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第10話 突然の来訪者

 俺の目の前で、ずっと俺を威圧し続けたこの厳ついおっさんの顔。


 今はすっかり綺麗な切り口で首を切断され、俺の足元に転がっている。


 胴から切り離された後も、そのスキンヘッドには相手を睨みつけるような厳つい顔のシワが刻まれていた。

 ただ、目の焦点はもう合っていない。どこか遠い所を虚ろな目で見ている。

 不意に、その目から深紅の涙がどぽどぽと静かに流れ始めた。

 先程までの威圧による恐怖は、既に未知の襲撃に対する緊張となっていた。


 こんな太い首を一瞬にして、それも姿を視認出来ない程遠い所から切り裂くなど、人の所業ではない。

 それともこの世界ではこういうのが普通なのか。ただ凄い手練れなだけか。


 俺の推測だと、これは恐らく「スキル」か「魔法」によるものだろう。



 俺とイチヤがそれぞれ冒険者組合にてジョブカードを貰った時、カードには所有者に関する様々なデータが刻まれていた。

 体力や攻撃力、運……


 そしてその中には、「習得スキル」「習得魔法」という欄もあった。


 冒険者組合で登録すれば、誰だって貰えるジョブカード。

 そこに刻まれたステータスは、冒険者が己の実力を知る為にある。

 つまり、誰でもなれる冒険者達が利用するジョブカードの基準は、一般向けだ。

 そこにスキル、魔法の習得数確認欄があるという事は、スキルや魔法には「役職」のような制限は無いはずなのである。

 この世界のスキル、魔法は未知の存在だが、あらかた従来の異世界転移転生モノを読み歩いてきた俺は自分の型にハメて、攻撃だの防御だのが出来るであろうものと決めつけた。



 色々考えていて、ふと見上げると頭上に女の子がいた。

 彼女が俺の所に落ちてくるまでの時間がかなり長く感じられる。

 ラピ●タかよ。親方いねぇっつの。



 …………ん?待て、女の子だと?

 俺は驚異的な反射速度でもう一度頭上を見上げる。

 そこにいるのはやはり女の子だった。

 しかし先程とは違い、もう目と鼻の先にいる。

 で、この女の子はどうやら重力魔法だのも使えそうにない。


 となると導き出される結論はただ一つだ。


 この女の子は、俺めがけて……



 「きゃっ!」


「ぐほぁっ!!」



 まあそうなるだろう。

 俺は女の子を受け止めるに受け止めきれず中途半端な態勢で膝から崩れ落ち、改めて●ズーの偉大さを思い知らされた。やっぱりあんたスゲェよ。


 それはともかく、俺が受け止めかけた女の子はうまく俺をクッションとして活用出来たようだ。

 俺が下にいるのに気づかないのか、げしげしと容赦なく足で踏みつけてくる。だが生憎俺にそのような趣味は無い。


 「あの……ちょっと痛いんだが…」


 シャイボーイな俺が勇気を出して声をかけると、彼女は俺の方を向いた。

 どうやら気づいたご様子である。


 「うわっ!ご、ごめんなさいっ!」


 んで慌てて飛びのく。チッ、あともう少し角度があれば。

 まあ太ももがこんなに肉薄しただけでも、前の世界にて童貞穀潰しで女子と話す事さえ無かった俺としてはクリティカルヒットの部類に入る。



 女の子はパッと見、黒いゴシックコートがとても印象に残った。

 自然体で巻かれた黒のマフラーと指出しグローブも合わさって、こいつ厨二キャラか?と観察する。

 すると、ゴシックコートの中には清純そうな白い服を装備し、ショートカットの銀髪というまともそうな外見の方も視界に入り、全体的には白と黒。

 モノクロ女という事で落ち着いた。いや落ち着いてない。


 空から女の子だぞ?それも超絶美人の!!


 これはもう、このセンヤを主軸としたセンヤハーレムの第一章だとしか考えられない。


 ん?前にも同じような事を言った気がするが気のせいか?

 いや、延々と繰り返す人生という名の最大のデジャブなんぞ気にしていたら負けだ。

 今のセリフ意味分かんねぇよとか言っても負けである。

 俺がただ単にカッコイイ事言いたくなっただけだ。それだけ。


 「避けて!」


 突如、意識が現実に引き戻されたかと思うと、俺は謎の外部衝撃によって吹き飛び路地の壁に激突した。

 彼女の方を向くと、彼女は背丈ほどあろうかという超巨大な銀のハンマーを片手に持っていた。

 多分、あれで吹っ飛ばされたのだろう。

 よく自分が生きていたなと感心した。


 そしてつい先程まで俺がぼけっと座っていた場所には、深い亀裂が入っていた。

 あのおっさんの首を切り裂いた技に違いない。



 「おや。これは偶然なのか、それともギルス神のお導きなのか。」


 知らない男の声だ。くぐもっていて声の主の年齢が定まらない。

 声のした方を向くと、そこには一人の騎士が立っている。


 全身の鎧が深紅色に染まった、異様な覇気を漂わせる騎士が。



 「……貴方も『役職ロール持ち』か。」




 その冷たく、身体中に浸透するような声は、俺のたるみ切った筋肉を一瞬にして硬く硬直させた。

 こいつはどうやらヤバそうだ。

深夜テンションで書いたので色々おかしい所があると思います。

御容赦下さい。

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