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第18話 戦斧を振りかざして

結構下ネタを突っ込んでしまいました。

 「ダゼっ子ロリ?何だそれは、そっちの世界の魔物の区分か何かか?」


「いやまあ、魔物っちゃ魔物だけどよ。」


 つまるところロリロリhshs!といった具合だ。尚、この特殊性癖は兄のみに備わっており、弟の方は至ってノーマルである。


「ハァハァ…頑張って兄さん…ふぅ……」


 何度も言うが、至ってノーマルである。

 そして何より今すべき事は弟の性癖についての考察ではない。


「テメーには細切れになってもらうぜ!」


 不規則な動きの巨大な戦斧は俺の四肢を切断せんとばかりに疾風怒涛の勢いで襲いかかる。俺は為す術なく回避行動に専念するが、どうにもこの連擊、攻撃の隙といったやつがどこにも見当たらない。それに例え隙があったとしても、完全に先が読めない為あっという間に次の一撃を食らわされてしまう。

 そして、何よりも。


「オラオラァ!とっととクソ撒き散らしながらくたばれってんだ!この×××がよォーッ!」


 言ってる事は思わず伏字になってしまうような内容なのに、それを言っているのがこれまたとんでもなく小さくて可愛い桃色ボブカットロリィ!だから、戦闘中にもついつい萌えてしまったりする事もなきにしもあらずという訳でして。攻撃しようにもできない訳でして。


「っ、センヤ!何でも良いから剣を抜いて耐えろ!私はイチヤを回復させる!」


「んなこと言われたって、俺一度も剣なんて振ったことないんだって!」


 本当役に立たねぇな俺!自分が言ってる事に段々ムカついてきたよ。腹が立ったもんでとりあえず剣を抜いてみようとしたけど抜ききる前にベルトから鞘ごと叩き落されるし、こんなんだったら小二でやめた空手を続けてれば良かったぜ。

 仕方なく俺はふらつきながら慣れないバックステップで距離をとると、空を仰ぐようにして片手で片目を覆う。今回は両足をクロスするようにして立つ、俺が三ヶ月前に鏡の前でかんがえたさいきょうにかっこいいポーズのオプション付きだ。


「さあ、登場してもらおうか、我が従順なる黒の僕よ!今をもってしてその神をも恐れぬ剛強無双の力を俺に見せつけてみろ!」


 決まった……そんな何とも言えないようなこの満たされた感情に呼応するかのように俺の役職効果である俺の影はヌメリとその姿を地面から浮かび上がらせた。なんかこう、気持ちよくない?こういうセリフ言った後ってさ。

 実際イチヤはあと三年で中学二年生に相当するんだから、許されるんじゃない?

 などといった俺の体たらく過ぎる思考は容赦ない戦斧の洗礼によって打ち切られる。


「さっきから馬鹿みたいに突っ立ってんじゃねーよっ!テメーはうんこかよ!」


 そこって、うんこ選ぶかな。


「ふふ、幼女は本来愛でるものであって、決して対立すべき存在ではない。なぁんて、一体何回お兄さんに言わせるつもりなのかなァ!?」


「今のそれで一回目だよ、クソ×××!」


「だからそのワードはNGなんだって!……もうちょっと可愛く言ったり出来ない?」


「……おち◯ちん?」


「はうあっ!」


「兄さああああああああん!!」


 危ない危ない。思わず俺の特殊性癖が生涯を通じた不動にして永遠のものとなってしまうところだった。俺がいつの日か赤のランドセルおじさんとなってしまった暁には、流石の弟も俺を見放してしまうだろう。こんなお兄ちゃんじゃいけないな。


「僕、兄さんがそうなっても別に気にしないからね!大丈夫だよ!」


 流石は俺の弟だ。多分今のは、兄貴の浮かべた苦悶の表情から兄貴の心情を素早く読み取るという高度なブラコンテクニックだろう。気持ちはわからんでもなくなくないから、とりあえずそこまで体を張って兄貴の独り言に返事せんでよい。


「ごめんね、兄さん!」


「ああ。分かってくれるならそれでいいさ。」


「君達の会話が度々飛ぶのは気のせいか?」


 エリスが首をかしげる。まあそうだろう。これで俺の心を読んでエリスが参加してきた時にはもう俺はプライバシーもへったくれもない。


「ッ、戦っている最中によそ見なんてすんじゃあねー……」


 幼女が距離を一気に詰めてくる。確か彼女の役職効果は「傷付くことでパワーアップする」だったはずだ。考えられる対処方法は二つ。相手に反撃する時間も与えずに一気に押し込むか。


 「或いは、無傷のままその行動を封じるか。」


 斧を振りかざす幼女の後ろに、俺の影が回り込む。向こうもまさか、影が動き出すなんて思ってもいなかったのだろう。蠢く影を見た瞬間、その流れるような動作に僅かなディレイが生じる。


 「えっ?」


「今だ!『闇騎士(ダークナイト)』!」


 今更ながら、俺の影は結構、いやかなりの機動力があることも判明した。影はぬらりとその背を正すと、倒れこむように走り出して幼女の足元へ飛び込む。

 そう、俺の影は所詮影であって、また同時に彼女の足元の暗闇も影な訳で。


「わっ!兄さんの影、瞬間移動した!?」


「いや、あれは瞬間移動ではない。」


「影を影の中へ飛び込ませ、「影の中を伝わせて」敵の背後に回ったのさ。決まれば必中だが、俺の役職もまともに知らないような奴に一度しか使うことは出来ないってのが欠点さ。名付けて……」


「やめて兄さん!その台詞じゃ兄さんが素で痛い人になっちゃうよ!」


「イチヤェ……」


 いつもは従順なのに時々こうやって悪気なく辛辣な突っ込みをしてくるから、全くこのイチヤは油断できないぜ。


「ちょっ!何だこりゃ!離せ!オイ!」


「まあセンヤにしてはお手柄の範疇だろう。詠唱、『束縛せし閃きの矢』。」


 こちらの賢者様エリスは安定したイジリを挟みつつ、相変わらずの手際のよさで幼女の身動きを簡単な麻痺魔法と思われるもので封じた。


「くっ、ああっ!」


「ふん。どうやら斧を振り回すのは得意だが、魔法に関してはからきしのようだな。」


「て、テメー……」


「しかしそれでもやはり君の攻撃と能力は結構強力でね。少し動きを封じさせてもらったよ、『狂戦士バーサーカー』の少女。」


 エリスの口から『狂戦士バーサーカー』の単語が出た途端、彼女は一瞬図星を突かれたかのように目を見張った。それにしてもエリスの能力は一体どんなものなのだろうか。恐らく俺達や彼女の役職を見抜くあれが能力の一部なのだろうが、詠唱といったか、あれほど魔法のようなものを多用しているのならあれもまた魔法の一つでもある可能性が高くなってくる。今度聞いてみることにしよう。


「さ。じゃあ改めて、腰を据えてじっくり話し合うとしようか。」


 それにしても。


「ここからは、私達の番だね。」


 こんなに好奇心で瞳を不気味に輝かせているエリスは初めてだ。

 果たしてこのまま彼女は、好奇心と私利私慾が動力源の怪しい賢者様の枠におさまってしまうのだろうか。その外見にあったツンだのデレだのを少しは見せて欲しいものだと思ったりする、そんな旅の一日目。

 それもかなり終わりに近づいた、夕暮れ時のことであった。

倦怠感がやばいです。

とりあえず質の悪さを文字数でカバーしました。ごめんなさい。

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