第17話 四季 集結
「……着いてしまったか」
クッデは、目の前に建つ建物を見上げながら呟く。
自由な旅人の本部だ。
しかし、先ほどの出来事のせいなのか、元気がない。
鉛のように重い体を、無理やり動かし、建物の中は入って行く。
廊下内ですれ違った人たちに軽く挨拶をしながら、総帥の部屋へと向かう。
それから、クッデは部屋の前に着いた。
扉をノックしてから「失礼します」とだけ言い、部屋の中へ入って行く。
中に入ると、奥の椅子にメインバが座っていた。
そして、手前には四つ椅子が並べられており、既に三人の男が座っていた。
「よぉ、クッデ。もう動いて大丈夫なのか?」
はじめに声をかけて来たのは、一週間前に共に鬼の巣窟と戦ったゾイだった。
「それは本来俺がお前に対して、言うべき台詞なんだがな」
「はは、それは言えてるな」
苦笑いをしながら、言葉を返す。
「ったく、お前ら貧弱過ぎるんだよ」
ゾイの向かい側に座る赤髪の男が笑いながら言う。
「俺らはお前みたいに、無駄に頑丈じゃないんだよ。"リュウセイ"さん」
ムッとした顔でゾイは言い返す。
「違うね、お前らが貧弱なんだよ。なぁ"ブラック"」
リュウセイは、隣で腕組んで座る黒帽子を被った男に対して言う。
「………」
しかし、聞こえてるのか否か、ブラックは目をつぶったまま、何も言わない。
「ちぇ、無視かよ」
リュウセイは小さく舌打ちをする。
が、慣れているのか、激怒したりせずに放っておく事した。
「……後一人か」
「え?これで全員なのでは?」
小さな声でボソッと呟いたメインバに対して、空いている席に座りながら、クッデは質問する。
「残念ながら…後一人招集をかけたんだけどな……」
「後一人とは一t」
「誰だか知らないけどさっさと始めようぜ」
「おい、黙ってろ片目厨二野郎。こっちは質問してるんだよ」
「あぁ?なんや年中マフラー野郎がぁ」
「なっ!?このマフラーは死んだ母さんの形見だぞ!!」
「こっちだって親父の使ってた大切な鉢巻だぞ」
「鉢巻を目に巻くって親子揃って馬鹿なのか?」
「んだとオラァ!!」
リュウセイとゾイは、互いに睨みあい、悪口を言いながら席から立ち上がる。
そして、ゾイの右手には冷気を纏い始め、リュウセイは何やら黒いオーラを纏い始めた。
「あんたら、少しは大人しく待てないのかい」
「「……キャンサーさん」」
声が聞こえ、バッと入り口の扉の方へと目を向けると、いつ部屋に入って着たのか、白衣を着た女性……キャンサーが立っていた。
「いやけどよ、こいつg」
「いいから黙って座ってなさい!!」
「ぐっ……」
両者キャンサーの叱り声を聞き、しょんぼりしながら椅子に座りなおす。
「……どう?」
「駄目ね、彼に送った子が一向に帰ってこないわ」
キャンサーは、頭をかきながら言う。
ついでに、"彼に送った子"と言うのは、彼女がペットとして飼っているコウモリ達のことだ。
広範囲超音波を発して目的の人物を探し出し、手紙などを運ぶことに特化している。
可愛い。
「1匹くらい戻ってこなくて問題ないだろ」
「問題大有りよ!!それにあの子を向かわせたのはあんたら小童共じゃないのよ!」
キャンサーは眉間に皺を寄せながらリュウセイを睨む。
「……仕方がない、彼には合流時に説明しましょう。さて、そろそろ本題に入りましょうかね」
その言葉を聞いてか、リュウセイとゾイはビシっと背筋を伸ばし、ブラックは閉じていた目をゆっくりと開ける。
「(彼って……あの人の事なのかな?……話が終わったら聞いてみるか)」
疑問を抱えながら、クッデも姿勢を整える。
全員が聞く態勢になったのを確認してから、メインバは口を開く。
「今日集まってもらったのは他でもない、君たちに重要な依頼を受けてもらうためだ」
「重要な……依頼?」
「闇組織"溟海の狂鮫"の討伐依頼よ」
「「闇組織!!?」」
ブラックを除いた3人が声を揃えて叫ぶ。
「えぇそうよ」
「闇組織……くく、そう言うのを待ってたんだぜ!!」
リュウセイは、目をキラキラさせながら喜ぶ。
隣に座っているブラックも、小さく微笑む。
「し、しかし、場所はわかるんですか?闇組織の本拠地となると、見つけるのは難しい筈ですが……」
やる気満々の二人とは違い、ゾイは冷静に質問をする。
「何言ってるの、うちには探し物が得意奴がいるでしょ?」
「あ」
ゾイはすぐさま、脳裏にロッドの顔と魔力"調査"と言う言葉が浮かんだ。
「(そう言えば、総帥の依頼であちこち飛び回っていたって、前に言ってたけど……その依頼ってのが溟海の狂鮫の本拠地を見つけることだったのか)」
クッデは、ティナテ護衛任務前のロッドとの会話を思い出し、ここに来て納得した。※5話参照
「……てか、えぇ〜と、溟海の鯖だっけ?」
「狂鮫な」
「そうそれ、そいつらって何者なんだ?」
その言葉を聞いて、全員ガクっとなる。
「この戦闘狂が……」
呆れた目でゾイは、リュウセイを見る。
「ゴホン、じゃあ一から説明しましょうかね」
メインバも、呆れながら言葉を発する。
「溟海の狂鮫。数少ない闇組織の部類に入る集団で、主に麻薬などの密輸を行なっている組織よ。所属者が多くが戦闘兵で構成されており、特に幹部3名は異名は無いものの、危険度Cの犯罪者よ」
「危険度Cかぁ……あまり強くなさそうだな」
リュウセイは露骨にテンションが下がり肩を下げる。
それもそのはずだ、俺たち四季は危険度Bとやりあえる程の実力の持ち主。
一週間前に戦った鬼の巣窟も、後から聞いた話だがクローバーとパオは危険度Bの犯罪者に該当するだとか。
「そのランクはあくまで国が決めたものよ。本来の実力は不明なんだから油断しないことね」
やる気のないリュウセイに向かって、キャンサーが言う。
それに続いて、メインバも説明を続ける。
「その通りよ。それに注意すべきは幹部より組織団長よ。彼は危険度Aに該当する犯罪者だけど、それは老いてるだけ、全盛期はSに該当する程の実力者よ」
「危険度A!?」
「しかも全盛期はSって……」
全員が驚愕した。
ゾイなんて、動きが停止する程だ。
危険度Aでも勝てるかわからないのに、元はS。
一部の傭兵組合総帥でしか倒す事が不可能なほどの強さだ。
四季全員が招集されるのも納得だった。
「はぁ……本当なら彼が居れば安心なんだけどね…」
大きなため息をつきながらメインバは四季達を見る。
「……彼……と先程から言っていますが、一体誰のことなんですか?」
恐る恐る、そぉ〜と手を上げ、クッデが質問する。
「ま、まぁ……何となく想像は出来てるがよ」
リュウセイは冷や汗かきながら言う。
その言葉を聞いてから、少し頷き、質問に答える。
「……多分リュウセイが想像してる人であってるわ。彼とは、我が"自由な旅人最強の男にして"最強格"の一人。"黄泉のヘルザ"……よ」
〜to be continued〜
長らくお待たせしました(−_−;)




