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竜の声  作者: 水仙(スイセン)
鬼列車編
13/43

第12話 竜炎vs聖炎

「メララ……どこ行きやがった?」

焼き野原と化した荒野のど真ん中。

標的を見失い、彼方此方をうろちょろするクローバーの姿があった。

先程まで、追撃炎(プスーフレイム)によって一方的な攻撃を行なっていたのだが、それが仇となり、爆煙があちこちで発生し、その煙を利用し、標的に逃げられてしまったのだ。

「(まぁ、逃げたってことはないし……その辺の岩陰にいるとは思うんだが……)」

クローバーは、岩石の上を飛び移りながらクッデを探す。

そして、次の岩石に移るために、ジャンプしたその時だった。

「おらよっと」

「ぐぼらぁ!!!」

空中に浮かんだ瞬間、何者かが横から蹴りを入れ吹っ飛び、先にあった岩石に激突する。

背中に激痛が走る。

が、ジッとはしていられなかった。

すぐにその場から離れる、と同時に追撃のために先程攻撃してきた者が突っ込んでくる。

突っ込んできたのは……クッデだった。

「テメェ……」

「お前を倒すには、接近戦に持ち込むしか無いからな……不意打ちかますしかなかったんだよ!!」

一気にクローバーとの間合いを詰め、竜化した両腕で連撃を放つ。

それを、後ろに下がりながら、クローバーは避ける。

「チッ、面倒やな……」

隙を見て地面を蹴り、クッデとの間合いを広げる。

右手に魔力を溜めながら。

「喰らえ!!進軍炎(アドバーンスフレイム)!!!」

クローバーの右手から、蒼い巨炎がクッデに向かって放たれる。

「それを待っていた!!」

ニヤリと笑うと同時に、両腕に魔力を溜める。

両腕には、"炎吹"の赤いオーラとは違う……青いオーラが纏っていた。

「竜技"海爪"!!!」

青いオーラを引っ掻くように巨炎に向かって放つ。

そして、衝突した瞬間に、白い霧が大量に発生した。

「これは……水蒸気!!?」

クローバーの視界いっぱい水蒸気が現れ、前の状況が確認できなくなった。

「炎とぶつかって水蒸気が発生するって事は……今の水属性の魔法か?だが、何故彼奴が」

「竜技"風翼"!!」

「なっ!?ガハッ!!」

クッデの攻撃の謎を考えてる中、向かい側から水蒸気を吹き飛ばすほどの強風が此方に向かって来た。

急な事で、クローバーは成すすべなく吹き飛ばされ、また岩石に背中を強打する。

「今度は風だと!?どうなってやがる!!!」

「竜技……」

「ッ!?」

現状に理解出来ないクローバーに対し、クッデは茶色のオーラを両腕に纏いながら接近する。

「"岩牙"!!!」

「おわっと!!」

クッデの両腕による攻撃を間一髪避ける。

標的に避けられた攻撃は、すぐ後ろの岩石へとぶつかる。

そして、一瞬で砕いた。

それを見て、クローバーは唖然としていた。

「な、なんて威力や……いや違う。今の攻撃……少しだが岩を纏っていやがった……テメェ、本当に竜化(ドラゴン)かよ!?」

竜化(ドラゴン)だが?」

「んじゃ何で水やら風を出せるんだよ!!炎だけじゃないのか!!」

怒鳴りながら、疑問を質問するクローバー。

その質問をさせる事を知っていたのか、クッデは笑いながら、即答する。

「いつ?誰が?竜は炎しか吹けない生き物だと勘違いしていた?」

「は?」

「竜たって、海に住むもの、空に住むもの、地中深くに住むもの沢山いるだぜ?それを全て統合した魔法が"竜化(ドラゴン)"……つまり俺はこの世の全ての属性魔法を使えるんだよ!!」

「なっ!!」

想像を超える力を前の存在に気がつき、クローバーは少し震えだす。

「(本当は俺が使えるのは炎、岩、水、風だけなんだけどな……こう言えば、相手がびびって降参してくれらかもしれないし、そういうことにしておこう)」

クッデは、内心悪い顔をして、クローバーの様子を伺う。

少しの間、静寂が続いていたが、ほんの一瞬、クッデが瞬きをした瞬間に目の前にいたクローバーが姿を消した。

「ダァニィ!!どこに行った!?」

急いで周りを見渡す、が、クローバーの姿はなかった。

「テメェの強さはよく分かった」

「!?」

クッデはすぐさま声の聞こえた方へと顔を向ける。

……上空に。

クローバーは、足から炎を噴射し、空中の定位置に留まり続ける。

「だから決めた。俺はお前に手加減なしの全力の攻撃を仕掛ける!!」

右手を上空に伸ばしながら、クッデに向かって叫ぶ。

その掌の上には、小さな炎が浮かんでいた。

「手加減だと?」

「あぁそうさ、俺が本気出すと周りを巻き込むから、仲間から禁止令を出されてたんだがな。此処なら仲間はいない。思う存分本気を出せるんだよ!!」


***


「と、彼言っていますけど?」

「問題しかないわ!!」

激戦が行われている場所から少し離れた場所の岩石近く。

ニィアとライントが静かに睨み合いながら勝負を見守っていたのだが、クローバーの殺気に満ちた叫びから、両者身の危険を感じ始めた。

「彼奴の本気は洒落にならないんだよ!悪いが俺は逃げるからな!!」

捨て台詞だけ言うと、急いで影の中に入り込む。

「"快影"!!」

「あっ!」

ニィアが気が付いた時には時遅く、すでに影の中に逃げ、遠くへと逃げていった。

「この距離で逃げるということは、あの炎の攻撃範囲は相当な広さなのね……」

ライントの事は一度忘れ、ジッとクローバーの炎の方へと顔を向ける。

そして、何かを決意したのか、真っ直ぐと走り出す……。


***


「さぁ、いくぞ」

クローバーは、右手にグッと力を入れる。

すると、小さかった炎は一気に膨れ上がり、直径10m近くの球炎へと姿を変えた。

「な、なんてデカさや!!それにこの熱量!!」

クッデは、両腕で顔を塞ぐ。

「"黒円炎(ブラックサン)"!!これが俺の最大最強の炎や!!回避不可能!!この炎から逃れる術ははないぞ!!」

クローバーは、険しい顔でクッデを睨みつける。

その目からは、殺意しか感じられなかった。

「こいつは……海爪でも風翼でも押し負けるな…仕方がない、正直勝てる自信はないなが、この技にかけるしかない!!」

逃げる事が不可能だと感じとったクッデは、決心し両腕に赤いオーラ……竜の炎を纏い始める。

その姿を見、クローバーは、巨大な球炎と共に右手を振り下ろす。

「この荒野諸共!!消えてなくなれ!!!」

巨大な球炎は、真っ直ぐクッデの方へと落ちていく。

まるで、太陽そのものが落ちてくるような迫力だ。

だが、クッデはその迫力に負けず、最後のかけの大技を放つ。

「"炎竜・灼熱双"!!!」

両者を突き出すと共に、二つの炎の渦が球炎へと向かって放たれる。

まるで、竜が天に昇るような気迫の炎だ。

太陽と竜、二つの炎がぶつかり合う。

その瞬間、周囲の温度が一気に上昇。

地は燃え、炎に近い岩石は溶け始めた。

「「うぉぉぉぉ!!!」」

互いに譲らず、炎の勢いはさらに増していく。

しかし、次第にその差が開き始めてきた。

徐々にクッデの炎が押され始めてきたのだ。

「(ぐぅ!!やっぱり無理か!!)」

力量の差に、諦め掛けるクッデ…その時だった。

「……え?」

急に力がみなぎってきて、押されていたクッデの炎が、勢いを増していき、逆にクローバーの炎を押し返していく。

「何だと!?」

クローバーは勿論、クッデも何故火力が上がってきたのか分からなかった。

しかし、このチャンスを逃すわけにはいかない。

クッデは、最後の力を振り絞る。

「くたばりやがれ!!!」

クッデの炎の渦は最初よりも3倍近くの大きさになりクローバーの巨炎を押し返す。

「くっ!!これが……竜化(ドラゴン)の力だとでも言うのか!!……クッデ!!!」

叫び声と同時に巨炎と共に炎の渦に巻き込まれる。

少したち、クッデの炎は段々小さくなっていき、最後には、クローバー諸共も消えて無くなった。

敵が目の前からいなくなったと、一安心したのか、クッデはその場に倒れこむ。

「(あぁ……力使いすぎた……指一本も動かねえ……)」

その場で倒れ込んでいると、足音が聞こえ始めた。

クッデは無理やり顔を動かし、音の方へと向く。

そこには見慣れた人が立っていた。

「やっほ〜、元気?」

「ニィア……?何でこんな所に……あっ、そういうことか」

「ん?何が?」

「ニィア……さっき俺に魔法かけたろ」

「あ、バレちゃった」

ニコニコしながら答える。

ニィアには、心読(リィード)の他にもう一種類魔法を使うことができる。

その魔法名は、状態(ステータス)

対象人物の力などの身体能力を上げることができる補助魔法。

つまり、先程クッデの攻撃が急に強くなったのは……。

「私がちょこ〜と力を貸したの♪」

「ちょこっとじゃないだろ……こっちは体動かないんだぞ〜」

「それはクッデ君が張り切るからでしょ。ほら、早くみんなのところに帰るわよ」

そう言うと、ニィアは早速"状態(ステータス)"を発動し、片手でクッデを持ち上げる。

「(彼女に肩上がられるって……なんか悲しいなぁ)」

顔を真っ赤にしながら、ニィアと供に、燃え尽きた荒野を後にしていった……。


〜to be continued〜

なんだかんだで、鬼列車編も次回で最後です(*⁰▿⁰*)

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