第19話 突撃! 溟海の狂鮫!
とある森の中。
まだ昼だと言うのに、高く葉が生い茂る木々のせいで、辺りは暗い。
そんな自然が広がる場所に、似つかないキラキラと光る物が置かれていた。
鏡だ。
人一人映るほどの大きさのなんの変哲も無い大鏡。
しかし、大鏡は何の前原もなく、突如光を放ち始める。
すると、大鏡から続々と人が出てくる。
我が先と押し合いながら。
そして、10分も経たないうちに、大鏡の周りには50人近くの人で埋め尽くされ、最後に水色髪の少女が出てくると、大光は消えて、本来の大鏡の状態へと戻る。
「さて……着いたわよ」
大鏡から出てきた一人の老婆がその場にいる全員に向かって言う。
メインバだ。
そして、周りにいるのは自由な旅人の所属者だ。
「流石"鏡中"……鏡と鏡を繋げて移動する事が出来ると言うことがこうも便利な物だとは」
クッデは周りを見渡しながらフューチェに向かって言う。
ここまで来るのに、本部に設置してあった大鏡を利用し、全員を一斉に移動する事に成功したからだ。
が、言葉が返ってこないこず、後ろを振り返る。
「zzz」
「……立ったまんま寝てやがる」
半分驚き、半分呆れながら立ったまま寝ているフューチェを見る。
「……まあ、3日近くずっとこの鏡と本部に設置してた鏡と繋がるために魔力を送り続けてたからね、無理はないわ」
フューチェ達の側に近づきながら、キャンサーが説明をする。
ニィアは、説明を聞いてから、フューチェに近づき、立った姿勢から、ゆっくりとその場に寝かせてあげた。
「……フューチェさんどうしたの?」
先程まで思考回路停止中だったゾイが、やっと再起動したのか、クッデ達に近づき、質問する。
その質問の回答を、クッデがすると、ゾイはムスッとした表情になり、メインバを睨む。
そのメインバと言うと、周りにいる者に何やら説明をしていた。
そして、ある方角に指を指すと同時に、「行くぞ野郎ども!!」と言う声とともに、周りにいた集団は一斉に走り出した。
リュウセイ率いる"鉄鋼団"だ。
「彼奴ら……何でいきなり走り出したんだ?」
疑問を抱いたクッデは、メインバの方へと歩いていき、そして質問をした。
「リュウセイ達に何を教えたんですか?」
「ん?この先にある"溟海の狂鮫"の本拠地の方向だけど」
「あぁ〜、成る程成る程」
納得したのか、リュウセイ達が走った方へ顔をやり。コクリコクリと頷く。
そして、少し間を開けてから、バッとメインバの方へと顔を戻し。
「本拠地の場所を教えた!?」
「えぇそうよ」
「それって……彼奴らに手柄を横取りされるじゃねぇか!!」
クッデは、叫ぶと同時にリュウセイ達の後を追うように走り出す。
「あ、おいクッデ!?」
ゾイは、クッデに向かって止めようと声をかけるが、もう彼の耳には届かない距離まで走って言ってしまった。
「ゾイ君。行ってきていいよ」
「え?いやけどフューチェさんは……」
「私たちが見てるから大丈夫よ」
ニィアは親指を立てながらグッと前に出す。
キャンサーもコクリと頷く。
「あぁ……んじゃ頼んだぞ!!」
ゾイは軽く礼だけすると、クッデ達の後を追いかけ走り始める。
「……彼奴ら大丈夫かね?あんなに力んで?」
「まぁ、大丈夫でしょう。もしものことがあったら、私が出るし」
指を鳴らしながら、キャンサーに向かってメインバが答える。
「……始めっから貴方が行けば良いんじゃ?」
「いやよ、面倒だし。彼奴らの為にならないし。面倒だし」
「何故二回も面倒と言ったし」
***
「うわぁ……派手にやってんなぁ」
森を少し進むと、大鏡以上に場に似合わない、人工建物が建っていた。
周りの巨木の葉より下になるように作られた為か、縦横にデカイ。
中は広そうだ。
そして、壁は頑丈そうな造りとなっているのだが……。
入口らしきところ含めて、巨大な穴が開けられていた。
多分、リュウセイ達が開けたんだと思われる。
そして、中からなのか、サイレンのようなものが鳴り響いていた。
入口の周りには溟海の狂鮫の団員だと思われる奴らがくたばっていた。
「もう彼奴らだけに任せればいいんじゃね?」
走ってクッデに追いついたゾイは、提案する。
「いやだよ、手柄全部彼奴らに取られるのは。後からいろいろ言われるし……お前もそう思うだろ?」
クッデは、ゾイの後ろにひっそりと立っていた、ブラックに声をかける。
が、聞こえないのか聞こえているのに無視をしているのか、ブラックは何も答えず目の前の建物を睨みつける。
「お前さぁ、その無言キャラ演じるのやめたら?」
「……その言い方止めろ。他の奴らが勘違いするだろ。俺は無駄な体力を使いたくないだけだ」
「無駄って……」
今日初めて話したと思えば、反論に加えて無駄という悪口まで言ってきた。
クッデは不機嫌な顔でブラックを睨む。
「はぁ……まぁ仕事しないとメインバさんに怒られるしなぁ」
ゾイは頭をかきながらクッデの前に出る。
「んじゃ、俺は此処で宣言するぜ」
「……何を?」
「決まってんだろ、この戦いで幹部を一人討ち取ったら、俺はフューチェに告白するぜ!!」
「まただよ」
「お前いつもその死亡宣言言って、捻じ曲げてフューチェに告白して振られるってネタ何回やればきがすむんだよ」
「ネタってなんだよ!!俺は真剣なんだよ!!本気でフューチェの事g」
「くだらん」
「ブラックテメェ今何つったオラァ!?」
「くだらん」
「あぁっ!?」
「君らのその喧嘩ももう十八番だよな……ほれ、置いてくぞ」
二人の口喧嘩に呆れ、先に建物に乗り込んでいく。
「あ、待てよクッデ!!」
クッデの走る姿を見て、ブラックを放っておき走り出す。
「……」
ブラックも軽くため息をついてから、建物へと走り出す。
軽い気持ちで建物へと侵入していく四季の四人だった。
しかし、この時彼らの頭の中には一つの忘れていることがあった。
それを思い出すのは、数時間後の事だった……。
〜to be continued〜




