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ジャンル別で見たとき

 前回は、『小説家になろう』全体で総合評価のポイントがどのように分布しているのかを見てみました。そうなると、次に気になるのは各ジャンルの状況ですよね。前の話ですと大雑把すぎますので、もっと細かく見ていきたいと思います。

 それではまず各ジャンルの平均値を……いや、平均値はこの場合あんまり意味がないですよね。大体満遍なくポイントが散っていてくれたら参考になるでしょうけど、24ポイント以下に80%も小説が集中していては平均値だと役に立ちません。ちょうど一昔前までよく出ていた日本人の平均給与額と同じです。

 ということで、中央値を使いたいと思います。ある集団に所属する数値が5つあったとして、その真ん中である3つめを取り上げるやり方です。ですから、0,5,10,500,1000と数値があれば、10が中央値ということになるわけです。

 それでは早速見てみましょう


挿絵(By みてみん)


 0ポイントの小説も含めた場合の中央値です。『小説家になろう』には現在16種類のジャンルがありますけど、大半が10ポイント未満となっていますね。中央値が0ということは半分以上がポイントなしのジャンルも4つ(文学・学園・詩・その他)あります。中央値が5ポイントを超えているのはわずかに3ジャンル(歴史・童話・リプレイ)だけですか。というよりもリプレイがやたらと高いですね。理由は後述します。

 それにしても、よく「『小説家になろう』ではファンタジーが圧倒的に強い」と言われますが、このグラフを見ている限りそうでもなさそうですよね。ランキングの上位を多数占めている小説の多くがファンタジー系のはずなのに、中央値を見る限りは他と全く変わりがない。

 これは、多数を占める0ポイントの小説に原因があるのかもしれません。ということで、今度は0ポイントの小説を除いた中央値をはじき出してみました。


挿絵(By みてみん)


 さてどうでしょうか。驚いたことにあんまり変化がありません。どのジャンルも10ポイントかもう少し増えたくらいです(リプレイを除く)。実はこれ、1ポイント以上の小説のうち、1~24ポイント層の占める割合が3分の2近くあるからです。0ポイント層に次いで圧倒的な厚みを誇っているせいで、中央値が思ったほど伸びてくれなかったわけです。

 こうしてみると、0ポイントの小説があろうがなかろうが、あまりどのジャンルにも差はなさそうですね。どうも一部の突き抜けた小説がファンタジー小説に集中しているだけのようです。




 ……しかし、それは本当なのでしょうか? 実を言いますと、今回私が一番気になったのがここから先の話なんです。確かに中央値で見ればどこもそんなに変わらないようですが、これだけでは『小説家になろう』の状態を正しく表せていないように思ったんですよ。やっぱりジャンル毎にポイントの階層で区切って、どのように小説が分布しているのか私は知りたかったです。

 ということで、実際にジャンル毎にポイントの階層で区切って集計してみました。


挿絵(By みてみん)


 どうでしょうか。表が大きくなりすぎましたので分割しています。どちらの表も左端に全体の小説の数をもってきています。

 こうして見てみますと、各ジャンルに属する小説の数に大きなばらつきがありますね。やはり人気ジャンルには小説がたくさん集まって、そうでないジャンルには投稿される小説の数が少なくなるのかもしれません。

 他には、リプレイ以外のジャンルは1~24ポイントと25~49ポイントの層に大きな溝があります。『小説家になろう』全体で見たときにあれだけ圧倒的な差がありましたから、さすがにこの影響は各ジャンルにも現れているようです。

 それと、やはりファンタジーのジャンルは小説の数が圧倒的でした。ここだけ10万に届こうかという数が集中しています。しかし、それに続いて恋愛が6万5千と健闘しています。やはり恋愛物は強いようですね。次はなんと文学です。失礼ですが意外と盛んに小説が投稿されているようですね。

 そしてある意味今回一番驚いたのが、童話・詩・リプレイに高ポイント層の小説がないことです。リプレイは投稿数そのものが少ないので仕方ないかもしれませんが、まさか童話と詩に10000ポイント以上の階層に1つもないとは思いませんでした。



 次に、今度はもう1つの表を見ていただきたいと思います。ジャンル全体の小説の数に対する、各ポイント階層に属する小説の数の割合(%)を集計してみました(各階層の小説の数÷各ジャンルの小説の合計数)。

 尚、青字は「全体」列の値よりも大きい場合、赤字は小さい場合です(ただし0ポイント層は逆)。表の下にもっと細かい条件を書いてますが、要するに、「全体」列の値に比べて飛び抜けて大きな値や小さな値になっていれば注目しているということです。

 どうして小説の数だけでなく各ジャンル内における各階層の割合を算出したのかといいますと、各ジャンルにおける高ポイント小説の割合を知ることで、評価してもらいやすいジャンルとそうでないジャンルを知りたかったからです。最終的には面白い小説を書かないとこのデータも意味はありませんが、やっぱり心情としては評価してもらいやすいジャンルで発表したいと思うでしょう!?(必死な眼差し)

 ……それでは各ジャンルを見ていきましょう。


挿絵(By みてみん)


――文学――

 いきなりですが真っ赤ですね。投稿されている小説の数は多いですが、半分以上は0ポイントです。そして1~24ポイント層と合わせると実に90%になってしまいます。25ポイント以上は10%ないんだ。最上層である10000ポイント以上にもわずかに小説がありますが、自分の小説も、と期待するのは難しそうですね。このジャンルの読者は読んでもあまり評価しないということでしょうか。


――恋愛――

 おお、文学と違ってこっちは青いです。特に0ポイント層が比較的低めですね。また、各階層の割合も全体平均をほぼ上回っています。つまり、読者は読んだら何らかの評価をしてくれるということでしょうか。特に100~9999ポイントの階層が厚い。一旦気流に乗れば10000ポイント以上の階層までの道のりはしっかり確保されているということなのかもしれません。


――歴史――

 え、何これ!? 恋愛で結構すごいなって思っていたのに、更にそれを上回るかのような優等生っぷりですよね。0ポイント層の小説が30%以下とかなり低いです。そしてそれ以上の各階層の割合も全体平均を完全に上回っています。とにかくどの階層も厚い! 投稿されている小説の数が少ないかかわらず各階層の割合が全体平均を上回っているということは、一旦認められたら最上層まで上れる可能性が高いですね。

 ただ、時代考証なんかが大変そうですよね。官位や呼び名なんて私には扱えそうにありません。


――推理――

 う~ん、先細りという言葉が当てはまってしまうジャンルですね。99ポイント以下は平均的ですのに、100ポイント以上の階層から急激に小説の数が減少しています。試しに100ポイント以上の階層の割合を集計しますと、なんと4.2%しかありません。似たような規模の歴史とは全然違います。どうしてこんなに厳しいんでしょうね? 高ポイントを狙うのは難しいジャンルのようです。


――ファンタジー――

 はい、大本命のジャンルです。そしてその期待通り、全ての面において全体平均を上回っております。あ、1~24ポイント層は若干低いですか。0ポイント層が比較的低めなのはもちろんのこと、10000ポイント以上の層が異様に厚いです。なんですかこれは? 投稿小説の数から見ても最も勢いのあるジャンルであり、人気に火がつくと爆発的に伸びやすいということがわかります。そりゃみんなファンタジー小説を書くわけだ。


――SF――

 えっと、なかなか評価しづらいジャンルです。基本的に大きく上回ったり下回ったりしている階層はほぼありません。100ポイント以上の割合は全体平均を下回っていますが、そこまで言うほどではないですし。投稿された小説の数も真ん中くらいなんですよね。良くも悪くも平均的ということなのかもしれません。


――ホラー――

 これはまた、推理以上に先細り状態となっていますね。100ポイント以上の階層が完全に縮小しています。試しに割合を集計すると2.99%でした。3%切るんだ! これは厳しいですね。小説の数だけ見ると上位層にも一応ありますが、母数が小さくないのでこんな結果になったようです。どうしてこんなに厳しいんでしょうね?


――コメディー――

 あー、なんかどこかで見たような、と思ったらSFですね。これと似たような感じになっています。5000~9999ポイント層が若干低いですが、それ以外は同じと見なしていいでしょう。小説の数の合計もそれほど変わらないですし。


――冒険――

 一見すると平均的に見えるジャンルなんですが、実は上位層が厚かったりします。100ポイント以上の割合が全体平均を上回っているんですけど、驚いたことに10000ポイント以上の小説数の割合はファンタジーに次いで高かったりします。ジャンル自体は小さいですが、一旦人気になれば上位層を狙えそうです。

 あと、ふと思ったんですが、この冒険ってジャンルはファンタジーと大変相性がいいんじゃないでしょうか。ですから案外異世界ものが多数書かれていて、それがファンタジー小説の隆盛に乗っかって高ポイントになっているのかもしれません。


――学園――

 0ポイント層が50%もあるんですね。そして1ポイント以上の階層も全体平均を下回っています。SFやコメディーを更に低調にした感じというところでしょうか。小説の数から見た場合だとそうでもなさそうなんですけどね。高ポイントを狙うのは微妙に苦しいのかもしれません。


――戦記――

 全体的にどの階層の割合も全体平均をほぼ上回っています。特に25~999ポイントの層が厚いようですね。0ポイント層が比較的低めなのも嬉しいです。公表された小説には何かしらの評価をつけてもらえるということでしょう。歴史同様規模は小さいですが頑張っているジャンルです。ちなみに、10000ポイント以上の小説数の割合は3位です。何気に高かったりします。


――童話――

 0ポイント層が比較的低めなのは好印象ですね。更に、249ポイントまでの階層が厚いのも嬉しいところです。しかし、これが500ポイント以上の階層になると小説がほとんどなくなっちゃうんですよね。割合を集計すると実に0.87%! 1%ないんですよ。これは厳しい! 更に、今のところ10000ポイント以上に小説が1つもありません。気軽にポイントは入れてもらえるけど、高ポイントは期待できないようです。推理よりも極端ですね。


――詩――

 そして一番困ったのがこのジャンルです。なんと60%近くが0ポイント! 更に1000ポイント以上の小説(この場合は詩と書いた方がいい?)が1つもない! ポイントが全てだとは言いませんが、これはとても厳しいと言わざるを得ません。作者は発表して満足、読者は読んで満足という世界なのかもしれません。


――エッセイ――

 これはまた、推理やホラーと傾向が似た感じのジャンルですね。500ポイント以上の階層に小説がほとんどありません。試しに集計したところ1.09%でした。少ない。10000ポイント以上の階層に小説が1つあるのが逆に気になってしまいます。


――リプレイ――

 小説の数からして他のジャンルとは圧倒的に異なります。こぢんまりとしているところに好感をもちます。しかし、割合を見てみるとなかなか面白いことになっています。0ポイントの小説は7.37%程度と圧倒的に少ないです。投稿された小説の数は少ないものの、投稿すればほぼ必ず評価してもらえるということでしょうか。しかし悲しいかな、ジャンルの規模が小さすぎて高ポイントにならないようです。アットホームな印象を受けるのは私だけでしょうか。


――その他――

 どこかで見た感じかな、と思って見返してみると文学と似た傾向なんですね。実は小説の数もそんなに変わらなかったりします。全体的に評価はつけてもらえないようです。しかしそれでも、10000ポイント以上の階層に小説があるんですよね。大した物だと思います。




 データを元に各ジャンルがどうなっているのかを見てみました。私も初めてこのデータを見たときは驚きました。やっぱり各ジャンルで傾向が大きく違うんですね。今回は長くなったのでここまでにします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うまく分析されてると思います。それにしても、24ポイント以下って、結構あるんですね……埋もれている作品も、多いのかもしれません。 [気になる点] 私はまさにSFジャンルで書いてますが、あそ…
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