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第11話 ハッタリと覚悟

 「……貴方も『役職ロール持ち』か。」


 こいつ、何故分かった?そして「貴方も」って事は……。

 俺は空から降ってきた、いや、この赤い騎士から屋根を伝って逃げてきて足を崩して俺の所に落ちてきたであろう銀髪の美少女の方を振り返る。


 「お前も役職ロールを持ってんのか……?」


「もし持ってなかったらどんなに楽だったんでしょうね。」


 美少女は騎士を見据え、こちらを振り向かずに一喝する。

 この美少女は自分の役職のせいで結構な苦労をしてきたようだ。

 

 「貴方も持っているんでしょ?だったら早く逃げるか戦うかしないと、貴方もこの異常者に狙われるわよ。」


「はは、異常者とは言ってくれるじゃないですか。俺はただ、俺が自分に課した使命を達するのみです。」


「使命?」


「そう……『役職持ち』を一人残らずこの世から消し去る。という生涯の使命ですよ。」


 言ってる事が黒い割にはやけに口調がハキハキしている。

 どうやらこの騎士は言われた通り結構ぶっ飛んでるみたいだ。

 こういう輩は死を恐れず突っ込んで来るから実は一番怖いのである。


 「貴方も彼女も、例えまだ『役職持ち』のタマゴだったとしても、まだこの醜く汚れきった世界の惨状を知らないと言えども、所詮は人類の害悪である『役職持ち』には変わりないんです。」


 口調は上ずっている様だが、深紅の騎士の鎧兜が邪魔して気持ちを読み取れない。

 やっぱりこいつはサイコキラーだ。昔見たサイコパス映画にも似たような、素顔の分からない狂気の殺人者がいた。

 正直、気持ち悪くて吐き気がしそうである。


 「ですから、まだ幼い芽のうちからこうして摘み取ろうという訳なんです。大人しくしていれば……」


 そこで奴は腰の鞘からゆっくりとその剣を抜いた。

 剣は鈍く妖しい輝きを放ち、下手すれば切っ先に触れただけでもスパッといってしまいそうだ。

 こんなのと戦ったら、初期ステータスの俺は確実に死ぬ。

 せっかく憧れの異世界転移をしたのに、最初の戦闘イベントで死ぬなんてお断りだぜ。


 「おっと、そんな事しちゃっていいのかな?」


「……何ですと?」


「俺がどうして、役職持ちの中でもタマゴの部類に入ると断言できる?」


 この際だ。下手でもいいからハッタリを効かせて隙を作って逃げる!。

 すると、サイコな騎士はその腰の袋から何やらぼんやりと蒼色に輝くひし形の水晶を取り出した。

 手のひらぴったりのお手頃サイズである。


 「これは、アドルの神結晶という代物です。」


「アドルの……神結晶?」


すると、美少女の体がビクッと反応した。

心当たりでもあるのだろうか。


 「この結晶を使うと目の前の相手が役職持ちか否か、そしてどれ程の能力を引き出しているかが一目で分かるのですよ。」


 アドルのなんちゃらがある限り、ハッタリは効かないようだ。

 現に例の神結晶は、俺に対して消えかかりそうな程の淡い光を放っている。

 成程そりゃ分かるわ。でももう少し明るくてもいいんじゃないか?。


 「ほう、では見せてやろうではないか!」


「何をです?貴方には勝つ術はありませんよ?」


 当然とばかりに言い放つサイコ野郎に俺は、ニヤリと不敵に笑ってみせる。


 「はは、無いなら作るまでだぜ。」


 美少女が驚いたように振り向く。


 「まさか貴方…?」


 そう、ご察しの通り。

 俺は、今まで一度も使っていない『闇騎士(ダークナイト)』の役職を今から使う事にする。

 成功するかは分からないが、しないよりは良いだろう。


 「俺の『闇騎士(ダークナイト)』は俺自身も知らない未知の役職。逃げるなら今のうちだぜ?」


 しかしサイコ野郎は逃げる気配を見せない。

 むしろ剣を握る手に力がこもっている気がする。


 「ふふ。ハッタリは沢山ですよ。どちらにしても将来的には貴方を殺す事になるでしょうし、俺の決断は変わりませんよ。」


 サイコ野郎の剣に赤い光が灯る。


 「俺の相棒、血盟剣ブラッデオに刻まれた約束に伴って貴方の首を飛ばす事をここに宣言しよう!」


 咄嗟に美少女の左手が動く。

 その手に握られているのは銀色の大槌だ。


 「貴方では奴は倒せない。私がここで時間を稼ぐから貴方は応援を……」


 俺はそっと彼女の左手に手を添え、銀の大槌を下げさせた。


 「!?」


「俺は生憎、パーティメンバーが全員倒れても、ポーションが尽きても諦めずにしつこく戦い続ける主義でよぉ」


「は…?」


「それに、こういう展開には自信がある。今にあのサイコを片手で捻り潰してやるさ。」


「意味が分からないけど、何だか説得力のある言葉ね……」


 ああ。俺にも意味が分からん。適当にかっこいい言葉を繋いだだけ。

 そして言ったからには責任を取らなきゃならない。

 惨めに生き延びるよりはかっこよく死んだ方がいいよな。

 俺が死んでもこの世界の救世主はまだ俺の優秀なる弟イチヤがいる。


 「くだらない。いくら喚いても結果は変わらぬ物なのに。」


「試してみるか?」



 俺はそっと地面を蹴ると、サイコ野郎に接近する。

 その手に全身全霊で意識を集中させ。



 目覚めてくれよ、『闇騎士(ダークナイト)』?



 刹那、俺の中を鋭い何かが駆け抜けた。


 ……ような気がした。

作者が感想に飢えています!助けてあげて下さい!

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