第12話 闇騎士、発動!
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「ぐはぁっ!」
俺はサイコ野郎に「近づく間もなく」吹っ飛び壁に激突した。
あまりの衝撃でぶつかった壁にもヒビが入っている。
サイコの方も流石に驚いたらしく、呆然と「それ」を見ていた。
俺がついさっきまで居たところにニョキッと生えた、一本の真っ黒な腕を。
それはまさに真っ黒、指先から肘に至るまでカラスの濡れ羽色といった様子である。
ぬるぬると蠢きながら、それはゆっくりとその全貌を地面から現していった。
「……これが貴方の役職効果ですか?」
「え、そうなの?」
思わず聞き返してしまう。
これは俺の役職によるものか。そうなのか。言われてみれば確かにさっき目覚めよとか呟いてみたが。
この気色悪いのが俺の役職!?
『闇騎士』の名前と全然結びつかないよ!?
ふと横を見ると、例の美少女が顔を引き攣らせて引き気味な体勢をとっていた。
「それが、貴方の……」
「そんな残念そうに言わないでくれよ!俺だって好きでこいつを出してる訳じゃないんだよ!」
慌てて誤解を解くように弁明しつつ、俺は『闇騎士』をじっくり観察した。
まず、それの全貌は既に地面から這い出していた。
いや、這い出したのではない。
それは「張り付いていたモノが剥がれるようにして」その姿を現していた。
そしてそれはまるで……
「……俺じゃねーかっ!?」
そう、俺であった。いや、俺ではない。
正確に言うなら、俺の「影」である。
全身を漆黒に塗り固めた俺の影が平面世界を越えて、どうやら具現化を果たしたようだ。
「そうか、闇を操るというのは即ち光の対局、物質の影を操る事に通ずる訳か。」
「何の話?」
「いや、気にするな。」
問題は、この俺の影に一体どれ程の戦闘力があるのかという事だ。
「……はは。いくら手数を増やしたとしても、俺に勝てるなんて慢心は辞めた方がいいですよ。」
サイコが挑発をしつつ、手に持つ剣をゆっくりと動かしていく。おそらく何らかのスキルの発動モーションなのだろう。
これを機会に、俺は俺の影の戦闘力をテストしてみる事にした。
「俺の影よ、俺達の前に立って俺達を守れ!」
まずは、命令コマンドを理解してくれるのか。
まあ俺の能力なんだし、流石に命令通りには動くだろう。
しかし影は、一瞬こちらを向いたかと思うと、すぐにサイコの方へ向き直り、ゆっくりと前進を始めた。
「ははは!自分の力すら制御出来ないなんて、とんだカスじゃないですか!」
「もう貴方はもういいわ!早く奴から離れて!」
「……まだだ。」
「……何だって?」
影は、明らかにサイコを目的として前進している。
俺の制御下に置かれていなかったとしても、サイコの奴を何とかしてくれるかもしれない。
「まさか、その暴走する役職効果に賭けようという訳ですか?ふふ、ならばその一縷の希望、今すぐにでも潰してみせましょう!」
サイコから今までとは格段に違う殺気が溢れ出す。そして静かに剣を動かし始めた。
「剣スキル…『アーテリー・ビート』!」
奴の発動した剣撃系統のスキルは、宙に深紅の弧を描きながら影を目掛けて刃先を向けた。
その時間、僅か数秒。
影から鮮血が迸ったのかと疑う程の動きでサイコは影に深紅に輝く斬撃を命中させた。
が。
「ッ、動かないだと……!?」
見れば、奴の剣は影に届くまであと数ミリという所で綺麗に静止していた。
影は何かを剣に施した様子はない。
その様はまさに、剣が空間に固定されていると表現しても疑わない様である。
「何が起きたんだ?」
すると、俺は影の「足元」に注目した時にそのトリックの正体を理解した。
「貴方、何を奴にしたの?」
「……成程、そういう事か!!」
「は?」
「いいか、俺の役職は闇を操る事が出来る。」
そう、闇が俺の下僕なら。
「だから今自分の影が操れている訳だから、あの剣も同じように操れたんだ。」
影は闇であり、万物にはその闇がある。
「そう、剣の影を利用したのさ!」
所謂「影踏み」という奴だ。
闇を操れる俺の分身である俺の影は、サイコの剣が地面に投影する影をその足で踏み、影の位置を固定した。
すると、役職の力で影の主である剣をもその虚空に固定したのである。
つまり俺の役職は、影を持つ万物に干渉する事が可能な役職という訳だ。
最強やん!!
「くッ、小癪なッ!」
サイコ野郎は必死に剣を動かそうとしているが、俺の役職の不動にも等しい干渉力の前には成す術も無いようだ。
要するに次は、俺のターン!って奴か?
ずっと俺のター(ry




