未来予想図
(ガッ、ガッ・・・、ガッ、ガッ・・・、ガッ・・・・)
上手く出来ないや・・・
ルームミラーで後ろの車を見ると、彼女がケタケタと笑っている。
もう一度
(ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ・・・・・・)
「チッ・・・」やっぱ上手くいかないや・・・
やはり、後ろの車ではケタケタとミラー越しにみてもわかるくらいに、彼女が笑っていた。
R23号の交差点で信号待ちの時だった、時計は0時を少し回った時間、深夜だというのに、国道はトラックが多い
この交差点を境に、彼女は右折、彼は左折する分かれ道だった。
その日、ドライブ中に2人で聞いていた曲を思い出し、彼が取った行動だった。
(ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ)
上手く出来たかな?すかさずルームミラーに目をやると、やはり彼女が笑っている
すると、彼の携帯電話が鳴った。
着信音は、後ろの車の彼女だ。
「ねぇ・・・ クス めっちゃギコチナイんですけどぉー クスクス」
彼女の第一声はそれだ。
「仕方ないやん・・・5回ブレーキ踏むのって、結構大変なんやでー 」
「早く、なかなか踏めへんてぇー・・・」
彼は少し不貞腐れながら言う。
「何か、ただ5回踏んでるみたいだよ?」
電話の向こうでは、まだ笑いが止まらない様子で、話している。
「・・・・・・・?」
「なぁ?もしかして、5回ってさぁ・・・」
彼はふと思う。
「うん??」
彼女が不思議そうに答える。
「あ・い・し・て・る だから5回なんちゃう?」
超難題の謎が解けたかのように、得意げに彼が言う。
「え? 今までわかってなかったん?・・・・・」
驚きと少し呆れたような口調で彼女が言った。
「いや?5回点灯させることが2人で決めた合図だと思ってた・・・」
わかってなかった事を照れるように彼がそう言った。
「じゃぁ、どういう風に踏めば良いかわかったよね?」
彼女はそう言って、テールランプを見つめている。
(ガッ・ガッ・ガッ・ガッ・ガッ)
静かに浮かび上がるテールランプに、ぼんやりと彼女の微笑む顔が見えた。




