「当たり前だろ、こんな雑魚共、元から眼中にもないさ。俺の目的は幹部の首だけさ」
笑顔で答えるリュウセイ。
どうやら幹部に勝つ自信はあるようだ。
3人は、呆れつつも笑顔で返す。
そんな時だった。
ヒュ〜と言う、風を切る音が何処からともなく聞こえた。
その後すぐだった。
叫び声が聞こえたのだ。
その声を聞いた四人は、目つきが一瞬で変わり、全員が叫び声の聞こえた方へと目をやる。
四人の目線の先には、前衛にいた仲間達が、身体中が切り傷だらけの状態で倒れていたのだ。
そして、彼らの周りに一人、他の雑魚兵とは雰囲気が違う者が立っていた。
***
「侵入者じゃと?」
少し薄暗い部屋。
大椅子に腰を下ろしている老人が、目の前で膝をつき、ターバンを巻く男の話を聞いていた。
内容は侵入者が乗り込んできたことに関してだった。
「はい。しかも、人数と組織的行動を見るところ、何処かの傭兵組合だと思われます」
ターバンの男は、顔を下げながら老人に対して話す。
「うぅ〜む……いつかは来ると思っていたが、予想よりも早かったなぁ……して、現在の戦局は?」
「大広間にて部下達が応戦しております。また、現在、"イザキ"を現場に向かわせており、また、"シナナイ"達を解放させる準備を始めてます」
「そうか……報告ご苦労。お主も彼らと合流し、侵入者達の迎撃に当たれ」
「はっ!!」
膝をついていた男は、部屋全体に響く声で返事をするや、素早く立ち上がり、老人に対して一礼をすると、部屋から立ち去っていった。
その姿を確認してから、老人は深いため息を吐く。
「おやおや?何か事件ですかい?」
大椅子の後ろから、黒髪の男がスッと出てき、老人に対して言葉をかける。
「あぁ、どうやら傭兵組合が攻め込んできたらしい」
「おやおや、それは大変!これからどうなさるおつもりで?」
「ふん、んなもん返り討ちにしてやるわ。ワシら"溟海の狂鮫の力を見せてやるわい!!」
老人に声を荒げながら、黒髪の男に対して言う。
「ほらほら、落ち着いて落ち着いて。息が乱れてますよ〜……そうだ、私も侵入者の迎撃に手を貸しましょうか?」
「なんだと?」
「お爺ちゃんに無理はさせれませんしね」
「ふん、変な気遣いはいらんわい……ワシだってまだまだ現役だわい……だが」
「だが……?」
老人は黒髪の男の方をじっと見る。
黒髪の男はニコニコしながら、次の言葉を待っていた。
老人は深く息を吐いてから次の言葉を発した。
「止めたところで、どうせお前の事だ。もう"向かっておる"のじゃろ?」
「おや?よくお判りで♪」
「人の話を全く聞かない事は、よく知っておるからのぉ」
「ははは、それはまた手厳しい事をおっしゃりますね……では、私も向かわせていただきます」
黒髪の男は、軽く例だけすると、大椅子の影の中へと消えていった。
その光景を見届けてから、老人はゆっくりと目を瞑り、一言だけ呟いた。
「さて、お手並み拝見させてもらおうかのぉ。"番犬"のハクセイよ」
その後、部屋の中には静寂が訪れていった。
〜to be continued〜
新年初の小説投稿です(°▽°)
今年も竜の声宜しくお願いします




