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異世界のツカノマ  作者: 結字
第2章 異世界転移はじめました
20/22

1話 【ファジタリア】



ここから真夜達の異世界での物語が開幕します!

という訳で、第2章 【異世界転生はじめました】の幕開けです!








毎日の如く日は沈み、そしてまた登る。

当たり前の様な日常のサイクル。

そんな毎日がいつまでも変わらないと思っていた。


しかし、変化は突然起きる。


「ただいまー!」


いつもの帰宅時間。

いつもの帰宅風景。


ここは塚野家の玄関。


普段から最愛の妹には心配をかけないようにと、真夜は決まった時間に帰宅するように心掛けている。


まれにガラの悪い不良やエセ関西弁の悪友などに絡まれて帰宅時間が遅くなる時もある。

しかし、そんな時でも必ず自慢の妹は玄関でお出迎えをしてくれるのだ。


もちろん、帰りが遅くなって心配をかけた時は玄関に頬を膨らませて見るからに怒っていますと主張しながら仁王立ちしている可愛い妹が見れるのも真夜には楽しみの一つだった。


だが今日は違った。

そんな最高に可愛い妹の姿は見えず、ましてや台所から夕飯の支度をしているような音も匂いもしてこないのだ。


しかし、リビングからはテレビの音が聞こえている。

玄関にも、妹が既に帰宅していると証明出来る靴が綺麗に揃えてあった。


「…真琴ー?」


「…………」


何か違和感を感じる。


「真琴さーん?」


蚊の鳴くような声で妹の名を呼ぶ兄の姿。


「………」


しかし返事は返ってこない。


もしかしたら寝ているのかもしれない。

学校に通いながら、毎日家の事までしてくれているのだ。

疲れて寝ているのだって納得出来る。


きっと側から見たら、妹ばかりに頼って情けない兄だと思われるだろう。


しかし、シスコンを拗らせた彼、塚野 真夜が手伝いをしなかった訳がない。

兄としては大切な妹に負担をかけまいと何度も家事を手伝おうと協力した。


しかし、その度に…


「おにぃ…。 知ってる? 人には【向き不向き】っていうものがあるんだって。 私の言いたい事…解るよね?」


…と物凄い笑顔で怒られてしまったのは未だ鮮明に覚えている。


つまり、やる前から戦力外通達された訳であって、真夜は手伝わない事こそ最高のお手伝いだと学んだのだ。


——だからって…やっぱり疲れてるよな。


寝ている真琴を起こさないようにと、真夜は静かに玄関を後にして自室に向かおうと忍び足でリビングの前を横切っていた。


しかし、やはり何か違和感を感じる。

不安になった真夜は、半開きになっていたリビングの扉を静かに開け、真琴の姿を探す。


テレビはやはり付けっ放しになっている。

丁度、画面には『爆砕戦隊ブッ飛バスンジャー』がイカの様な姿をした怪人目掛けて、全員でドロップキックをかましているところだった。


しかし今はそんなテレビを見てる場合ではないのだ。

妹の姿が見当たらない。


——もしかして…部屋か?


真琴の部屋に向かおうと歩みを進めた、丁度その時だった。


背後に何かの気配を感じる。


——まさか…お化けなんて事…ないよ…な。


ゴクリと喉を鳴らす真夜。

額からは冷や汗が流れ落ちていく。


——もしもの時は…Innocent(イノセント)で。


覚悟を決め振り向いたその時、真夜の眼にしたものは…。



そこで眼が覚めた。

そして次に目の前の状況に思考が停止する。


「……」


「……」


目の前の状況を簡潔に説明してみる。

白髪混じりのダンディーな髭を生やしたおじ様が、鼻息を荒くしながらこちらを見つめて添い寝している。


「……」


「……うふっ」


あ。 笑った。

しかも、うふって。


——ははは…これは夢だ。


そう思って頬をつねってみる。


「…いふぁい(痛い)」


痛いということは、これは夢ではないようだ。


「…えーっと」


「おはようございます」


「…おはようございます?」


眼が覚めたばかりの様子など嘘だったかのように、ダンディーなおじ様は寝起きの真夜に渋い声で挨拶をした。

そして彼は起き上がり何事も無かったかのように部屋から立ち去っていく。


「……へ?」


無駄に広い部屋に取り残された真夜には、未だにこの状況が掴めずにいた。



そもそもどうして真夜がこの状況になったかというのは、遡ること数時間前…。


突如現れたファリスと名乗る少女によって、急遽異世界に飛ばされることになった真夜、真琴、司の三名。

説明など一切無しの問答無用の転移魔法によって、真夜達の住む現代から【ファジタリア】という異世界に飛ばされたところからこの物語は始まる。


「ふざけんなぁぁぁぁぁあああ!!! ………あれ?」


「…なんや?」


「ここって…」


真夜、司、真琴の三名は先程まで見なれていた学校のグラウンドの風景から一転して、松明の火が灯る薄暗い部屋の一室に立っていた。


「…まさか、こんな一瞬で異世界に来ましたよ!とか言わないよな?」


「そのまさかです」


真琴の隣で凛とした表情で立っているファリスは、そんな真夜の問いかけに笑顔で返した。


「ようこそ、異世界へ! ようこそ…ファジタリアへ!!」


「『……』」


一同、沈黙。


「…あれ? あの…皆さん? 何か返事を……」


「……けんな」


「…え?」


「ふざけんなぁぁぁぁぁあああ!!!」


本日二度目の真夜の叫び声が、薄暗い部屋中に響き渡る。

それを合図に、現代の若者達の抗議が始まった。


「何が『ようこそ、異世界へ!』ドャ!やねん!! ワイらなんの心の準備もしとらんのに、いきなりこんな展開とか笑えんわ!」


「そもそも俺らなんの了承もしてないよ! 新手の誘拐ですか!! お巡りさーん! ここに可愛らしい顔をした誘拐犯が居ますよー!!」


真夜と司の少し論点のズレた抗議に、あわあわと焦りながら後退りするファリス。


「あれ? 僕はてっきり良いのかと…」


「『良いわけあるかぃ!』」


そんな絶妙な二人の突っ込みに、身体をビクリと震わせるファリス。

そんな彼女の側に、先程から黙っていた真琴が歩み寄った。


「…マコトさん」


今にも泣き出しそうなファリスは、助けを求めるかのように潤んだ瞳で真琴を見た。


「…ファリスちゃん」


真琴はファリスの両肩を掴みニッコリと笑ってみせた。

そして…。


「私、着替えも何も持って来てないんだよ? 女の子は色々大変なんだから困るよー!」


「『そこかよっ!!』」


またしても真夜と司の絶妙な突っ込みが炸裂する。

そんな二人に真琴は頬を膨らませて睨み付けた。


「もー! おにぃもつーくんもファリスちゃんを責めすぎ! 来ちゃったものはしょうがないんだから、今の状況で出来ることを考えないと!」


真琴の言う通り、現状ではどうしようもない。

そもそも戻った所で、元の世界にPhantomの大群が居るのは目に見えている。

いくら真夜と司といえど、あの大群を相手になど出来る自信もない。


「…あのぉー?」


そんな中、先程まで怯えていたファリスがおずおずと手を上げて何かを言いたげにしている。


「ん? どうし…た……」


暗くて解りづらかったが、目が慣れて来ていたらしい。

ファリスの方を見ると、その後ろには大勢の白銀の甲冑を着けた大きな兵士達が居た。


そしてその中に、白いドレスに身を包んだ可憐な少女が一人。

肌は透き通る様に白く、髪は晴れた空の様に綺麗な水色、そしてなにより真夜が目を引かれたのは彼女の瞳。

瞳の奥に、魔法陣の様な物が…。


もっと近くで見たいと、いつの間にか真夜の足は彼女の方へと向かっていた。


「ちょっと! おにぃ!」


真琴の呼びかけなど聞きもせず、何かに取り憑かれたかの様に真夜は彼女の方へ歩みを進めた。


そんな真夜を見つめる少女は、柔らかい微笑みを浮かべ、そして…。



その笑顔を最後に、真夜の視界には執事服の大男が映り、そして気付いた時には真夜の意識は途切れていた。








第2章まで無事に辿り着けました。

イセノマを読んでくださってる方々には心から感謝をしています。


更新する度に誰にも読んでもらえなかったらどうしよう!などと考えたりしますが、ここまで持続して書けたのは読んでくださってる皆さんのおかげだと思ってます。


これからも更新頻度はまちまちですが頑張って行くので、真夜君共々、楓希をよろしくお願いします!



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