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竜の声  作者: 水仙(スイセン)
鬼列車編
15/43

第14話 紙切れ

(オーガ)巣窟(ネスト)との激突が終わった翌日。

あの後、ニィアとフューチェは、無事にティナテを目的地まで護衛をすることに成功。

また、鬣犬(ハイエナ)を捕獲し、依頼は大成功となった。

ついでに、負傷したクッデとゾイは、ティナテ護送中の別の駅にて、先回りし待機していたギルドメンバーによって、病院まで輸送された。

命に別状はなく、近いうちに退院することが決まった。

それから二日後のことだった。

自由(フリー)旅人(トラベラー)のメインバの部屋に、一人の女が尋ねていた。

白衣を着込んでおり、顔には少しシワが目立つが褐色はいい。

まだまだ元気な証拠だ。

そんな彼女に、メインバは手元にある資料に目をやりながら話す。

「では、今伝えた事の通達。頼んだぞ」

「はいはい、任せな姉さん」

白衣の女は、一枚の紙切れを見ながら答える。

丁度そのタイミングで、扉の向こうからノックが鳴り響く。

「入りな」

メインバは資料から目を離さずに、扉の向こうにあるものに向かって答える。

「失礼します」

ガチャっと、音とともに二人の男女が入ってきた。

フューチェとロッドだった。

メインバは、入ってきたのがフューチェ等と分かると、初めて資料から目を離し、顔を上げる。

そして、チラッと白衣の女に目を向ける。

それを見て、白衣の女は小さくため息をする。

「さてさて、邪魔者なおばさんは退場しましょうかね」

ぶっきらぼうに言うと、紙切れを白衣のポケットにねじ込み、部屋から出て行く。

「……今のは、キャンサーさんですよね?何か重要な話でもされてたんですか?」

ロッドは、白衣の女もといキャンサーの後を見ながらメインバに質問する。

「えぇそうね。まぁ、話というより軽い依頼よ」

「依頼……ですか?」

ロッドは、首を傾げる。

「えぇ、ちょっと。"四季"全員と"最強格"さんに向けて招集するように伝言を頼んだのよ」

「はぁ、四季と最強格に……って全員に招集命令!!?」

目を丸くして驚くロッド。

普段無表情なフューチェも、今の言葉には驚いたのか少し目を見開く。

「な、なんでまた……」

「あら、それは貴方が一番知っているでしょ。この時のために、一ヶ月間も長期依頼を頼んだんだから」

その言葉を聞き、思い出したかのようにはっとする。

「し、しかし、まだ僕は"見つけた"と言う報告だけで、"場所の報告"まではしてませんよ!!」

「えぇ、だから今から見に行くのよ」

メインバは、椅子から立ち上がると、軽い身支度を始める。

「今からですか!!?」

「そうよ、早く行かないと逃げられるでしょ」

「いやそうですけど……」

慌てふためくロッドを余所に、必要最低限なものを詰め込んだ鞄を手に、部屋の扉へと歩いて行く。

「ちょっと待ってください。貴方達だけで会話しないでください。私には話の内容が全くわかないのですが」

フューチェは、眉間にしわを寄せながら二人を見る。

それを見たロッドは冷や汗をかきながら後退りをする。

「はいはい、それは移動中に教えるから」

メインバは彼女の目線も気にせず、二人の腕を掴み部屋を出て行く。

「ちょ、ちょっと!!どこに行くんですか!?」

フューチェは怒鳴りながらメインバに問う。

「何処って?簡単よ、数週間後に私達が激戦を繰り広げる場所よ」

「は?今なんt」

フューチェは言葉の意味が分からずもう一度問おうとした。

が、その言葉が終わる前に、彼女ら三人はその場からスッと消えていった。

その姿を遠くから見ていたギルドメンバー達、口をぽかーんと開けてその場を見つめていた……。


***


〜数時間後〜

日が隠れるほどの森林の中。

切り株の上に、肩に刀をかけながら座る黒帽子を被った男がいた。

彼の表情は、どことかなく辛そうだった。

そんな男に向かって翼の生えた黒い物体が飛んできた。

小さなコウモリだ。

コウモリは口にくわえた、紙切れなようなものを男に差し出す。

帽子を被った男はそれを受け取ると、コウモリはバサバサと音を立てながら飛び去っていった。

「……」

男はたたんである紙切れを広げ、紙に書かれた内容を読み始めた。

そして、読み終えたのか紙切れを綺麗にたたみ、切り株から立ち上がると、静かに歩き出した。


***


〜さらに数時間後〜

廃墟のような建物の中。

瓦礫の上に、壁にもたれかかりながら座る男がいた。

男は赤髪で、右目に包帯なのかよく分からない物を縦に巻きつけていた。

そして赤髪の男の周りには、暗い中、本を広げ静かに読書をする眼鏡をかけた青髪の少年と地面に横たわりながら寝ている、額に巨大な傷跡を片腕の少年がいた。

「リ〜ダ〜、総帥(マスター)からの手紙よ〜」

「手紙だぁ?」

一人の少女が紙切れをひらひらさせながら、壁にもたれ座る男に近づいていく。

少女から紙切れを受け取ると、赤髪の男は雑に広げて内容を読み上げる。

「ふぅ〜ん、一週間後に招集かぁ……」

赤髪の男は、紙切れをぐしゃぐしゃに握りつぶすとそこらにポイっと投げ捨てて、その場で立ち上がる。

「テメェら、さっさと行くぞ!!」

赤髪の男の号令に、青髪の少年は本にしおりを挟み、片腕の少年はあくびをしながら立ち上がる。

その姿を見て、赤髪の男はくるっと回り壁を向く。

そして軽く右拳で殴る。

すると壁は、大きな音を立てながら崩れる。

赤髪の男は無言で崩れてできた穴から外へ出て行く。

それに続いて、周りにいた三人も外へ出て行った。


***


〜数日後〜

とある山岳と中腹。

全身ローブで包み、黒光りな鎌を持つ男がいた。

ローブの男は、雲一つなく綺麗な空を見上げていた。

そんな男の元に、ヘトヘトになりながら飛んできたコウモリが近づいてきた。

ローブの男は、急いで手に持っていた鎌を地面に突き刺し、サッと手のひらを伸ばす。

するとコウモリは、静かに降りていく。

そしてそのまま、コウモリはまるで自分の巣で眠る子供のように、静かに寝始める。

ローブの男は、コウモリを手のひらに乗せながら、もう片方の手で、コウモリが口に咥えていた紙切れを優しく取り、広げ内容を読む。

そして、内容を把握したのか、紙をしまい出し、地面に突き刺さる鎌を手に取り、コウモリを手のひらに乗せたまま、ゆっくりと歩き出す。

そんな彼の周りには、血だらけの無数の人達が、異様に曲がった武器達と共に転がっていた……。


バラバラに散っていた五人の少年達は、ゆっくりだが、確実に一つの場所へ集まろうとしていた。

新たなる敵との戦いに向けて……。


鬼列車編 完


溟海の使者編に続く

はい、これで鬼列車編は終了です

次回から新編突入となります

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