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異世界のツカノマ  作者: 結字
第1章 退屈な世界におさらばを
13/22

11話 【それぞれの想い】






物語は真琴が拐われる数時間前まで遡る。




突如襲った謎の生物によって、沢山の命が失われた電車がそこには停まっていた。


いや……奪われたとういべきなのだろうか。



車内は不気味な程の静けさに包まれている。


その中に映る二つの影。


青年と少女の姿。

互いに武器を向け合って睨み合う。


青年の方は鉄パイプを構え、対して少女の方は両手に銃を構えている。



ふいに青年が呟く。



「……お前、ほんま狂っとるわ。」



「あはははは♪ もういいや。 ……君も壊れちゃえ♪」



少女はゆるりと青年に向けて銃の引き金を引いた。



ズバァァン!!



しかしその弾は彼——橘 司の頬を掠めただけだった。



「……なんのつもりや。」



「気が変わったのぉ〜♪ それに……キミもこの物語の歯車みたいだしね〜♪」



少女はその場でくるりと一回転してみせる。



「歯車? なんのことや!」



「それはキミ自身の眼で見なよぉ〜♪ さぁ〜て、そろそろ私はキミのお友達を迎えに行かなきゃ♪」



そう言って彼女は両手に持った銃をホルスターにしまい、代わりにポケットからコインを取り出した。



「ちょっと待てぃ。まだワイとの戦いは終わっとらん! シンの所には行かせんで!」



「あはははは♪ キミも頑張るねぇ〜♪ ならこの続きは今夜10時にキミ達の通う学校でつけましょうかぁ〜♪」



「学校? ちょい待て! まだ話は終わっとらん!!」



しかし司の話を聞く前に、少女は手に持ったコインを親指で弾く。


コインが床に触れた直後、その上には空間の亀裂が生まれ、そこに別の空間とをつなぐゲートが開いた。



「それまで……お預け♪」



その言葉を残し彼女はゲートに飲まれていった。

車内には取り残された司の姿のみ。



「……くそっ! 完全になめられとるわ!」



手に持っていた鉄パイプを投げ捨て舌打ちをする。



——ワイの力じゃ……あれが限界言うんか。



先程までの戦闘。

司は一方的に遊ばれていた。

いくら全力の一撃を彼女に見舞ったところで片手であしらわれるのがオチだった。



——ヤツは時間稼ぎなんて出来るレベルちゃうで。



もしも彼女の銃が本気で司の頭を狙っていたとしたら……間違いなく死んでいた。



「橘流が聞いて呆れるわ。」



遠くでサイレンの音が聞こえる。

いつまでもここに留まるのは上策ではないだろう。

司は真夜達を逃した時に開けっ放しになっていた扉をくぐる。


真夜達の様子も気になるが、きっと彼等なら大丈夫だろう。



——シン、頼んだで!



今度こそ彼女を仕留めなければ。

その為の力が今は一刻も早く必要だ。


押入れの奥に入れたまま眠っている橘の家宝。

愛刀を取りに行くべく、司は家に戻ろうと歩みを急がせた。





約束の時間まで残り6時間。

時間は刻一刻と迫っているのであった。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜









ヴァルヘイン領 宮殿



真夜達が住む世界とは異なる別の世界。

異世界というべきか。


その王室の広間。

そこに一人の女性が立っていた。


ただジッと窓の外、空に浮かぶ月を眺めている。


突如、広間の扉が開かれ、そこには大柄な形の男が現れた。



「お姫様ぁ〜! クレア姫はどこよぉ〜!」



「騒々しいですよ。 私はここです。 それで……ランドール、どうしたのですか?」



どうやら女性の方はクレア姫。

この城のお姫様のようだ。


対して大柄な男の方はランドールという姫の執事らしい。

だが……明らかにこの執事はおかしい。



「あらん! そこに居たのね〜! 困ったことになったのよぉ〜! そ・れ・と、アタシの名前はランと呼んでくれなきゃ嫌だわぁ〜!!」



「……ランドール。いいから用件を言いなさい。」



「んもう! クレア様ったらつれないわねぇ〜! ランちゃんプンプンよ!」



「……はぁ〜。 ラン……私は今、何度も失敗した転移魔法陣の解決策を考えてるの! なにもないなら邪魔をしないで!」



先程までの大人びた喋り方とは違い、どこか子供っぽさの残る喋り方でランドールと呼ばれた男を怒るクレア姫。



「いやん! クレア様ったら怒ったお顔も か・わ・い・い☆ 」



「ラン……あなたねぇ〜!!」



おちゃらけたランドールにとうとう堪忍袋の尾が切れたのか、涙目になってワナワナと震えだす。



「そうそう! アタシったら急いでた事を忘れてたわぁ〜! その転移魔法が突然光出したのよぉ〜! 魔導騎士総動員で大慌て! どうにかしてちょ〜だい!」



「それって……!! 急いで行きます! ランドールは杖の準備を!」



「かしこまりました。 クレア・ヴァルへイン様。」



ランドールは先程までのオカマ口調を正し、背筋を伸ばして執事らしい風貌を取り直す。



「……貴方って、どうして男性が来るとまともになるのかしら。」



大広間を出て行くレイアがぼそりと呟いた。



「何かおっしゃられましたか?」



「いいえ! さぁ……急ぐわよ!」



二人は明るい大広間を出て、魔法陣のある薄暗い地下室に向かった。


心なしかクレア姫の顔が綻んでいる。

そして再度、ぼそりと呟いた。



「……真夜様。」







真夜、司、真琴。

それぞれの思いが交錯する中、異世界への扉は口を開け待ち構える。


彼等の運命を変える戦いが、もう間もなく迫っているとも知らずに。





さてさて!

とうとう11話です。

あと数話で第1章も完結します!


ここまでなかなか長かった気がします。

でもこうやって少しでも色んな方が見てくださってるのがとても嬉しく思います。


今回新たに新キャラ二人が出ました。


異世界の姫 クレア

その執事 ランドール


ヒロイン候補がやっと出せました!笑

濃いキャラクターがこれから色々出せたら良いなと思います。



真夜と司。

二人は無事に真琴を救い出せるのか!

そしてクレア姫の言っていた転移魔法とは!


次回もお楽しみ!

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