第1話 待ち合わせ
青い空、白い雲、そして道を歩く人々。
家が立ち並ぶ町、何処でも見る風景が続いていた。
此処はセント王国と呼ばれる国の西部に位置する町"ナーシサス"。
レンガ作りの家が立ち並び、近くには綺麗な川が流れる平和な町だ。
そんな町の中、橙色の髪をなびかせながら、道を全速力で走る少年の姿があった。
現在大遅刻中のクッデだ。
「ぜぇ……ぜぇ……確かこの辺で待ってるはずなんだが……」
クッデは息を切らしながら走り、顔を左右に動かし呟く。
チラっと腕時計に目をやる。
"8:30"
待ち合わせより30分も遅刻している。
流石にやばいと、焦り出したが少し走ってから足を止めた。
「いたぁ……」
どうやら探している人を見つけたようだ。
クッデの見つめる先には自分と似た年代の綺麗な黄緑色の髪の少女が立っていた。
後ろ姿で顔は見えないが間違いない。
安心しきったのか一度足を止めて深呼吸をし始める。
自宅から30分近くずっと走り続けたのだから仕方がない事だ。
「(さぁ〜て……どう言い訳をしたものか…取り敢えずビンタ1発は確実だよな…)」
そんなことを考えながら少しの間息を整える。
ちらっと彼女の方へと顔を向ける。
するとおかしな事に気がつく。
彼女の周りに見知らぬ男が3人いたのだ。
「(あれ、今日は二人っきりの筈だけど……誰だ?)」
首を傾げながら考えていると、突然、一人の男が彼女の腕を掴んだ。
「なっ!?」
急な出来事に困惑するクッデだが、掴まれた手を振り解こうと、抵抗する彼女の姿を見てすぐに気がついた。
ナンパだ。
しかも悪質なタイプのだ。
そうと分かればジッとなんてしてられない。
「オイお前ら!"二ィア"に何してる!!」
大声で叫びながら彼女の方へと走り出す。
此処は来る時よりずっと早い速度でだ。
この声を聞いて彼女はこちらの方へと顔を向ける。
透き通るような赤い左目、そして右目を隠すように巻かれている包帯、ニィアだ。
「クッデ君!!」
クッデはすぐに相手に手をニィアの手から離し見知らぬ男の前に立ちふさがる。
「ニィア、大丈夫?」
「うん」
ニィアは安心しきった声でクッデに答える。
「なんだテメェ!!」
ニィアの腕を掴んでいた男が怒り混じりの声で言ってきた。
凄い形相でこちらを睨んでいる。
他の二人もだ。
「俺か? 俺はニィアの彼氏のクッデだ。」
「彼氏だぁ? お前が? けけけ」
彼氏と言う言葉を聞いて笑い出した。
「何がおかしい!」
「そりゃあだって、こんな弱そうな奴が彼氏なんだもんなぁ〜その子が可愛そうだぜ〜」
クッデは少しイライラしてきた。
確かに見た目あんま強そうじゃない。
ガタイがいいわけでもなければ筋肉質でもないし、身長だって160cm前後だ。チビだ。文句あるか。
なんて事を心の中で思っていたクッデだった。
そんなクッデを他所に男はニィアの方を向いて
「なぁ、こんな奴と付き合わずにさぁ〜俺らと遊ぼうぜ〜」
と、声をかける。
「(こいつらふざけやがって…だからといって相手をするのも面倒だ、これ以上問題にならないようn)」
「あなたみたいなヒョロヒョロとなんかの相手するわけないでしょ!!」
「(おぉぉぁい!!)」
サッと後ろを振り返ってニィアを見る。
強気だ。
クッデが来た事によって完全に勝ち誇ってるよ。
自分から喧嘩振りに行ったよ。
「ほぉ……んじゃよぉ」
「え」
相手の方へと顔を戻す。
すると男は右手を拳の形にして構える。
「俺がこいつぶっ飛ばしたらよ〜遊んでくれるんだよな〜」
「えぇぇぇ!!!」
やる気だ。
さっきの怒りの形相のまんま笑みを浮かべている。
「「やっちまえ兄貴〜」」
横にいる二人の男もやる気だ。
「お、おいちょっと待てよ!」
「待つわけねぇだろ!!!」
男は構えた拳を前に出し殴りにかかってきた!
「お、俺こう言うのマジで苦手なんだよ!!」
「ヒャッハァァ!!じゃあさっさとやられやがれ腰抜野郎があぁぁぁぁ!!!!」
ドスッ!
鈍い音がした。
拳が相手の腹に入った。
相当な威力だったのか喰らった相手はそのまま後ろへと倒れ始める。
……そう、クッデの拳を喰らった男が。
「ガハッ!!」
バタッ
男は地面にそのまま倒れこむ。
横にいた男達も唖然とし固まった。
「……はぁ」
クッデはため息をし、突き出した拳を後ろに戻す。
そして倒れた相手を見、口を開く。
「だから苦手なんだよ……"手加減する"の」
〜to be continued〜
想像より早くできました(*´∀`*)




