各ジャンルにおける短編小説や連載小説の状態
今まで私が調べてきたことをお話ししてきましたが、振り返ってみると図表に対して感想を述べているだけのような気がしてきました。うん、分析っていうほど大層なことをしていないような気がしてきましたね……
あんまりよくはないですが、まぁいいでしょう。続けたいと思います。
さて、前回まではキーワードについてのお話をしてきました。今回は再び総合得点(総合評価)・ブックマーク数・評価点・評価者数を扱います。それと、小説の件数もです。
それで、今回は何を見るのかといいますと、短編小説・完結小説・連載小説に分類したときの各項目の値です。今まで各データを見てきて、短編小説がたくさんありそうだったり、連載小説が中心そうだったりするような気がしたこともありましたけど、実際のところはどうなのかを調べてみるわけです。もちろんジャンル別にも見ますよ。
尚、連載小説については更に連載中と更新停止に分類しています。皆さんも見かけたことがあるかと思いますが、何ヶ月も更新されていない小説もたくさんありますので、現在進行形で連載されている小説とは区別することにしました。
ただですね、更新停止しているかどうかの判断は、取得データ中にある項目「長期連載中」のフラグが立っていたときとしています。どうしてこんなことをわざわざ説明しているのかといいますと、ちょっと自信がないからです。いやだって、項目名が「長期連載中」なんですもん。どうして更新停止じゃないんですか! むちゃくちゃ不安になっちゃうじゃないですか! けどそのくせ、項目の英語名は「isstop」なんですよね。ここにちゃんとストップって読める文字があるので、私はこっちを信じることにしました! もし間違ってたらごめんなさい。
ということで、順番に見ていくことにしましょう。
いきなり『小説家になろう』全体とジャンル別の表を大量に出しました。表は縦軸が小説数、総合得点、ブックマーク数、評価数、評価者数となってます。これらの項目は横軸の短編小説、完結小説、連載小説(連載中・更新停止)にそれぞれ分類されて集計されています。
まずは全体の表を見てみますと、へぇ、こんなふうになってるんですね。小説の数は短編が半分近くを占めているようです。それはいいとして、更新停止の小説がそれに次いで多いんですか。なにやら3分の1くらいありますね。更新停止の小説を書いている作者さん、打ち切り漫画みたいでもいいんでお話をできるだけ完結してください! 読者の皆さんは待ってますよ!(経験者談)
そして、総合得点以下の縦項目を見ますと、連載小説にブックマーク登録したりポイントを入れたりしている読者が多いことがわかります。まぁ、おもしろい小説だから評価したということはわかりますが、それだけに重ね重ね更新停止の小説がもったいないですよね。
それでは次に各ジャンルの内容を見ていこうかと思ったんですが、これはちょっとわかりづらいですよね。ジャンル同士の比較と全体の概要は以前に合計値を使ってしましたから、どのジャンルが大きくて盛況だったり小さくてこぢんまりとしているのかは既にわかっています。今回はその各ジャンル内がどうなっているのかを知りたいだけですので、割合(%)に書き直した方が説明しやすそうですね。
ということで、別の表をお見せしたいと思います。
上記で公開したのは割合が表示された表ですけど、これは行ごとに計算しています。例えば、小説数の行の短編小説・完結小説・連載小説(連載中・更新停止)の4項目を加算すると100%になるということです。そんな感じで各行項目の割合を算出しています。
それでは、もう1回全体から見ていきたいと思います。
──全体──
先ほども書きましたが、短編小説は全小説の半数近くを占めてます。しかし、その割合に見合う評価(総合得点・ブックマーク数・評価点・評価者数)はされていないですね。特にブックマーク数が少ない。そのせいで総合得点の割合が下がっています。
次は完結小説ですが、全体の8分の1を占めています。評価については全体の4分の1くらいですので割と評価されているようです。私としても完結した小説ですと安心して読めますから、この評価の高さには納得です。
次は連載小説の連載中の小説なんですが、小説の数自体は少ないです。しかし、ブックマーク数が4割もあるということは、小説を継続して見る意思があるということの現れなのでしょう。評価点と評価者数の割に総合得点が高いのはこれのせいですね。
最後に、更新停止の小説は全体の3分の1程度あります。総合得点以下の項目についても3割前後の評価と意外に高いですね。皆さん連載再開を待っているのかもしれません。
──文学──
短編小説が7割と圧倒的に多いです。評価点と評価者数は小説数に見合うだけありますが、ブックマーク数が少なすぎるために総合得点が下がっているようです。
逆に完結小説は小説の数に比べて評価が高いですね。連載中の連載小説も小説の数の割には高いです。尚、連載中の小説の割合が極端に低いのは、文学では小説1つに対する和数が少ないからじゃないかと考えています。連載してもすぐに終わるなら完結小説になるでしょうしね。更新停止の小説の割合が全体の半分くらいしかないのもそのせいだと思います。
その更新停止の小説は数の割に評価してくれる読者は少ないようです。ブックマーク数が多いのは完結するのを待っているからでしょうか。
──恋愛──
短編小説は全小説の半数近くを占めてます。評価点と評価者数の割合が全体の3分の1程度と少し少ないですが、それ以上にブックマーク数が低いので総合得点がその分下がっています。
一方、完結小説は小説の数に比べて評価が高いです。総合得点以下の項目はどれも計ったかのように4割弱ですね。同じく連載中の小説も小説の数に比べて評価は高いようです。
逆に更新停止の小説は数の割に評価してくれる読者は多くありません。ただ、ブックマーク数が多いのは完結するのを待っているからなのでしょう。
──歴史──
短編小説の数は4割近くもあるのに評価はほとんどされていないようです。歴史物は連載するのが常識ということなのでしょうか。
その分、完結小説と連載中の小説の評価は高いです。ざっくりですがどちらも全体の3分の1程度を占めていますね。面白ければとりあえず評価してくれるようです。
更新停止の小説については、多くの読者が評価しているようです。小説数の割合に比べると若干低いですが、それでも評価全体の3割弱は占めているんですよね。
──推理──
歴史ほどではありませんが、短編小説は3割程度もあるのに評価はほとんどされていません。総合得点が低いのはブックマーク数が少ないためです。
完結小説の割合はほかのジャンルに比べて群を抜いて多く、総合得点以下の各項目の割合も非常に高い。また、連載中の小説も完結を期待してかブックマーク数が多いですね。逆に更新停止の小説に対する評価は低いようです。やはり推理小説は最後の謎解きまでがないと駄目だということなのでしょう。
──ファンタジー──
意外なことに、短編小説・完結小説・連載中の小説数の割合はそれほど変わらない。そして驚いたことに、ファンタジー小説の半分以上が更新を停止しています。人気ジャンルだけあって投稿される小説の数が多い分だけ、途中で筆を置く作者も多いということでしょう。残念な話です。
短編小説はほとんど評価されておらず、逆に完結小説はそこそこ評価されています。そして、連載中の小説は更に評価されています。これって完結しない方が人気があるってことなんでしょうか。完結小説と連載中の小説の割合に大きな違いが何にもかかわらずここまで差が出るということは、そういうことなのでしょう。終わりなき夢を見ていたいということなのかもしれません。
その証拠に、更新停止の小説に対する評価が意外に高いんですよね。小説の数に比べるとその割合は確かに低いですけど、評価点と評価者数は連載中の小説とほぼ同数です。これは、熱心な読者が気長に連載再開を待っているのかもしれません。
──SF──
SFも短編小説はほとんど評価されていないみたいです。ブックマーク数の割合なんて歴史と同じようにほとんどありません。そしてよく見ると、大体ファンタジーと同じ傾向だということに気づきました。
──ホラー──
短編小説が3分の2と圧倒的に多いです。評価点と評価者数は相応にありますが、やはりブックマーク数の割合が少なすぎます。一方、完結小説は小説数に比べて評価が高いです。これは連載中の小説も同様ですね。ブックマーク数の割合が異様に多いのは、完結するのを待っているからなのでしょう。
──コメディー──
多少数値は異なりますが、基本的にホラーと同じ傾向です。
──冒険──
多少数値は異なりますが、基本的にファンタジーと同じ傾向です。
──学園──
短編小説は、評価点と評価者数は小説数に見合うだけあります。しかし、やっぱりここもブックマーク数が少なすぎますね。また、ファンタジーと同じように小説の半分以上が更新を停止しています。その中で完結小説はそこそこ評価されていますね。そしてやはり、連載中の小説はブックマークが多いです。
──戦記──
短編小説は、数の割にほとんど評価されていません。これはファンタジーや冒険と同じですね。一方、完結小説はそこそこ評価されていますが、連載小説に若干押され気味のようです。
──童話──
短編小説が8割と圧倒的に多いです。評価点と評価者数は小説数に見合うだけありますが、ブックマーク数が少ないために総合得点が若干低下しています。一方、完結小説は小説数に比べて評価が高いです。
童話で注目すべき点といえば、なんといっても更新停止の小説が少ないことでしょう。それ以上に連載中の小説は少ないですけど、これはコンパクトに連載をまとめるからだと思われます。
──詩──
清々しいまでに全項目が短編小説に集中しています。詩という特性上、短編の方が書きやすいからでしょう。
──エッセイ──
短編小説が4分の3と圧倒的に多いです。評価点と評価者数は小説数に見合うだけあるが、ブックマーク数が少ないですね。完結小説は小説数に比べて評価がけっこう高い。連載小説も総合得点を見たら悪くないですが、これは明らかにブックマーク数が押し上げていますよね。完結するのを待っているからでしょうか。
──リプレイ──
短編小説はほぼありません。小説の半分は完結小説でそれに見合うだけの評価はされているようです。
それにしても以外だったのは連載小説の評価です。連載中の小説の評価が低くて、更新停止の小説の評価が高いんですよね。これはいったいどういうことなんでしょうか? そんなに面白い小説がたくさん更新停止になっているんでしょうかね。
──その他──
内容に統一性がないので評価できず、です。まぁ、こんなものと思ってみていただければいいでしょう。
こんな感じになりました。やっぱり各ジャンルでいろいろと特徴に違いがありますね。短編が中心なジャンルがあれば長編ばかりというジャンルもありました。
自分が書きたいものを書いて公開するときにどのくらい評価してもらえそうとか、自分の読んでいる小説が完結する可能性はどのくらいとかを考えるときに参考にしてもらえれば嬉しいです。