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第4話 幸運と不幸のクラスメート

よろしくお願いします。


ノーザンアイギス入学初日。


「ん〜、やっぱり……こうなるよね」


「ふにゅ」


入学式を終えた僕らは、クラス分けの掲示を元に、それぞれの教室に分かれる事になったのだが……。


「ねえ、あれだよね、なんか最強になる〜とか叫んでた人って」


「そうそう、あれあれ。もしかしたら、なんかやばい人かもだし、あまり近づかないほうがいいよ」


うう……視線は痛いし、ひそひそ話は聞こえるし、誰も近づいてくれないし、純粋に辛い。


いつも思うが、どうして人はこう、小さな話し声であっても、自分に対する悪口だけは聞こえてくるのだろう。


「いや、べ、別に後悔してないし、してないけどさ……はぁ……」


実際、このような噂のせいで、人柄を勝手に判断されることは珍しくない。


このままだと、誰も近づいてきてはくれないだろうし、しばらくはぼっち確定かなあ……。


「あはは……なんだか大変みたいだね」


机に突っ伏していた僕が顔をあげると、お気の毒にといった表情のミーナが前に立っていた。


ミーナも制服を着用していて、以前のような色気ある服装でなくなった事に、内心がっかりしたのは秘密だ。


「あれ?ミーナ、何でここに?」


「いや何でって、私も同じクラスだからだよ」


「同じ……クラス…….」


「そ、同じクラス。いや〜、本当に良かったよ、やっぱり友達が1人でもいてくれると、気が楽というか……えっと、ユート? 何で泣いてるの?」


僕は涙ぐみながらも、思いがけない救世主の登場に手を前で組み、祈りのポーズをとる。


「……天使だぁ、ミーナは僕の天使だよ……」


「えっと、喜んでくれるのは嬉しいんだけど、そこまでやられると、さすがにちょっと気持ち悪いかな……」


ミーナは困惑した表情をしているが構わない、僕はもう、軽やかになったこの気持ちを表現せずにはいられないのだ。


「でも、本当に良かった……ミーナがいるだけで、これから3年間楽しくやっていけそうだよ」


そう、僕らが訓練を受ける3年間、1度もクラスの変更はない。

今回僕らの学年には、5クラス存在し、1クラスに対する生徒の数は40人、学年では計200人だ。


ちなみに僕のクラスは1組、別に1だからといって、最も優秀というわけではなく、全クラスのレベルは平均的になっている。


元々、僕も受ける筈だった入学試験の順位によって判断し、生徒を平均的に振り分けているのだろう。


まあ間違いなく、僕は最下位の200位扱いだろうが。


「あはは、もう喜んでくれているならそれでいいよ」


ミーナは苦笑を浮かべながら、呆れ気味にそう言う。

だって仕方がないじゃないか、孤独というのは学園生活において、大きな1つの敵なのだから。


すると突然、女子達を中心にクラス全体がざわめき出し、僕は思わず甲高い歓喜の声に耳を塞ぐ。


とりあえず、彼女らが注目している方向を見てみると、そこに居たのは教室に入って来た金髪の少年、どうやら注目されているのは彼のようだ。


「ん、なんだろう? ……あ、見てユート、あれって今日の入学式で挨拶してた人だよね?」


「……アレン ブルータス」


そう、彼は入学試験で優秀な成績を収め、新入生の首席として代表の挨拶を務めた男。

要するに同学年のトップ、僕とは正反対であり、僕が最初に目指すべき相手。


それに、最下位の僕がこのクラスにいるのだ、レベル合わせで彼がこのクラスなのは当然かもしれない。


「いや〜、凄い人気だね。まあ、成績優秀、容姿端麗ともなると、憧れる女子も多いのかな」


……まあ、確かに顔立ちは整っているし、雰囲気は爽やか。さらには高身長と外見的には完璧、そこは僕も認めざるを得ないだろう。


「ふん、結局ああいう完璧モテ人間は、いけ好かない奴に決まってるよ」


「あれ、ユートはそういう偏見で人を判断するのは嫌いだと思ってたけど」


「うぐっ、それはそうだけどさ……なんというか、褒められることより馬鹿にされることの方が多かったから、つい……」


う〜ん、確かに勝手に劣っていると思われるのは嫌いだ。

だがしかし、優秀な人には劣っていると思いたくないからこそ貶めようとしてしまう。

自己矛盾というかなんというか、難しいものだなあ。


「ふふ、別に気にすることはないんじゃない? 少なくとも私は、ユートにはユートだけのいい所がきっとあると思ってるよ」


「うう、ミーナさぁぁん……」


ああ、彼女はいったいどこまで僕の天使なのだろう。

出来ればもっと早く出会っていたかーー。


「あなた、何ニヤニヤしてるのよ気持ち悪い」


突然蔑むような声が聞こえる、少なくともミーナの声ではないし、きっとミーナはこんな事言わない。

……ったく、せっかく僕が幸せな気持ちに包まれていたというのに、誰だよ水をさすのは。


そうして僕が後ろを振り向くと、そこにいたのは金色の髪をした見覚えのある女の子。

そう、奴だ。あの憎たらしいポンコツ王女だ。


「……お、お前、あの時の」


「はあ、なんて不幸なのかしら、まさかあなたと同じクラスとはね。あの時、名前聞いてなかったから、さっきまで気づかなかったわ」


ポンコツはやれやれといった表情をし、大きくため息をつく。


「ふん、それはこっちの台詞だ。お前みたいなポンコツ王女の顔なんて2度と見たくなかったよ」


「あのね、その呼び方やめてもらえる? 私にはアリアという、ちゃんとした名前があるの。まあ、本当なら名前も呼ばせたくないけど」


ぐっ、こいつは必ず最後に嫌味をつけなければ、普通に喋れないのか?

いい気分だったのが、まるで台無しだ。


「つーか、じゃあ俺に近づかなければいい話だろ、なんでこっちに来るんだよ」


「はあ、私もできればそうしたい所だけど、ちょっと訳があるの、ほら、あれ」


そう言い、アリアは遠くの人だかりを指差す。

そこには4、5人の女子がこちらを見て、和気藹々と盛り上がっていた。


「ねえねえ、見て見て、あれってオーファンの王女様だよね?」


「そうそう、私初めて見たよ! うわ〜、可愛い〜、なんかお人形さんみたい」


「だよね〜、さすが王女様って感じ」


どうやら、彼女らはこいつの話をしているらしい。

まあ、一国の王女様ともなると、あんな風に注目されるものなのだろうか。


「私って一応王女だからさ〜、あんな風に目立っちゃう訳。それに毎回話しかけられても、対応が面倒なのよね」


「ふ〜ん、それで?」


「そしたらあなたが皆から避けられてるっていうじゃない? あ、まあ、あなたみたいな人は嫌われても当然だと思うけど」


「ぐっ……」


否定したいが、避けられてるのは事実なので反論できない。

というか、僕の悪評が順調に広まっていることを再確認してしまい、ちょっと落ち込みそうだ。


「ま、そういう事で、あなたって人除けに使えそうだし、仕方ないからこうして話しかけたの。まあ、仲良くする気はないから黙って側にいるだけでいいわ」


「はあ? 人を馬鹿にするのも大概にしろよ、誰がお前のそんな勝手なワガママに協力なんてしてやるか」


「あなたね、私にしたこと忘れたの? 私は仕方なく、これで償わせてやるといっているのよ」


「あのな、なんども言うが、あれはお前の自業自得だ!」


「まあまあまあ、二人とも一旦落ち着いて」


段々ヒートアップしだした僕らの間に割り込んだミーナが、慌てて止めに入り、僕らを制する。

だがしかし、頭に血が上っている僕らが、ついミーナを鋭く睨みつけてしまったせいか、ミーナはたじたじな様子だ。


「……あなた誰?」


「ええっと、わ、私はミーナ ラーナー、2人と同じ1組で、ユートとは友達……だよ」


「へえ〜、こいつに友達なんていたんだ。ねえ、あなた、悪い事は言わないわ、こいつに近づくのはやめなさい。さもないとーー」


突如、アリアがミーナの背後に回り、後ろからその大きな胸を鷲掴みにする。

一方ミーナも思いがけないアリアの行動に驚き、顔を赤らめながら困惑しているようだ。


「ん……ちょっ、なに、なにしてるの!?」


「揉まれるわよ、この胸」


「え、ユートってそういう……」


ミーナが軽く軽蔑しているような、ジトっとした目で僕を見てくる。

これは不味いぞ、せっかくいい友達が出来たというのに、こんな誤解で無くすわけにはいかない。


「違う違う違う、僕はそんなことしないし、そいつの言っている事は全部デタラメだ! ってか、アリア! お前の勝手な誤解で、これ以上僕の悪評を広めるんじゃ……あれ、アリアさん?」


いつの間にかアリアは両膝を地面につき、両手を虚ろな目で見つめながら、ブツブツと何かを呟いている。


「な、なんなの、この子の胸、感触、ボリューム感、形において欠点がどこにもない……そうか、そうなのね、これが真の格差社会なのね……」


「こいつ、自滅してる……」


「ア、アリアちゃん? べ、別にそんなに気にすることじゃないよ〜。アリアちゃんの方がスマートに見えるし、あっても肩が凝るだけで良いことなんて何もないよ?」


「うぐっ……」


あ、トドメ刺した。


すると、アリアがおもむろに起き上がり、何事もなかったように振る舞おうとする。

だか、顔が引きつっているあたり、まるで隠せていない。


「ふ、ふん、別にどうでもいいし? 私ってこんなこと気にするほど小さな人間じゃないの」


「胸は小さいけどな」


「殺すぞ」


「……は、はい、すみません」


名状しがたい圧に圧倒され、僕の体から思わず冷や汗がでる。


い、今こいつ、完全に人を殺せる目をしてたぞ……。


「まあ、そんなことより、この子って私のことあまり知らないみたいだし、ちょうどいいわ。よし、ミーナ、今日からあなたを私の友達にしてあげる」


アリアはそう言うと、ミーナに向かって右手を差し出す、おそらく握手を求めているのだろう。


というか、こんな上から目線な友達申請初めてみたぞ。

普通の人なら、こんな勝手なお誘いなんて断るのだろうけど……。


「うん、今日からよろしくね、アリアちゃん!」


ミーナは迷いなくアリアの手を握り、2人は固く握手を交わす。

ああ、人が良すぎるよお、ミーナさぁん。


「うんうん、安心してミーナ、これからは私がこのエロ猿からあなたを守ってあげるから」


「おい、だから違うって何度言えば……」


「あははは……、まあまあ皆で仲良くしていこうよ」


もう僕とアリアの言い合いには慣れたのか、それとも諦めたのか、ミーナが呆れたように笑う。


てか僕達3人が、1つのグループのような空気になっているが本当に大丈夫だろうか?

特にあいつ、アリアとは仲良くできる気が全くしていないぞ……。


そして、僕らがこうして話していると、授業開始のチャイムが鳴り響く。

ついに、僕らの学校生活が幕を開けようとしていた。

読んで頂いた方ありがとうございました。


早く、初戦闘まで持っていきたいのですが、中々進ませられず、もう少しだけ待って頂けるとありがたいです。


まだまだ小説を作ることにおいて、未熟な所だらけですが、より読みやすく、楽しいものを作っていけるよう努力してまいります。


よろしければ、アドバイス等も頂けると嬉しいです、お待ちしております。


これからもよろしくお願いします。

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