神界
リクエストな話です。
リクエストありがとうございます。
神王になったハルカ登場です
※注意
→この物語の時系列はハルカが神王になった後で、飛影達がバカンスに行く前の話になります。
「へーここが神界か…」
神だけしか存在しない世界
そんな世界に飛影はやってきた
自身では移動できないため、ダドマに頼み込んだのである
飛影のとしては神界という世界は、神であるのだから天界に似た世界で更に豪華になったようなものをイメージしていたが、実際は三種類に別れていた
同じ空間にあるのだが、魔界の建造物や人間界の建造物、天界の建造物が入り乱れていた
飛影の視界にはその中に大きな城があり、そこに神界にきた目的である人物の魔力を感じたため城へと向かう
(なんか…意外と弱いんだな)
城へと向かいながら周囲を観察していた飛影だが、様々な神を発見するも感じた魔力はどれも低い
絶対強者級には届いておらず、反則級の上位から中位の範囲でしかいなかった
神の外見も十人十色で人間のような姿であったり、蛇の姿であったり、天使の姿であったり、どれもこれも違う姿であった
「ん?」
軽い観光気分で飛影が歩いていると、あるものを発見した
神ジュースと書かれた看板の出店である
(超気になる…超気になる…買いたい…)
面白いものがとにかく大好きな飛影としては見逃せない逸品である
ふらふらと誘われるように出店に近付く飛影
しかしすぐにどうしようもないことに気付いた
(あっ…金持ってない…)
魔界のお金、人間界のお金、一応は天界のお金も持っている飛影だが、神界のお金は持っていない
つまり、軽く観光しても何も楽しめない完全ウィンドウショッピングになってしまう
城までは残り一キロ程
「…」
躊躇なく魔力を解放して、城へと跳躍する
跳躍中に目的の魔力の位置を割り出して、風華で風を操り城の構造を把握
一切無駄のない動きで、目的地である神王室に到着する
「…うーん…わからないよー」
そこには飛影がやってきたことに気付かずに、頭を抱えて唸っているハルカがいた
最強ともいえる実力者であるハルカが一枚の紙に苦戦していたのだ
「意味がわからないー…」
「…」
唸っているハルカの後ろに回り込んで内容を盗み見る飛影
なんてことはない、王としての雑務である
飛影としてはセリエの代から現在まで王としての仕事を手伝っていたため、一目見てわかるものであった
言語がわからないと思っていた飛影だが、その紙は魔界の言葉で書かれていた
「それはこっちにしておけ」
後ろから指で指し示す
「こっち?けどこっちにすると、もうひとつの方がキツくない?」
振り向かずに集中しているハルカ
その飛影の意見は考えていたが却下していたのだ
「違う違う…考え方が単純なんだよお前は…こっちにしたら予算が浮くんだよ…浮いた予算でもうひとつの方を救済できんの」
「あーなるほど!…確かに確かに…うわー凄い…ここまで考えられてなかったよ…ありがとう!」
飛影の意見に納得して何回も頷くハルカ
礼をするために振り向いた瞬間に固まった
フリーズである
パソコンで起これば怒りに任せて画面を殴ることもありえる現象の一つ
ハルカは神であるため、再起動は自動で起こる
きっかり三秒
「…ひ…飛影さん?」
「その通り」
ふるふると震えながらまずは自分の頬をつねる
(これは夢だろう、夢に違いない、飛影さんがいるわけがない、きっと書類と格闘中に寝てしまったのだ!!)
あまりの出来事に加減を間違えたハルカの頬に激痛がはしる
「ひたぃ!」
「…」
(ゆ…夢じゃない…残る可能性は一つ…これは…幻覚!)
強くつねり過ぎた頬を片手で抑えながら、逆の手で飛影の頬を突っつくハルカ
(や…柔らかい!…あれ幻覚でもない…あれ?)
「幻覚でも夢でもなくて実体だからな」
ハルカの思考を完璧に読み取った飛影はハルカの頭をグリグリと撫で回す
「へっ?…あれ?…どどどうやって来たんですか!?」
「ダドマに送ってもらった…座標指定はアンジェレネにしてもらった」
ダドマでさえも、神界には来たことがなく方舟では運べない
そのため、アンジェレネが神界の場所を教えることにより転送が可能となった
「あっ…なるほど…なななんできたんですか!?…も…もしかして私に会いにわざわざですか!?」
「それ以外に理由はないけど…お前が遊びこい言ったんだろうが…」
呆れて溜め息を吐く
「こ…ここここここんな早く来てもらえるなんて感謝感激ですよ!!」
「リアクションでかすぎないか?たかが来ただけで」
「私にとってはとても大事なんです!!!!!!!!!!!!!!」
ズァアア!と効果音がでているかのような気合が込められた声
あまりの迫力に僅かにたじろいだ飛影
「ま…まぁ、それはいいや、遊びに行こうぜ!!」
神界というダドマやラインですら来たことがない世界
神のみ存在するこの世界に飛影は興奮を抑えきれない
だが、飛影からの誘いにハルカは盛大に涙を流す
「うぅぅ…行きたいです…物凄く行きたいですが……終わらせなければならないノルマがこんなに山積みに……」
ハルカの視線の先にあるのは100枚程の書類の山
「今日中に終わらせなけらばならないんですよ~…この一枚を片づけるのに2時間もかかったのに…」
飛影が即答で答えた紙が2時間もかけていたハルカ
戦闘能力だけで言えば本作品でぶっちぎりでNo.1であり、例え飛影とダドマとラインとギルギアとリタが組んでハルカと殺し合ったとしてもハルカの勝利は揺るがない
それほどの戦闘能力を持っているハルカだが、馬鹿なのである
「はぁ…わかった」
飛影は盛大に溜息を吐きながらコートのポケットからある本を取り出す
「とりあえず、これをやるから泣きやめ」
ハルカの机の上に置く
「これは?」
「俺秘蔵の宝物、政治に関しての俺の意見と解釈が載ってる。勉強にはなるだろ」
それはセツネの代から王族の仕事を手伝っている飛影が地道に書き記していったものである
メリアの王族は基本的に政治に関してはその代の王よりも飛影から教わっている
それもこれも全て、セツネがだらけ王であったことや、セツネの王としての手腕が優れていたことが根本にある
「…!?そんな大事なものを受け取っても良いんですか!!!?」
「写本だから問題ない、原本はキチンと所持してるし…写本ならメリア城の図書館に行けば置いてあるしな」
「家宝にします!!!!!」
飛影から受け取った本を宝物のように抱きしめるハルカ
だが、ハルカが喜ぶにはまだ早かった
「あと、その書類の山は今回だけだが俺がやる」
軽く書類の山を捲り中身を確認した飛影
ハルカであれば、おそらく単純計算で200時間は使用していたであろう書類の山を僅か1時間で片づけた
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「いや~一仕事終わったあとの一杯って最高ですね!!!!!」
「お前は何もしてないだろ」
「うぐっ!!」
【飛影】が仕事を終わらせてすぐに、神ジュースを飲みに行った飛影とハルカ
とても表現できないような
美味といえば美味
美味しいといえば美味しい
甘いといえば甘い
酸っぱいといえば酸っぱい
炭酸といえば炭酸
というなんともよくわからないジュースであったが美味いことは美味かった
「今日は観光で来たし、なんか案内してくれよ」
「お任せください!!!」
ドンっ!と自分の胸を叩くハルカ
メリアで道に迷ったことは多々あったハルカだが、神界であればホームグラウンド
飛影に頼りになるところをアピールしようと気合十分である
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…んで?」
「…っ!?」
「徒歩5分で着くという美味い昼食屋はまだなのか?」
ハルカが、ご飯時なので昼食にしましょうと意気揚々と言ったのは30分前である
最初の20分ほどは、飛影もハルカが馬鹿なのは知っているので我慢していたが(それに静紅という似たような馬鹿で慣れているのもあったが)さすがに30分も同じところをウロウロとしていたら一声掛けないわけにはいかない
「え~と…そろそろ着くと思うんですけど…」
良いところを見せようと格好良く裏道を駆使して辿り着こうと考えたハルカ
普段使う道であれば、きちんと辿りつけるものの普段使用していない道のため迷っていた
「…神ジュースのところまで戻るから…裏道使わなくて普通の道で進むんだぞ」
再び大きい溜息を吐く飛影
恐らくそんなところだろうと口にしていたが大当たりである
ハルカの手を掴み来た道を戻る
「ホエぇっ!!!!!????」
「ん?…あぁ悪いつい癖で」
いきなりのことに驚くハルカ
飛影は手を掴んだことが嫌だと考えてすぐに離す
「いえ!!!!!!絶対に離さないでください!!」
が、すぐにハルカが繋ぎ直す
「…わかった」
あまりの気迫に頷く飛影
(…あれかな…二人とはいえ迷子は寂しいとかか?)
(これはデートだ!!デートにしか見えない!!!)
男女の二人が手を繋ぎ合っている姿
親子的なものと考えている飛影と恋人的なものと考えているハルカでは、考えが根本から違っていた
「ふむ…美味いな!」
どうにか無事に辿りつくことができた飛影とハルカ
4人席に案内されて、なぜか向かい合わずに隣同士に座っている
「美味しいですね!!」
それもこれも、飛影が席に着こうとして絶対に離さないでくださいという言葉を思い出してハルカに確認したところ、ハルカが是非にと言うためこの状況が生まれていた
ハルカお勧めというだけあり、非常に美味しい料理が出てきている
「そういえばハルカ、神王になるための条件ってなんなんだ?」
「あぁ~、簡単にいえば選挙ですね」
「選挙?戦いじゃないのか?」
魔王と同じようなシステムであると考えていたため、選挙という言葉に軽く衝撃を覚える飛影
「戦いじゃないんですよね~、全神参戦の投票制の選挙です。だからリタちゃんだと思ったんですけどね~少なくともライザが生きていればライザになったと思うんですよ~」
「実力も伴われるのか?すまん、あんまりよくわからん」
「え~とですね…強力な神は基本的に領地を持っているんですよ~だからです!」
その言葉だけで全て説明できたと思っているハルカ
美味しそうに箸を動かす
飛影は必死に高速思考を用いて、今の言葉と持っている情報を全て纏める
「つまり、強力な神は領地を持っていて全神参戦とはいえ結構票が傾くわけか…だから強いライザはもちろん、神王の娘であるリタであれば死んだ神王分の領地からの票も取得できるわけで有利に事が運べるわけか…だけどハルカが選ばれたのには多分無効票が多いからか?死んだライザを始め革新派の連中は死んだわけだし、んであとはリタが問題だがそこはハルカの方が信用度が高かったってことになるのか」
「そうなんですよ~神王の部下である12神には属してないんですけど1億年程生きてる古株の神がいてその人がいろいろとやったみたいで…………はぁ」
1億年ほど生きている神であれば、懐刀と呼ばれる前のハルカを知っている
神王の後を継ぐ実力者と考えれば、その古株がハルカを王にしようとするのも理解できる
「へぇ~それは、どんまいだな」
「くぅう!!その人がいなければ今頃飛影さんの補佐になれたっていうのにぃい!!!」
悔しさを込めてテーブルを殴るハルカ
周りからは珍妙な視線で見られるが、その騒ぎをハルカが起こしていると理解した瞬間にいつものことだと関心を無くす
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そんなこんなで、夕方
「いやぁ~楽しかったです!!また来てくださいね!!」
明日海に行く用事があったため、準備もあり神界から去ろうとする飛影
お土産に神界直通の転移札を100枚ほど頂いていた
「おう!また今度来るわ!次は泊まれる日にでも来てゆっくり観光でもしたいな」
ついでに、神界から魔界への直通転移札も100枚程貰っている飛影
発動してからゲートを開き移動するまで、約20秒
「そういえば、気になってたんだが…」
「はい、なんですか?」
「前神王を殺したのって誰なんだ?」
「……」
「ハルカ?」
「…そういえば…誰なんでしょうね……?」
ハルカの疑問を詳しく聞く前に転移札が発動される
直ぐに戻れば詳しく聞くことができるが、別にまぁいいかで片づけた飛影
そのまぁいいかは今後大き過ぎるまぁいいかであったことは誰も知らない
次は本編です
リクエストどしどしください
作者はいつでもお待ちしております。