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異世界のツカノマ  作者: 結字
第1章 退屈な世界におさらばを
4/22

2話 【現実と夢の狭間】






夢を見た。


なんてことない、毎年この時期になると見る夢だ。


内容は単純。


見たこともない景色、見たこともない人達が生活している風景をただ傍観しているだけの夢。


ただ一ついつもと違っていたのは、周りの人物達が俺の存在に気付いていたこと。


俺を見てクスクスと笑う不思議な格好をした少女。

魔法使いの様なローブを着た怪しげな服装の男性。

大きな剣を持った屈強な男が通り過ぎる時、こちらにぶつかったこと。


その反動で転んで、思わず手のひらに傷を作ったこと。

その傷から血が流れ、微かな痛みを感じ——


——ん? あれ? 夢なのになんで痛いんだ?


そして気付く。

風の感覚、地面の感触、人々の呼吸。


——あれ? …これって夢だよな?


しかし誰も答えてくれない。


立ち上がり目の前を見る。

そこには店のガラスに映る自分の姿。


そして気付く。

自分の左眼の色が赤く染まっていることに。


『もうすぐ、〓〓〓に逢える』


いつの間にか背後に誰かが立っていた。

その声に反応して振り返ると、そこには水色の髪の女性が居た。


『〓〓〓は、どんな未来を見せてくれるんだろう』


彼女はこちらに微笑む。

そして徐々に視界は光に包まれていった。



ピピピッピピピッ!!



目が覚めると見慣れた部屋の天井だった。


——ここは…俺の部屋か。


側で鳴り響くやかましい携帯に目を向け、その音を止める。

時刻は…AM7:00。


「なんだったんだ? やっぱり夢だよな?」


そっと左の眼に触れようとする。

そして気付く。


——え?


瞳に触れようとした手にはこちらの世界ではあるはずのない、いや…夢の中の世界で付いた怪我があった。


「わけがわかんねぇぞ」


それに、最後にあの水色の髪の女性が言った言葉がどうにも気になる。


『もうすぐ、〓〓〓に逢える』


誰かに逢えると言っていたようだが…。

もしもそれが俺だとしたら、知らない間に、夢の中で不思議な女性に好意を寄せられるような能力にまで目覚めたらしい。


——うん! そう! 夢って事にしておこう! この怪我だって昨日のフランスパン処理の時に付いたものさ!!


コンコン

ガチャッ!!


「おにぃ〜! そろそろ起きる時間だけど…って起きてるし! 寝坊助のおにぃが起きてるなんて…今日は嵐でも起きるのかな?」


そう言いながら真琴が部屋に入ってきた。

こんな朝から驚いた顔をして兄を罵ってくるとは……兄さん、本当に変なのに目覚めちゃうぞ?


「早起きすると、天候まで変えてしまう能力にまで俺は目覚めたらしいな!」


「目覚めるのは、おはようのお目覚めだけで充分でしょ! …そろそろ病院にでも連れて行った方がいいのかな…。」


やれやれといった素振りをしながら、相変わらずジト目をする真琴。

後半の部分に関しては、呟く程度の声で言っていたのだが…俺の地獄耳をなめてもらっては困る!

しかし…いい加減、真面目な所をみせないと本気で俺を病院に連れて行きそうだ。

頭を診てもらおうと…。


「うん…まだ大丈夫よね。 早くしないと朝ごはん冷めちゃうよ! 先にリビング行ってるね!」


そう言い残し、部屋から出て行く真琴。

ブツブツと俺の心配をしていた様だが、まだ大丈夫と判断されたらしい。 よかった!


ベッドから起き上がった俺は、軽く伸びをしながら窓に掛かるカーテンをガバッと開ける。


——今日も素敵な晴天…雨かょー。


窓の外ではポツポツと雨が降ってきているようだ。

遠くからパトカーのサイレンも聞こえる。

なんだか…気分が落ちる朝だった。


「まぁ…いつまでも気にしてたってしょうがない! 今日も1日、頑張りましょうかね!」


制服に袖を通し、身仕度を整えていると、ふと、鏡に映る自分の左眼がほんの僅かだが赤く煌めいることに気付く。



——ほんと…なんだってんだよ。







今回は少し文書が短めになっています。


真夜が夢で見た光景。

その世界との繋がりが少しずつ近付いていってる感じです!


しかしまだ異世界にはいきません!笑

もうしばらくお待ちください!


さてさて!

次回も現代での物語ですがお楽しみ!


#2017/05/29 台詞の追加 文字の改行

銀髪の少女➡︎水色の髪の女性に変更

『君は〜』➡︎『〓〓〓は〜』に変更しました。



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